更新2022.08.20
絵描き屋の独り言「カーイラスト旅日記」vol.20:ランデヴーフレンチレトロプチ2022
きもだこよし
少し前のことですが、絵描きは初夏に向かうゴールデンウィークに長野県は伊那におりました。
ここで小さなイベントが開催されていたからです。
去る4月29日に、隠れ家的美術館で開催されたフレンチイベント「ランデヴーフレンチレトロプチ2022(以下、RFR)」に参加するためです。
RFRは、2018年より開催されたフランス車のイベントです。
初回は名古屋のトヨタ博物館にて開催されましたが、2019年より活動拠点を長野県の伊那に変更、現在に至ります。
しかし、この2年ほどはご多分に漏れずイベントは自粛となりました。
その結果、活動が思うようにできず、今回状況を伺いつつの再始動のための「試用」として開催されました。
それゆえにタイトルの末尾に「プチ」と付いたのです。
■目指したのは小さなFBM
会場である「アンフォルメル中川美術館」は伊那の山中にあり、はたしてここに本当に案内にあったような建物があるのであろうか?と心配しながら上がっていきました。
ひとしきり登りきり、ほんの少し下った先には森を切り取ったようにその美術館があって思わず「おお!」っと声が出たほどです。
美術館の前には未舗装の駐車場が広がり、木陰に止めたクルマたちが長旅の疲れを癒すか様にたたずんでいます。
会場全体を入れてもおそらく50台も入ることができればよいのではないかと思えるスペースですが、これこそが「主催者の目指す小規模な地域密着のイベント」だったそうです。
今回はもちろん「お試し開催」のため、過去に行われたイベント行事としての催しは行われていません。
本来であればこちらでさまざまなフランス雑貨を展示販売したり、停止線合わせ競技などの開催がされているはずでした。
来季はコロナ禍という制約がなく、通常開催をされてほしいところです。
*画像は2018年のRFRにおける停止線競技の様子。いかに青い線に近づけるかを競う
■「アンフォルメル中川美術館」とは?
会場である「アンフォルメル中川美術館」は、建築家毛綱毅曠(もづなきこう)の設計による建物でかなりとがった印象を受けます。
伊那の山中にある美術館からは天竜川を見下ろす眺望に恵まれ、その風景さえも楽しませてくれます。
展示室では20世紀半ばの端緒を開いたアーティストたちのさまざまな作品が展示されております。
この美術館を立てた鈴木崧(すずきたかし)は画家で詩人であり、また経営者として多彩な活躍をしてきた人物です。
フランスのアンフォルメル芸術運動に感銘を受けた鈴木崧がアンフォルメルの名を冠して創立、その後、中川村に移譲され改修。1993年に開館いたしました。
余談ですが、アンフォルメルとは「アン・フォルム(形にとらわれない)」という意味の言葉です。
形にとらわれない芸術と、形にとらわれず行いたいと考えるカーイベントはともにフランスでつながっている。
なんとも面白いと感じるのは絵描きだけではないと思います。
■今日の1枚
今日の1枚ですが、シムカ1000とアルピーヌ・ルマンとなっています。
え?どこにも参加をしていないじゃないか。そう思われるかもしれません。
そうです。こちらは2019年開催の時の参加車両です。
RFRではその年のコンクールデレガンスでの優勝車両が翌年のポスターとして描かれます。
よって、今回の受賞車両のイラストが来季のRFRのポスターになります。
どんな車両かですって?それは次回のRFRの募集に目を光らせていてください。わかりますので。
■小規模だからこその地域との交流できるイベントを目指して
RFRは主催者が地域との交流を第一に考え、小さくても地元の方々とフランス車というクルマを媒介にして何かができないかと考えて今に至っています。
そのこともあり、長い時間をかけて中川村や会場であるアンフォルメル中川美術館にも理解をいただき取り組んできました。
決して大きくはないイベントです。
それでもフランスという接点を持って長く交流が続いていければと思っているそうです。
地元に歓迎されながらクルマを楽しみ地域を知っていく。
それこそが旅でありイベントの醍醐味のではないでしょうか?
いつか色とりどりのオールドフレンチの車両が美術館の展示品のひとつのように立ち並び、そこに訪れるのを楽しみに一般の方や地元の方もがやってくる。
そんなイベントが育つことを思いつつ、絵描きは次の旅へと向かいます。
■アンフォルメル中川村美術館
https://www.informelmuseum.com
■きもだ こよし プロフィール:
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[ライター・撮影/きもだ こよし]