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更新2017.07.30
ネオクラシックの名車が続々登場!トミカプレミアムのグッとくる魅力をレビュー
北沢 剛司
トミカプレミアムの特長とは?
トミカプレミアムは、おなじみのトミカサイズはそのままに、細部まで造り込みを行ったハイディテールのコレクションモデル。通常のトミカでは、幼児がケガをしないようにエッジ部分を丸めるなど、ボディ全体にディフォルメを施す場合が少なくありません。しかしトミカプレミアムでは、新規金型を使用してリアリティを追求。トミカとは一線を画した専用設計としているのが最大の特長です。
写真はランボルギーニ カウンタック LP500Sの比較例です。左は1970年代のスーパーカーブーム時代に発売された初期の製品で、右がトミカプレミアム製品。金型が別物であること、タイヤ/ホイールが専用品であることが一目でわかります。よく見ると、リアスポイラーの形状も大きく異なっています。
通常のトミカではリアスポイラーなどのエアロパーツはボディと一体成型されることが少なくありません。しかし、トミカプレミアムではそれらを別パーツで再現し、リアリティを追求しています。そのため、トミカプレミアムの対象年齢は6歳以上。トミカの対象年齢は3歳以上なので、小学生以上を対象としたミニカーとなっているのです。
ハイディテールとリーズナブルさを両立
トミカにはかつて「トミカリミテッド」というハイディテールモデルがつくられていました。トミカリミテッドは、通常のトミカの金型を使用しながら、細かい彩色を施すことでディテールを再現。さらに専用のホイールとゴムタイヤを奢ることで玩具的な印象を払拭するなど、大人の鑑賞に堪えるコレクションモデルでした。
価格的にもトミカが当時350円だった時代に700円というリーズナブルさで、発売当初は大きな話題となりました。しかし、商業的にはコスト面で難しい部分もあり、シリーズは現在休止中です。
トミカプレミアムは、そんなトミカリミテッドの後継商品であり、専用ホイールと細かい彩色はそのままに、タイヤをゴム製から樹脂製に変更。パッケージもアクリルカバーから紙製にするなど、コストを低減しています。特にタイヤについては、ゴム製から樹脂製に変更したことで、ゴムタイヤでは再現不可能だったタイヤの薄さを表現。扁平タイヤが多いスポーツカーではこの変更が有利に働き、完成度をさらに高めています。価格も通常トミカの450円に対して800円というリーズナブルさ。高価になってしまった1/43ミニカーなどとは違い、気軽に買えることも大きな魅力といえます。
2台のトミカの間には、実に40年間の隔たりがあります。こうして2台のカウンタックを見比べると、トミカが常に進化を続けていることがわかります。
クルマ好きが思わず唸るラインアップ
そんなトミカプレミアムのもうひとつの特長は、40代以上のクルマ好きがグッとくるような車種が揃っていること。シリーズのなかには自衛隊の90式戦車やT4 ブルーインパルスのような戦闘機、さらにJAXA はやぶさ2などのユニークなアイテムもありますが、ラインアップの大半はスポーツカー。しかもちょっと懐かしい国産車とスーパーカーが数多く含まれているのです。
▲ポルシェ 911 カレラ RS 2.7(No.12)
写真は2017年7月の新型車として発売された、ポルシェ 911 カレラ RS 2.7。なんと、ナナサンカレラがトミカに初登場したのです。専用開発のボディはドア開閉などのアクションを持たないディスプレイ志向。ご覧の通り、ホイールリムやヘッドライトリングなども彩色され、トミカの領域を完全に超えています。
ボディのディフォルメがなく、ホイールが専用品となることで、雰囲気は本格的なミニカーそのもの。800円のミニカーとは思えないクオリティを備えています。
▲ロータス ヨーロッパ スペシャル(No.05)
かつてトミカ外国車シリーズでも発売されていたロータス ヨーロッパ スペシャル。トミカプレミアム製品は新規金型による完全リニューアル版です。40年前につくられたトミカも良い出来でしたが、最新製品のシャープさはまさに別格。2017年9月には、人気キャラクターとコラボした「ドリームトミカ」シリーズとして、「サーキットの狼 ロータスヨーロッパ スペシャルが発売予定。もちろん特徴的なリアウィングと撃墜マークも再現されるので、こちらも楽しみです。
▲ランチア ストラトス HF ラリー(No.19)
こちらはランチア ストラトス HF ラリー。仕様としては、1977年のモンテカルロ・ラリー優勝車を製品化したものです。トミカではかつてランチア ストラトスのラリー仕様を発売していましたが、当時の製品はリトラクタブルヘッドライトが閉じていて、ボディ自体もロードバージョンがベースでした。現代のトミカプレミアムではライトポッドが大型化されボディもGr.4仕様になるなど、正確な仕様に改められました。アリタリアカラーのグリーンが明るすぎるのが難点ですが、ピレリカラーなどのカラバリにも期待したいですね。
