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更新2020.11.29
開催10年目を迎えた岡山県をめぐるラリーイベント、ベッキオ・バンビーノ2020秋季大会
野鶴 美和
毎年春と秋に開催。地元の風物詩として愛されているイベントであり、チャリティーイベントでもあります。収益金は、交通事故遺児就学支援や東日本大震災被災地の子供たちの受け入れ、西日本豪雨災害の復興支援などに活用されています。
今年は10周年の記念大会。しかし、コロナ禍の影響で春季大会の開催は見送られました。「なんとか継続させたい」という実行委員会メンバーの強い思いのもと、感染防止対策に万全を期してこのたび秋季大会が無事に開催されました。
まずは大会を終えての思いを、ベッキオ・バンビーノ実行委員会主宰・須々木雄一さんに伺いました。
▲ベッキオ・バンビーノ実行委員会主宰・須々木雄一さん。開会式にて
「コロナ禍での開催ということで、運営側はいつも以上の緊張感に包まれていました。 まずは、事故や大きなトラブルもなく2日間を終えられたことに安堵しています。 また、エントラントによるチャリティーオークションと、立ち寄り先のみなさまにお寄せいただいた募金額も172万円を超えました。これは2日間の合計金額としては過去最大です。 コロナ禍で大変な思いをされている中、ご協力いただいたみなさまには本当に感謝しています。責任をもって『今お困りの方』にお届けいたします」
■風光明媚な岡山県東部をめぐる2日間
今年のコースは「岡山縣護國神社」を起点に、風光明媚な海沿い地域のチェックポイントを通過して県北部へ。宿泊地の「湯原温泉郷」を目指します。2日目は県北部のチェックポイントをめぐり、岡山市へ戻ります。今回のコース作成でこだわった点を須々木さんに伺いました。
「コース作成で毎回心がけていることですが、カーナビでは案内の出ない信号や、交通量が少なく景色の美しい道路をリサーチしてつなぐようにしています。今年は2日間で約450キロのルートを作りました。 海あり・山あり・湖あり・温泉ありで、岡山県の東半分の魅力をご堪能いただけたはずです」
[画像提供/ベッキオ・バンビーノ実行委員会]
■ベッキオ・バンビーノ2020 初日スタートの様子
「岡山縣護國神社」からのスタートは、毎年恒例となっています。華やかなセレモニーも行われるので開幕の高揚感を味わえます。開会式で「胸がいっぱい」とスピーチした須々木さん。言葉にこめられた思いを教えていただきました。
「各地から駆けつけてくださったエントラントのみなさんの顔を見ながら話していると、感謝の念とともにコロナの影響で中止となった春季大会の無念や、開会式までの準備期間を思い出し、胸が熱くなりました」
▲今年は県内外から72台がエントリー
▲岡山中央署による交通講話も。「子どもたちに憧れられるドライバーに」と呼びかけ
▲岡山県警音楽隊による演奏がセレモニーに花を添える
▲8時半をまわり、いよいよスタート。ギャラリーからは次々に「いってらっしゃい!」「楽しんでね!」と声援が。スタートするトライアンフ TR3(1961)
▲愛機ライレー 9(1927)とともにスタートする須々木さん
▲アルピーヌ A110 ベルリネッタ 1300(1976)
▲沿道では地域のみなさんが撮影や声援を送る。イベントの定着度の高さを感じる場面
▲ベントレー 3リッター スピードモデル(1926)
▲ロータス セブン Sr.1(1957)
▲フェラーリ 365GT4 BB(1974)
▲ランボルギーニ カウンタック 5000QV(1986)
■次々にゴールするマシンに少年たちの歓声があがる
大会2日目。終点は「岡山プラザホテル」です。エントラントが到着し始めたのは、日差しが柔らかな赤みを帯びてきた頃。マシンが会場に姿を現したとたん「かっこいい!」とギャラリーの少年たちが歓声をあげました。
「ベッキオ・バンビーノ」とは、 イタリア語で子どもの心を持ち続ける大人。「永遠の少年」を意味します。いつの日か、憧れのまなざしを注ぐ少年たちが乗り手になっているかもしれません。クルマを取り巻く環境は変わっても「クルマが好きってすてきなこと」が続いていくようにと願わずにはいられません。
▲かつてはエントラントも「あの日の少年」だった
▲フェラーリ 348GT(1989)、512TR(1993)、458イタリア(2017)
▲モーガン プラス4(1996)
▲アルファ ロメオ 2000スパイダー ヴェローチェ(1973)
▲ポルシェ 912(1969)
■ベッキオ・バンビーノ2020 2日間を振り返って
エントラントのみなさんに、2日間を振り返っていただきました。
MG-A
1958年式
獅子堂正徳さん正子さんご夫妻
「天気に恵まれて良かったですね。蒜山(県北部)は紅葉していて綺麗でした。岡山県は景色の良い道が多いです」
とオーナーの正徳さん。愛機MG-Aは英国製ですが、オクラホマ州にあった個体を見つけて個人輸入し、車検を通したそうです。一昨年にオーバーホールも行い快調だそう。「これからも大事にしていきたいです」と語ってくださいました。
▲ターコイズブルーのボディが大変美しい
トライアンフ スピットファイア コンペティション
1974年式
那須啓文さん香音さん親子
「過去最高の大会だったと思います。コースがすごく良くて、今年いちばんの楽しい思い出になりました。大会中は色んなクルマの後ろを走って、美しいスタイルと排気ガスの香りを楽しんでいました(笑)。365BB、とってもいい香りでした!」
とうれしそうに話すオーナーの啓文さん。2日間を五感で楽しんだという満足感が笑顔にあらわれていました。愛娘の香音さんは高校1年生で、ベッキオ・バンビーノは2年ぶり。小学2年の頃から参加しているそうで、エントラントのみなさんから健やかな成長ぶりを喜ばれたそうです。「将来はドライバーとして出走したい」と頼もしいコメントも!「“クウォリティ”の高いナビでした」と啓文さん大絶賛でした。
▲愛機はレースひと筋だった啓文さんが“競技の育児休業中”に入手
■ベッキオ・バンビーノ、11周年・17回大会へ向けて
最後に、11年目の開催へ向けての抱負を須々木さんに伺いました。
「おかげさまで、実行委員会を立ち上げた当初の目標の10年間の継続が叶いました。
11周年・17回大会を迎える来春4月以降も大切な仲間たちと次の10年に向かい、これまで通りお関わりいただくすべてのみなさまが『楽しかった』と言っていただけるような夢のあるラリーを作っていきたいと考えています」
盛況のうちに幕を閉じた岡山県が誇るラリーイベント、ベッキオ・バンビーノ。新型コロナウイルスに屈することなく、これからも継続されることを祈るばかりです。
ベッキオ・バンビーノ公式ホームページ
http://vecchiobambino.com
[取材協力・画像提供/ベッキオ・バンビーノ実行委員会]
[ライター・撮影/野鶴 美和]