更新2025.03.29
手放さなければよかったでは遅すぎる!国産車や輸入車を乗り継いだ自動車ライターが思うこと
齊藤優太
目次 ▼
- ■国産車から輸入車へ|これまでの愛車遍歴について
- ■輸入車が気になりはじめ、ディーラーを巡りアウディA3スポーツバックへ乗り換える
- ■マイナーチェンジで新しい装備に惹かれA3セダンに乗り換え
- ■さらなる転機でクラスをアップさせてA4セダンへ
- ■現在の愛車A4セダンに乗っていて感じることは時間の経過と質感の変化
- ■こだわったクルマは目移りするモデルがあっても乗り続けるべきか?
新しいクルマに乗り換えるきっかけはさまざまだ。今回は「このモデルの方がいいかも?!」と思い、クルマを乗り換えてきた筆者が手放して後悔したクルマとその理由を紹介する。
長い時間をかけて悩んでこだわったからこそ手放した後も忘れられないクルマは何なのか、なぜ後悔しているのかなど、赤裸々に語っていく。
今回紹介している内容は、筆者が個人的に感じた意見・考えに過ぎない。とはいえ、少しでもクルマ選びや乗り換えの一助になったとしたら望外の喜びだ。
■国産車から輸入車へ|これまでの愛車遍歴について
筆者の初めての愛車は、トヨタ 初代アクアだ。
2011年に登場した初代アクアは、ハイブリッド専用コンパクトカーとして登場。1.5Lハイブリッドユニットを搭載し、優れた燃費性能を実現しているモデルだ。
2013年にアクアが一部改良され、シックな室内空間を演出した仕様のG“ブラックソフトレザーセレクション”が設定された。
筆者が初めての愛車として選んだアクアは、このG“ブラックソフトレザーセレクション”だ。レザーシートが標準装備され、高級感漂う内装に心を惹かれて購入した。
今思えば、この頃から高級感や上質感が漂うクルマが好きだったのかもしれない。今もクルマ選びをするときは上質感や高級感、内装の各装備の手触りや操作感など、さまざまな部分を触って確かめている。
■輸入車が気になりはじめ、ディーラーを巡りアウディA3スポーツバックへ乗り換える
高級感漂うレザーシート仕様のアクアに乗り続けているうちに、高級車が気になるようになり、プレミアムブランドの輸入車にも興味を持ちはじめた。
さまざまなブランドの中から次の愛車となるアウディを選んだのは、大学時代の先輩の影響もあったといえるだろう。
筆者が大学時代の頃、アウディ TT(2代目)に乗っている先輩とクルマ好きという理由で仲良くなり、先輩のTTでさまざまな場所に連れて行ってもらったことがある。この頃の思い出もあり「アウディ」というブランドが魅力的だと感じていた。
学生時代の思い出とアクアに乗っていたこともあり、運転のしやすさ、荷物の出し入れのしやすさ、維持のしやすさ、乗り換えやすさなど、さまざまな観点からアウディ A3スポーツバックを中心に各社のCセグメントハッチバックを見て回った。
実際にディーラーへ足を運んで見て乗ったクルマは、アウディ A3スポーツバックの他に、フォルクスワーゲン ゴルフ、メルセデス・ベンツ Aクラス、BMW 1シリーズ、プジョー 308、アルファ ロメオ ジュリエッタなど、さまざまな輸入車Cセグメントハッチバックを見て・乗って・見積もりを取って比較検討した。
各モデルを比較検討した後、最終的に選んだのはA3スポーツバックだった。決め手となったのは、LEDヘッドライトやレザーシートなどをオプションで装着できるからだ。アクアでLEDヘッドライト&レザーシートの仕様に乗っていたこともあり、この2点は筆者の譲れないポイントでもあった。
■マイナーチェンジで新しい装備に惹かれA3セダンに乗り換え
2014年からA3スポーツバックに乗り続け、初回車検を通してしばらく経った頃の2017年にA3シリーズがマイナーチェンジした。
バーチャルコックピットや内装イルミネーション(シフトなどのスイッチ類)の白色化(以前のA3シリーズの内装イルミネーションは赤色)など、新しい装備や細かな改良によって、より魅力的になったA3もいいなと思っているうちに、乗り換える話が進み、2018年にA3スポーツバックからA3セダンに乗り換えた。
同じ世代A3シリーズに乗り換える際にこだわったポイントは、やはり外装や内装の装備だった。A3スポーツバックからA3セダンに乗り換える際は、スポーティな内外装を持つS-lineを選んだ。もちろんヘッドライトはLED。シートは一部がレザーとなるコンビシートとなったが、座ったときの収まり感や心地よさに惹かれてS-lineを選んだ。
■さらなる転機でクラスをアップさせてA4セダンへ
マイナーチェンジ後のA3セダンS-lineに乗っていると、さらに上のモデルが気になりはじめた。このときの筆者はクルマの沼にハマっており、新しいモデルや気になるモデルがあると「乗り換えてもいいかもしれない」と思っていた。この「沼っている」時期に耳に入ったのが、A4シリーズのディーゼルモデルの登場だ。
