
ドイツピックス
更新2017.04.15
<VWディーゼルゲート事件>いま、我々は知っておく必要がある。
外車王SOKEN編集部
答えは「ノー」である。
環境団体のICCTは、フォルクスワーゲンのディーゼル車に関する問題を公にした。さらに、追加で行った測定調査の結果、他のブランド車でも相当の問題点が発見されたのである。

ICCTのPeter Mock氏は「独Auto Bild誌」に対し、最新のBMWのX3も欧州基準の11倍だったと語った。これはフォルクスワーゲン パサートを上回るほどの数値であったという。Mock氏は、その要因の一部が不正ソフトウェアにあるかどうかは明確にしなかった。検査を行った2リッターのディーゼルエンジンはBMW車に幅広く採用されているエンジンである。
今回の一件のエンジンが搭載されているのはどの車種なのか?
フォルクスワーゲンに関しては、排気量1.6および2.0リッター、4気筒のディーゼルエンジン「EA189」型で、2008年以降のフォルクスワーゲングループ車で使用されている。搭載車種はジェッタ、ゴルフ、ビートル、ティグアン、パサートであるが、アウディのモデルの一部やシュコダとセアトで使用されている。
アウディはA1、A3、A4、A6の各シリーズでこのエンジンを使用しているほか、シュコダはファビア、ルームスター、オクタビア、スパーブ(2009~2013年モデル)に搭載している。フォルクスワーゲンによると1,100万台の車が影響を受けたという。同社は影響のあった車種の詳細をリストアップする作業を急いでいる。
今回の一件のエンジンが自分の車に搭載されているかをどのように見分けるのか?
まずはエンジン番号を見てほしい。
最大3つの文字と数字から成る番号で、今回のケースでは「EA189」がそれに該当する。フランクフルトで営業しているフォルクスワーゲンのとあるディーラーによると、「そのエンジン番号は、エンジンブロックに刻印されている」という。現状ではドブリント運輸大臣による要請を受けた最新の第三者トライアル実験のみが確実視されているところだ。
ベストシナリオ:フォルクスワーゲンはドイツでは不正を行っていなかった。今回の事件後、全て問題なしという発表がなされる。
最悪のシナリオ:ドイツでも排気基準を満たしていなかった。
最新情報: アレクサンダー・ドブリント運輸大臣は、欧州車でも不正の影響がみられたと発表した。
これは水曜日(9/23)にウォルスブルクでの委員会によるヒアリングで明らかになったもの。そのため、フォルクスワーゲン顧客にとってのハッピーエンドの可能性はますます低くなった。
しかし、フォルクスワーゲンは規制に従うためにエンジンのリコールを提案して修理しようとするだろう。
そこで次に問題になるのが、新しい制御ソフトウェアで満足いく結果が得られるかどうかだ。おそらくは排気基準をいくらか満たすとみられるが、性能、燃費、それらの諸要因により車への再装備が必要になるだろう。これが相当の規模でなされれば、顧客は補償金やリコールを求めるであろう。
ただし、この問題を考えるのは時期尚早だ。
問題のある車を注文した顧客はその車を引き取るか購入を止めるかを慎重に考えなくてはいけない。フォルクスワーゲンが現在の状況で契約を履行しようとするかは事前には分からない。気乗りしない顧客に対して、ディーラーは同等品質のガソリン車を勧めるだろう。この状況を解決するのに最も妥当と言える方法かもしれない。これが特に当てはまるのは、他ブランドのディーゼル車に乗り換えるか迷っている人である。
問題のあるエンジンを搭載したフォルクスワーゲン車を売却
個人的な考えだが、これは考えられる最悪の状況だと思われる。
あなたは次のように言うかもしれない。「それは残念。自動車サイトの情報によると、フリーマーケットでのこのモデルに対する需要はすでに急減している。このような車はいまは売れない。うまく売れたとしても、かなりの損失が見込まれる。旧モデルを維持し続けるほうがベストだ。そしてフォルクスワーゲンがドイツでの状況を迅速かつ満足できる内容でどうにか解決するとしても、中古車価格はディーゼルゲート事件前の水準ほどには上がらないだろう。」
実にシビアな話しだが、EA189ディーゼルエンジンを搭載した車の全オーナーは先週のうちに何千ユーロもの損失を被った。この損失は他のメーカーにも影響が及ぶかもしれない。ユーロ5やユーロ6に準拠したディーゼル車を現在も所有していて、これを売りたいと思っているユーザーにとっても逆風だ。
逆説的ではあるが、旧式モデル車のオーナーはいま安堵の一息をつくことができるのかもしれない。
編集部所感:ウォーターゲート事件に準えて、ディーゼルゲート事件として呼ばれつつある今回の問題。最近では東芝不正会計など、大企業には哲学が欠落しているのだろうか…。
出典・参照元:http://www.spiegel.de/
[ライター/CL編集部]