メンテナンス
更新2017.05.18
冬場に旧車&ネオクラシックカーを乗るときに気をつける7つのこと
松村 透
そこで今回は【冬場に旧車&ネオクラシックカーを乗るときに気をつける7つのこと】と題して、現場で新旧さまざまな輸入車整備に携わるメカニックのS氏に取材してみました。
Q1.暖機運転は必要ですか?
A1.ズバリ、暖機運転は必要です
暖機運転をしなくても走ることはできますが、エンジンに掛かる負荷はそれだけ大きくなります。正確に測ったことがないのであくまでも憶測ですが、暖機運転した方がエンジンの寿命も長くなると考えます。人間も運動する前に準備運動をした方が怪我を回避できますし、本来のパフォーマンスを発揮できるはず。クルマの暖機運転もそれと同じような感覚で捉えてもらえばよいと思います。
暖機運転の最適な時間は年式や排気量、エンジンのタイプなどによって異なるため一概にはいえませんが、水温計の針が少し動く程度、5分~10分程がひとつの目安になると思います。
Q2.暖機運転が必要なクルマは何年くらいまでに生産されたモデルですか?
A2.明確な区分けは難しいところですが…
暖機運転の効果が顕著に出やすいのは1980年代くらいまでに生産されたクルマではないでしょうか。しかし、年式を問わずクルマでも暖機運転の効果がゼロというわけではありません。高年式のクルマでも、多少でも暖機運転すればそれだけエンジンにとっては良いと考えます。
これも明確な区分けは難しいところですが、暖機運転をするかしないか、またはどれくらいの時間するかはオーナーさんの愛情次第です。
Q3.冬場に旧車・ネオクラシックカーを乗るときのNG行動は?
A3.これだけは避けてください
●エンジンをかけて即全開走行
エンジンに掛かる負荷が大きく、無用なトラブルを未然に防ぐ意味でも避けてください。
●冷間時に無理やりシフトチェンジ(MT車)
ミッションオイルが温まるまではギヤの入りが悪い車種もあります。エンジン始動直後はまだミッションオイルが冷えているときはゆっくりとシフトチェンジしてあげましょう。もちろん、ミッションオイルが温まったからといっても強引なシフトチェンジはミッショントラブルのもとになるので避けるようにしてください。
●キンキンに冷えたソフトトップを一気に開閉する
これはオープンカーのオーナー向けになりますが、ソフトトップのビニール製のスクリーンは、冬場は取扱いに注意してください。油断して冷えたまま一気にソフトトップ開けることでバリッと割れてしまったり、くっきりと折り目が付くこともあります。エンジンを始動後、ヒーターである程度温めることをオススメします。また、ソフトトップを開ける際にも手を添えてゆっくりした動作を心掛けてください。
Q4.旧車・ネオクラシックカーでスキー場に行く場合の対処法は?
A4.下記4つは特に心掛けてください
●日頃のメンテナンスをしっかりしておく
大前提として、トラブルを防ぐ最良の方法です。日頃からしっかりメンテナンスできているか?これがトラブルを未然に防ぐことが出来るかどうかが鍵になります。
●スタッドレスタイヤ、バッテリーなど冬用装備の徹底
スタッドレスタイヤは履いて運転することを大前提として、意外と多いのがバッテリーが古いままというケース。いくらエンジンの掛かりがよいといっても、古ければ突然のバッテリー上がりが起こることもあります。そこで予防策として、寒冷地仕様のバッテリーに交換しておくと安心です。
●トラブルが起きた時に慌てずに対処できる準備をしておく
予防をしてもどうしても防げないトラブルもあります。そんなときにパニックにならないよう、ロードサービスの電話番号を控えておいたり、車載工具や発煙筒、スペアタイヤの空気圧チェック、目的地の公共交通機関や宿泊施設の下調べなど、万が一トラブルが起きてしまったときに落ち着いて行動できるように備えておきましょう。
●無茶な旅行計画を立てない
「どこに行くのも愛車と一緒」、「このクルマとならどこへでも行ける気がする」というクルマ好きの気持ちは痛いほど分かりますが、豪雪地帯や荷物を満載して険しい山道を延々と登るなど、クルマにとって過酷な環境は高確率でトラブルを招くことになりかねません。クルマの特性を把握したうえで無理のない旅行プランを立てましょう。
Q5.雪道や塩化カルシウムを撒いた道を走ったあとの対処法は?
A5.基本的なことですが、下記2つは特に心掛けてください
●下周りの洗浄
融雪剤は錆など腐食の原因になることもあるので、雪道を走った後は下周りの洗浄をしておくことをオススメします。リフトアップしなくても、セルフ洗車場にある高圧洗浄機で前後左右から下周りを洗うだけでも充分に効果的です。
●エンジンルームのチェック
念のためエンジンルームも異常がないかチェックしてください。雪道を走ったからといってエンジンルームにまで影響が出ることはあまり考えられませんが、普段と違う環境下で走行したということで、オイルやクーラントの点検なども兼ねてチェックしておきましょう。
Q6.冬場はガレージで長期保管している方へアドバイス
A6.下記3つは特に心掛けてください
●走らなくても定期的にエンジンは掛けてあげましょう
長期間エンジンを掛けないのは、あまりオススメできません。乗らない期間でも週に一度はエンジンを掛けて、しっかり温まるところまで見守るのが理想的です。
●タイヤのフラットスポットに注意!
長期間同じ位置で駐車している状態、つまりタイヤが同じ位置で設置しているとフラットスポットができてしまうことがあります。エンジンを掛ける際にホンの少しでも前後にクルマを動かすと、フラットスポットの予防になります。
●バッテリー上がりにご注意
ガレージで長期保管している方は対策済みだと思いますが、念のため。エンジンを掛けたり、バッテリーチャージャーを繋いでおくなど、バッテリー上がり対策をしておきましょう。
Q7.旧車・ネオクラシックカーを所有して初めての冬を迎える方へアドバイス
A7.あまり意識せず、初めての冬を楽しんでください!
●冬だからといって変に身構えない
ここまでまとめたことは、旧車やネオクラシックカーの取扱やメンテナンスにおいて当たり前のことかもしれません。つまり、日頃から愛情をもって取扱い、メンテナンスをしてあげることが大切だということなのです。
●冬も旧車を存分に楽しみましょう
しっかり手を入れてあげれば、旧車でも冬は怖くありません。冬だからこそ見られる景色、冬ならではのイベントやグルメ、そして家族や大切な人との時間を大切な愛車と共に思う存分楽しんでください。
当たり前のことだからこそ見過ごしていたり、軽視していることがあるかもしれません。ここはあえて原点に立ち返り、ついつい忘れていることや忘れがちなことがないかを見直すよい機会になればと思います。