▲ランボルギーニ カウンタック LP500S(No.10)
スーパーカーブーム時代を代表するモデルがランボルギーニ カウンタック LP500S。トミカプレミアムではウルフ・カウンタックの2号車を製品化しています。ちなみにトミカギフトセットの「ランボルギーニ セット」では、この金型を使ったカウンタックのトミカが含まれています。トミカプレミアムとは異なる雰囲気が楽しめるため、併せてコレクションしたい製品です。
▲フォルクスワーゲン タイプII(No.07)
フォルクスワーゲン タイプIIは、トミカ時代にはなかったアイテム。かつてトミカ外国車シリーズで発売されていた「フォルクスワーゲン マイクロバス」はいわゆる「T2」であり、「T1」としては初の製品化となります。ホワイトリボンタイヤの再現をはじめ、思わず手に取りたくなる可愛らしさが魅力です。
▲左:トヨタ スープラ(No.14)
▲中:ホンダ NSX Type R(No.21)
▲右:日産 フェアレディZ 300ZX ツインターボ(No.09)
トミカプレミアムの魅力は、’80年代から’90年代の国産スポーツカーが数多くラインアップされていること。写真のスポーツカーたちはいずれもトミカの通常品としてかつて発売されていたもの。当時を知るクルマ好きにとってはたまらないラインアップです。今回トミカプレミアムとして専用金型がつくられたことで、今後トミカ製品としてリリースされる可能性もあります。大いに期待が持てますね。
▲左:日産 スカイライン HT 2000 ターボ RS(No.20)
▲中左:日産 スカイライン GT-R(No.13)
▲中右:NISMO R34 GT-R Z-tune(No.01)
▲右:日産 スカイライン GT-R V-SPECII Nür(No.11)
トミカはスカイラインの歴代モデルが充実していることで知られていますが、それはトミカプレミアムでも変わりません。トミカプレミアムではドア開閉アクションを持たない製品が多数派ですが、スカイラインはいずれもドア開閉が楽しめます。これは最初からトミカへの流用を考慮した設計となっている証拠。すでにトミカ製品としてリリースされた車種もあり、結果的にトミカのクオリティも底上げされるという大きなメリットを生み出しています。
▲左:スバル インプレッサ 22B-STiバージョン(No.15)
▲中:三菱 GTO ツインターボ(No.18)
▲右:三菱 ランサー GSR エボリューションIII(No.23)
トミカプレミアムには、スバルや三菱のスポーツカーも製品化されています。なかでも三菱 GTOは、当時トミカとしてはラインアップされなかったアイテムのため、ファンにとっては待望の製品化でした。
▲左:タカラトミーモールオリジナル ランボルギーニ カウンタック LP500S
▲右:タカラトミーモールオリジナル フォルクスワーゲン タイプII ピックアップ
▲左:タカラトミーモールオリジナル 日産 スカイライン HT 2000 ターボ RS
▲中:タカラトミーモールオリジナル スバル インプレッサ 22B STiバージョン
▲右:タカラトミーモールオリジナル 日産 スカイライン GT-R V-SPECII Nür
タカラトミー公式通販サイトの「タカラトミーモール」では、トミカプレミアムの別注品をいくつもリリースしています。通常品とはカラーリングが異なるこれらの製品は、タカラトミーモールとトミカショップのみの販売。モノによっては早期に完売する場合があるため、日頃から情報を集めておく必要があります。
▲左:第44回東京モーターショー2015開催記念 トミカプレミアム TOYOTA
▲右:第44回東京モーターショー2015開催記念 トミカプレミアム NISSAN
こちらは東京モーターショー2015のトミカコーナーで販売されたトミカプレミアムの会場限定品。1人1個の販売にも関わらず、会期中に完売となりました。このほかにも東京オートサロン2016開催記念モデルとしてNISMO R34 GT-R Z-tune Proto.が発売されています。
東京モーターショーの会場限定品だったトヨタ S-FRと日産 IDSコンセプトは、後に一部仕様を変えてトミカプレミアムの通常品として発売されました。しかし、現在はどちらも廃番商品です。トミカプレミアムにはすでに廃番商品があるため、新製品が発表された際には、廃番になる商品を早めに入手しておいた方が良いでしょう。
スーパーカーブーム時代の名車からネオクラシックの国産車まで、クルマ好きにはたまらない車種をいくつもリリースしているトミカプレミアム。今後の展開にも大いに期待が持てそうです。
[ライター・カメラ/北沢 剛司]