A4シリーズは、2016年に5代目となり、2020年に大幅改良され、2021年にA4シリーズ初となるクリーンディーゼルモデルが日本に導入された。このニュースを聞いたときは、「A3セダンで十分」と思っていたが、「アウディはA4以上が本当のアウディ」という過去に聞いていた言葉を思い出した途端、急にA4が気になりはじめた。
アウディA4シリーズは、縦置きエンジンのFFまたはquatro(4輪駆動)をラインナップしている。この「縦置きエンジン」がクルマにどのような影響を及ぼすのか身を持って知りたくなったのである。
そして、思い切って、2021年にA3セダンからA4セダンのクリーンディーゼル車に乗り換えることを決意。このときは、あえてFFモデルを選んだ。
その理由は、これまで横置きエンジンのFF車を乗り継いできたためだ。エンジンの置き方が横置きから縦置きに変化すると、クルマにどのような影響を及ぼすのか気になりFFのグレードにした。
また、ヘッドライトはマトリクスLEDヘッドライトを選び、シートは夏の熱さ・冬の冷たさを避けるためにあえてファブリックを選択。レザーからファブリックにするとグレードダウンしたように思う方もいるかもしれないが、日常的に運転する筆者はレザーシートの見た目や質感よりも使いやすさを重視した。そのため、あえてファブリックシートを選んだ。
このように、さまざまな変化を経て、筆者は2025年現在もA4セダンに乗り続けている。そして、2025年の3月にはA4シリーズがA5シリーズに統合された。
今後、アウディは偶数(A4、A6、A8など)モデルがBEV、奇数(A1、A3、A5など)モデルがICE(内燃機関)搭載モデルに移行すると発表されたが、その後パワートレインによってモデル名を分けることをやめ、従来のようにA1、A3、A4、A5、A6などを車格を表す表記とし、モデル名にボディスタイル(Avant、Sedan、Sportbackなど)やパワーユニット(e-tron、TFSI e、TFSI、TDIなど)を付ける方向になった。
■現在の愛車A4セダンに乗っていて感じることは時間の経過と質感の変化
現在、A4セダンに乗っていて改めて思うことは、初めての外車&こだわりの装備を選んだA3スポーツバックのことが忘れられないということだ。
A3スポーツバックを購入するときは、長い時間をかけて悩み、装備にこだわっていたという思い出がある。このことが今も忘れられないクルマとして脳裏に焼き付いているのだろう。
思い入れや思い出のフィルターがA3スポーツバックを美化していることもあるかもしれないが、フルモデルチェンジした新しいA3シリーズを見て乗ったときに、筆者はあることを感じた。それが、クルマの質感の変化だ。
筆者がA3スポーツバックを購入した時期と重なる2010年代のアウディは、フォルクスワーゲングループの中級以上のクルマをアウディが担うという立ち位置が明確だった。そのため、同じプラットフォームを使いながらもデザインや装備へのこだわりを感じることができた。
しかし、時間の経過とともに、フォルクワーゲンの質感が向上し、アウディとフォルクワーゲンの質感の差別化が主にデザインのみとなり、これまでのような質感の差別化が少なくなっていった。言葉を選ばずにいうと、アウディの質感が少し下がったように感じる。
そのため、2010年代のモデルによる差別化が明確化していた頃のクルマが良かったのではないかと今でも思う。
■こだわったクルマは目移りするモデルがあっても乗り続けるべきか?
クルマ選びをするとき、外装・内装の装備にこだわったり、長い時間をかけて考えて悩んだりすることがある。このように時間をかけて悩んで、こだわったクルマは自然と思い入れが強くなる。
時間をかけて悩んでこだわったクルマを購入すると満足度は高いが、その後に登場する新しいクルマに目移りすることがある。このような目移りによってクルマを乗り換えてきた筆者から読者の皆さんにお伝えできることは、「時間をかけて、悩んで、こだわって選んだクルマを手放すと後悔する可能性が高い」ということだ。
そのため、時間をかけて悩んで選んだクルマ、どうしても譲れない装備を予算オーバーしてまで選んだクルマ、こだわって選んだクルマは「このクルマいいなぁ」と思うモデルが登場した後もしばらく乗り続け、新しく気になるクルマは試乗程度に留めておくことをおすすめする。
環境の変化などによって乗り換えなければならない理由がある場合はやむを得ないかもしれない。しかし、特に乗り換える理由がなく新しいクルマの方がいいかもしれない・・・と思うだけの場合、悩んで選んだクルマに乗り続けるという選択をした方が良いと筆者は思っている。
どうしても新しいクルマが気になるときは、競合他社のモデルも含めて複数回試乗し、今のクルマより気になっていたクルマの方がいいという結論になったときは乗り換え、今のクルマでも十分だと思うのであれば乗り換えを控えたほうがいいだろう。
[画像・トヨタ、アウディ / 撮影&ライター・齊藤優太]