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更新2019.07.22

人生どこでどうなるかわからない。自分でもスーパーカーに乗るとは思ってもみなかった

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JUN MASUDA

ボクは庶民の出である。

正直言うと、両親はずっと賃貸住まいで、終生持ち家を持たなかった。
つまり、裕福ではなかったということだ(貧しくもなかったが)。

だから、ボクはなんの後ろ盾もないし、誰からの援助も受けることができなかった。

人生とは変化の連続である



ボクは以前、フェアレディZ(Z32)に乗っていたことがある。

そして、何度かスポーツカーや、スーパーカーの集まりに参加したこともある。

そのとき、ボクはスーパーカーに乗る人々を見て、「異星人のように、自分とは縁遠い存在だ」と思ったものだ。

そして異星人たちの乗るフェラーリやランボルギーニは、UFOと同じくらい、ボクとは違う次元に存在する乗り物だった。

そう考えると、あの頃「異次元の乗り物」だと考えていたスーパーカーに乗り、自分が「異星人のようだ」と考えていたスーパーカーオーナーとなったのは、人生どうなるかわからないという典型例のようなものだ。

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ただ、ボクはこう思う。

「そうなりたい」と思わなければ、「なりたい自分になれない」のだ、と。

かつてボクはスーパーカーミーティングに参加し、スーパーカーオーナーたちと話をした。
そして彼らを異星人のように感じはしたが、同時に「彼らのようになりたい」とも考えた。

そのときはスーパーカーについて、「どれだけ手を伸ばしても手が届かない」存在だと考えていたから、具体的に「彼らのようになるために」なにか努力をしたわけでもない。

ただ、漠然とでも、ボクは「スーパーカーを自分のものとして、自分のガレージに収めたい」と考えた。

それでも人生に転機が訪れ、スーパーカーに乗ることができた。

もし彼らに出会わなければ、転機が訪れたとしても、ボクは永遠にスーパーカーを手に入れようとすら思わなかったかもしれない。

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可能性はとても重要だ


ボクがここで述べたいのは、可能性の話だ。
たとえば、ボクは過去にいくつかのカークラブに属したことがあるが、いずれも「排他的」だった。

特定車種のクラブだから仕方がない部分はあるものの、そのクルマに乗っている限り、クラブのメンバーは「仲間」として接してくれたが、そのクルマを売ってしまうと、その瞬間からボクは仲間ではなくなるのが寂しかった。

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同様に、「そのクルマ以外では参加が許されない」クラブもある。
そういった排他性がクラブを成立させていることは十分に理解しているが、「制限」を行うということは、可能性を閉ざすということだとも考えている。

たとえば、特定車種専門のクラブがあったとして、そのミーティングがあったとする。
そして参加条件が「そのクルマに乗る人」だけだったとしよう。

そうなると、「そのクルマに憧れているが、そのクルマに乗っていない人」はミーティングに参加できない。
だが、その参加できない人は、もしかしたらそのクルマのオーナーになる可能性を秘めているが、ミーティングに参加できなかったことによって、そのクルマを所有するイメージが持てず、結局はそのクルマを生涯手に入れようとは思わないかもしれない。

つまり、条件を設けて可能性を閉ざすということは、ある意味では(この場合)そのクルマのオーナーを育成できないということにも繋がり、そのクルマの衰退にも繋がるわけだ。
そのクルマの純血を守ろうとした結果、滅びゆく可能性をはらむということはなんとも皮肉ではあるが、これがボクの考える「可能性における問題」だ。

ボクたちは常に未来を考えなければならない


そこでボクがいつも思い出すのがフェラーリである。
フェラーリは「フェラーリクラブ」という、オーナーのみによる厳密なクラブを運営する一方、フェラーリオーナーではないが「フェラーリのファン」である人々を楽しませるイベントも多数開催している。

そして、身近にフェラーリを感じられるよう、グッズを販売する「フェラーリストア」も多数展開中だ。

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フェラーリは非常に閉鎖的なようにも思えるが、その一方では開放的であり、可能性を制限していない。

閉鎖的、排他的なだけでは「未来のフェラーリオーナー」を損なうことになる、ということをわかっているのだろう。

ボクは、かつてスーパーカーの集まるミーティングにて大きな影響を受けたということもあり、ときどきミーティングを開催することがある。
そしてもちろん、そこには参加資格は設けていない。

なんらかの資格を設けて制限を行うということは、すなわち可能性を閉ざすことだと考えているからだ。

[ライター・撮影/JUN MASUDA]

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