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ドイツ現地レポ

更新2017.12.28

ドイツでの聖夜に遭遇した真っ赤なスポーツクーペ!フォルクスワーゲン・シロッコ

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守屋 健

皆さんはクリスマスをどう過ごされましたか?筆者は、まさにクリスマス本番といった雰囲気のベルリンを歩き回って楽しみました。現地では子どもたちが大はしゃぎなのはもちろんのこと、ご年配の方々もサンタクロース帽子を率先してかぶってお出かけするなど、すべての世代が全力で楽しんでいる姿が印象に残りました。

そんな中遭遇したのが、サンタクロースの衣装を思わせる真っ赤なボディの、それでいて渋い佇まいのスポーツクーペ。今回ご紹介するのは、フォルクスワーゲン・シロッコです。

迫力ある外観の日本未導入モデル「GT Ⅱ」




フォルクスワーゲン・シロッコの初代モデルがデビューしたのは1974年。ジョルジェット・ジウジアーロによる端正なスタイリングが目をひくスポーツクーペでした。今回ご紹介するシロッコは、1981年に登場した2代目モデルです。デザインはフォルクスワーゲンの社内デザイナー、ヘルベルト・シェーファーによるもの。初代のイメージを引き継いだスッキリとしたラインと、少しグラマラスになったリアが特徴です。



写真の個体は日本未導入の「GT Ⅱ」というモデルです。日本に導入されたのは、導入順に「GTi」「GTX」「GTX-16V」となっており、1988年に後継車のコラードの発表に合わせて輸入がストップしますが、ドイツの国内向けの生産は1992年まで継続されます。2代目シロッコの最後の限定モデルが「GT Ⅱ」で、日本への輸出が途絶えた後の1989年から1992年まで、18,947台が製造されました。



日本に導入されていた「GTX-16V」同様に、オーバーフェンダー、フロントスポイラー、リアエプロン、リアスポイラー、サイドスカートなどのエアロパーツをすべて装備しており、標準モデルに比べてかなり迫力のあるのルックスになっています。写真には写っていませんが、「GT Ⅱ」独自の装備としては、スチールスライドルーフ、高さ調節機能付きのスポーツシートなどが装備されています。

駆動系は「GTX-16V」から流用し、1.8リッターの直列4気筒DOHCエンジンは129hpを発生。全長4050mm、全幅1640mmのコンパクトなボディを最高速度200km/hまで引っ張りました。現代の基準からすると、特別優れたスペックではありませんが、この小柄な車体をマニュアルトランスミッションで操ったらきっと楽しいでしょうね!

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シロッコの名前は、あのイタリアンクーペと同じ由来?




車名のシロッコは、アフリカ北部の砂漠地帯から地中海地方に吹く、砂塵を多く含んだ熱風の総称です。シロッコは国によって呼び名が変わり、リビアでは「ギブリ」と呼ばれます。そう、あのマセラティ・ギブリとは呼び名のルーツを同じくするクルマなのですね。フォルクスワーゲンには他にも「風」にちなんだの車名が存在していて、「パサート」は貿易風、「ジェッタ」はジェット気流が由来となっています。

2代目シロッコを生産していたのはドイツのコーチビルダー、カルマンでした。フォルクスワーゲン・カルマンギアクーペを製造していたのは1955年から1973年で、その後を引き継ぐように初代シロッコの生産を開始。2代目シロッコの製造も担当するようになります。その後もオープンカー生産のスペシャリストとして名を馳せますが、世界経済の後退により、そうしたスペシャリティカーの需要が低下。そのあおりを受けて、2009年に倒産してしまいます。

3代目シロッコも生産終了!EVでの復活はあるのか?




シロッコ自体も、2008年から3代目が生産されていましたが、日本市場では2014年に販売を終了。2017年には3代目シロッコの製造終了が発表されました。40年以上の歴史を持つスポーツクーペが、またもやフォルクワーゲンから消えることになったのです。

エンジンは量産車から受け継ぐものの、流麗なデザインと優れたハンドリングが美点だったフォルクスワーゲンのスポーツクーペ、シロッコ。しかしシロッコの名の通り、また風向きが変われば、シロッコの名を冠したスポーツモデルが将来復活するかもしれません。

はたしてEVのシロッコは、今までのシロッコのような特徴を備えたスポーツクーペとして登場するのでしょうか?そんな日が来ることを期待したいものですね!

[ライター・カメラ/守屋健]

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