ライフスタイル
更新2020.08.19
25年前の日本では憧れだった、または定番だったカー用品たち
松村 透
さらに、スタジオジブリの「紅の豚」や、ホイットニー・ヒューストンの「I Will Always Love You」が主題歌だった映画「ボディガード」が公開されたのもこの年でした。色々とエピソードを盛り込んでみましたが、当時のことを思い出せましたでしょうか?
そんな25年前には憧れだったもの、定番だったものを振り返ってみようと思います。
カーナビ
▲いまや、レンタカーでもほぼ標準装備となったカーナビ。カロッツェリアから発売されたGPS搭載カーナビファーストモデルのインパクトは強烈でした。フェラーリ テスタロッサを操る元F1レーサーのジャン・アレジが出演するCMを記憶している方も多いはず。「あの星は僕のためにある」は、個人的にも強烈なインパクトを残した名コピーだったと思います。当時「あのクルマは僕のためにある」と信じて疑わなかったテスタロッサは、いまや光年の距離のごとく遠い存在となってしまいましたが・・・
自動車電話
▲いまやまず見掛けなくなった自動車電話も、当時は一世を風靡しました。現在とは比較にならないほど高額な通話料を気にすることなく通話しながら運転しても、当時はキップを切られませんでしたね。「自動車電話風アンテナ」をトランクに何本も装着しているクルマもいました。現在ではインターネットオークションに出品されると高値で取り引きされており、1980年代後半〜90年代半ばくらいの一部クルマを所有するオーナーにとってマストアイテムとなっているようです
18インチホイール
▲BBSやOZなど、18インチホイールの存在感は別格でした。当然、価格も別次元。18インチのBBS RSにブリヂストンから発売されていたエクスペディアを組み合わせると、あっという間に100万円オーバーという時代でした。当時と比べると、18インチサイズもずいぶんと庶民的な価格に落ち着いてきましたが、ここでもやはり、BBS RSなどの「当時モノ」のホイールは現存数が限られるゆえ、インターネットオークションでも人気となっています
メルセデス・ベンツのスタックゲート
▲いまやステアリングコラムに据え付けられているレバーでシフトチェンジすうようになり、気づけばすっかり姿を消してしまった、メルセデス・ベンツのスタックゲート。後に日本車でも採用する車種がありましたが、スムーズな操作感はメルセデスのそれに勝るものなし。シフトレバーやその周辺部をウッドやウォールナット製に交換したり、細部にいたるまでカスタマイズを施したメルセデス・ベンツも存在しましたね
フェラーリのシフトゲート
▲こちらももはや絶滅危惧種。フェラーリを買うというだけでなく、このシフトゲートが操作したいという理由で、本当に実車を買ってしまった人がいるとかいないとか…。サードパーティー製ながら、ユーノスロードスター用のシフトレバーで、フェラーリのシフトゲートを想起させるようなアイテムが発売されたり、通称「フラッシャー自転車」と呼ばれる少年用の自転車にもシフトゲートを想起したような凝ったギミックのモデルも誕生しました
ポルシェのティプトロニック
▲マニュアル操作もできるオートマチックということで、当時のインパクトは絶大でした。このティプトロニックが採用されたことにより、ポルシェの裾野が一気に広がったのも事実です。964以降、いまもティプトロニック仕様の個体が現存していることを鑑みると、日本の高温多湿で渋滞が多い過酷な使用環境にも耐えうる耐久性を併せ持っているといえそうです。もちろん、それぞれの個体をメンテナンスする主治医の存在があればこそ、ですが・・・
シザーズドアやガルウィング
▲まさに時代を超えた最強の飛び道具ではないでしょうか。かつては、後付けでシザーズドアやガルウィング仕様にカスタマイズするとなると膨大な費用が掛かったものですが、キット化されてからはいくらか現実的な価格に近づいたように思います。そのお陰で、スポーツカーのみならず、4ドアセダンやSUV、果てはリムジンまでもがシザーズドアやガルウィング仕様にカスタマイズされることに。かつて、ある俳優さんが、ポルシェ928S4をガルウィングに改造していましたね。あのクルマはどこへ…。
RECAROシート
▲シートといえばRECARO。交換するならレカロ。ヘッドレストに刻まれた"RECARO"の文字が刻まれたシートを愛車に装着するだけで、スペシャル感が増したような印象になったのは気のせいではないはずです。現在は鮮やかなブルーやグリーンなど、カラフルなバリエーションも存在しますが、かつては黒を基調に、ブラウンやグレーなど、当時のヨーロッパ車の内装色にマッチした色合いのものが多かったように思います
280ps
▲最近でこそ500psを超えるクルマも少なくありませんが、長らく、カタログ上の日本車の最高出力は280psに抑えられてきました。ハイパワーな日本車=280psという図式が刷り込まれてしまった方もいらっしゃるはず。この自主規制が反骨精神を生み、日本車のチューニング文化が花開いたようにも思えてきます。日産スカイラインGT-R(R32)が現役当時から、マフラー、エアクリーナ、コンピューター交換であっという間に400psオーバーという時代もありました
マルチビジョンモニター
▲いまでこそ、センターコンソールの一等地を独占するようになったカーナビ(およびテレビ画面)のモニタ−。テスラやトヨタ プリウスPHVなど、タブレット端末以上の大画面モニターがセンターコンソールに収まり、その画面サイズは巨大化する一方。かつては、日本車であれば、最上級グレードなどにマルチビジョンモニターセンターがオプション設定されたり、コンソールを大改造してテレビモニターを埋め込んだものです。そのうち、メルセデス・ベンツSクラス(W/V126)専用品も発売されるようになりました
正規ディーラーのステッカー
▲当時「並行モノ」を購入した人にとって、喉から手が出るほど欲しいアイテムだった(はず?)の「正規モノ」をアピールするステッカー。気づけばネットオークションでも出品されるようになってしまい、各メーカーがコピー不可の対策品を用意することに…。気になるクルマがいますぐ欲しい!となると、「正規モノ」では即納はほぼ不可能。納車まで1年以上掛かることも珍しくありませんでした。そうなると、即納にこだわるなら並行車の方が手っ取り早い時代がありました
MacIntoshやNakamichiのデッキ
▲カーオーディオでも別格扱いといえば、MacIntoshやNakamichiでしょうか。このデッキが装着されていると「おっ、こだわってるな」の無言のオーラが感じられました。カー用品店でもこれらのメーカーは別格の扱いでした。かつて、カー用品店でかなりの面積を占めていたカーオーディオコーナー。最近はよほどの大型店舗でない限り、ずいぶんと縮小されてしまった感があります。1DIN、2DINという言葉がいずれ聞かれなくなっていくのでしょうか・・・
フルオーディオシステム
▲トランクがすべてウーファーとスピーカー、アンプなどで埋め尽くされ、荷物はどこに置けばいいの?と本気で迷ってしまうほどのカスタマイズを施すクルマもありました。腕利きのオーディオショップも数多く存在し、車両本体価格が200万円のクルマに150万円のオーディオシステムを組み込むようなツワモノも。現在のように、誰もが手軽に高音質を味わえる時代になってしまうと、伸びしろが減ってしまう分、よりマニアックな世界になってきているのかもしれません
お気に入り(または憧れの)メーカーやチューニングメーカーのパーツ
▲AMGのステアリングや、RUFのエンブレム、ケーニッヒのステッカー、ACシュニッツァーのペダルキット・・・。実車は夢物語だけど、せめてそのメーカーやチューニングメーカーのパーツを購入して、自宅の部屋に飾っていた方もいるのではないでしょうか。 念願かなって手に入れたクルマに装着できた一方、そのまま実家の押し入れに眠ったままデットストック品に。気づけば当時以上に価値ある一品に。インターネットオークションに出品するか、このままお宝として持ち続けるか・・・。悩ましいところです
コンプリートカー
▲アガリとしてはこれでしょうか。「仕様」「なんちゃって」「○○○ルック」。これらのレプリカを一蹴するオーラがコンプリートカーにはありました。分かる人には分かる。本物のコンプリートカーだけが醸し出せる雰囲気。すべてにおいて別格でした。海外のサイトで日本にあったことが分かる個体を見つけることもしばしば。反面、まだまだ日本に現存している個体もあるようで、これからもこの国に留まって欲しいですね
いまより不便なこともたくさんありましたが、もっと良い音が聴きたい、もっとクルマを格好良くしたい・・・等々の「伸びしろ」や「余白」がたくさんあったこともまた事実です。
これからさらに25年後、スマートフォンやハイブリッドカーなど、現在ではごくごく当たり前となっているものたちがどのように変化しているのでしょうか・・・。
[ライター/江上透]