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更新2019.11.02
潜入!『第46回東京モーターショー2019』~プレスデー膝栗毛~
細谷明日葉
2019年は46回目の開催となり、10月24日(木)~11月4日(月)までの12日間(!)にわたってお台場エリアを盛り上げます。“OPEN FUTURE”というテーマを引っさげて、未来のモビリティが数多くお披露目された今回の東京モーターショー。
筆者はプレスデーである23日(水)に会場へ潜入してまいりましたので、その様子をお伝えします。…とその前に、今回プレスデー初体験でしたので、リポートというよりも珍道中気味になっていることを、あらかじめご了承くださいませ(笑)。
コンセプト・ニューモデルが揃うメーカーブース
まずは正攻法で展示車両の紹介から。
相次ぐ海外ブランドの不参加が報じられたのはみなさまご存じの通り。そんななかでも、ここ東京の地で我々を出迎えてくれたメーカーさんたちのブースには、ほどよく未来を感じさせてくれる『モーターショらしさ』が健在です。
メルセデス・ベンツ&スマート
輸入車の中でもっとも広いブースを構えていたメルセデス・ベンツ。アジアプレミアとなったEV車であるVISION EQSとスマートブランドのEQ fortwo、ミニバン人気の日本市場で大きく支持が得られそうな新型V-classあたりが注目車両といったところでしょうか。
▲近未来的な調光のもと、妖しくきらめくVISION EQS
▲巨大モニターでメルセデスの“いま”と走りの上質さをアピール
▲水素を使った燃料電池PHVであるGLC F-CELL。こちらはすでに価格(1050万円)と納期も発表済みで、来年半ばくらいから街中で見ることができそうです
▲こちらも予約が開始されたディーゼルPHVのE 350de
▲EQブランドとして初の市販車となったEQC
▲小ささが嬉しいスマートからも、EQ fortwoがアジア初公開
▲ファミリー層には頼もしいV 220 d AVANTGARDE long
▲上からCLA 200 d、GLC 300、S560ロングショーファーリミテッド
▲ついつい足が引き寄せられてしまうAMGエリア。A-class2種、GT1種の、3つのセダンがラインナップされていました
▲シュタイフコラボのクマちゃんや、フェイラーコラボのハンカチなど、普段ディーラーでしか買えないグッズショップも併設。一部はモーターショー会場限定商品なのだとか
アルピナ
BMWはいなくなってしまったけれど、アルピナブースは健在です!今年で日本上陸40周年という節目を迎えたアルピナ、ワールドプレミアを含む全4台の新型車をお披露目。
▲左の赤いクルマがジャパンプレミアとなるXD4 アルラット、その隣の緑がワールドプレミアとなるB3リムジン アルラット。世界初公開のクルマが展示されていただけあって、ドイツのメディアが撮影をおこなっていました
▲B7 リムジン アルラット
▲XD3 アルラット
▲アルピナ…なんという官能的な響きでしょう。少量生産ゆえの魅力があり、こんなクルマが似合う人になりたいと思わせられる、そんなブランドです
ルノー&アルピーヌ
世代的にも(?)まだまだ小さなクルマで遊びたい願望が強い筆者が、一番リラックスできたのはこちらのルノーブース。ルノーブランドからは発売予定のモデルを含む全3車種、アルピーヌブランドからは現代版A110の新グレードとなるSを本邦初公開!
▲もっぱらニュル最速FFであり続けることにこだわりを持つメガーヌR.S.。4代目からもついに“トロフィー”が発売されました。3代目メガーヌの最速記録は現行ホンダ シビックtypeRに抜かれこそしたものの、今年4月には再度王者に君臨!
▲来年デリバリー開始予定の新型ルーテシア(と、麗しきお姉さん!)。ヘッドライトが現行メガーヌ似になりました。余談ですが、ルーテシアの本名『クリオ』も、ホンダの商標登録により日本では使えなかったという…なんとも因縁めいた話です(笑)。この5代目ルーテシアからもR.S.が出るのが楽しみ!
▲マイナーチェンジでウィンカー部分がイマドキになったトウィンゴ(と、麗しきお姉さん!)
▲アルピーヌからはよりスポーティになったA110Sが登場。以前ベースグレードに試乗したことがあるのですが、こちらはダンパーもハードになり、最高出力も292psにアップしたとのことで、ぜひ体験してみたいです
マイクロスクータージャパン
小型モビリティの中で特におもしろいと思ったのが、マイクロリノー。一目見た瞬間イセッタだと思いましたが、それもそのはず。実際にそこからインスピレーションを得て開発されたとのこと。早ければ2021年には日本でも販売が開始されるそうで、価格は本国スイスでCHF13,500~ですから、標準的な軽自動車くらい(約150万円)になるのではないかと予想。実際に筆者がシュミレーターで塗装やオプションなどを盛り込んだところ、CHF18,100(約200万円)になりました。
▲こちらがそのマイクロリノー。写真ではわかりにくいですが、フロアの白線が一般的な駐車枠を表しており、なんとここに横置きで3台停まっちゃうんです
▲車内。実にシンプル!いい!!(あれ?エアバッグはない…の?)
▲今回のモーターショーで見たEVの中で素直に一番欲しいと思いました!
▲本国HPをスクリーンショットしてみました。オプション扱いとなるLong Rangeバッテリーで夏季走行の場合、最長で200kmまで走行可能。最高速度は90km/h。地図で見ると結構広範囲の移動ができるようにも思えます(少し気になったのが、この夏季走行の基準がおそらく冷房ナシなのではないかという点。暖房は標準装備なようですが…日本上陸となると、このあたりの仕様変更もありそうです)
レクサス
『五感の刺激』を謳うレクサスでは、まさにその言葉通り一工夫されたブースづくりがなされていました。最新鋭のEVコンセプトはもちろんのこと、名車LFAまでもが登場した『Lexus Sense theatre』は心躍る空間!LFAってやっぱり特別な存在ですから、生産終了車後でもこうして扱ってくれるのは嬉しい限りです。
▲コンセプトカーLF-30 Electrified
▲こちらが『Lexus Sense theatre』の入り口。温かみのあるモック類と、タイヤ痕でいざなう演出にグッときます!
▲ヤマハの本気魂が宿るLFA!!ディスクブレーキモチーフの時計やレーシングスーツなど、“とあるドライバーのガレージ”風なステージがこれまたニクい!
▲LC 500h。24日以降、LCコンバチモデルのコンセプトが日本初公開される予定とのことでした
▲レクサスのお姉さんはクールビューティ揃い!
その他
個別ではご紹介できなかったブースにも、歴史や未来を感じられるポイントが随所にありました。環境省が創ったクルマからフォーミュラカーまで、珍道中の様子をご覧ください。
▲環境省ブースで展示されていたスーパーカーテイストのクルマ『木からつくったミライのクルマ』。CNF(セルロースナノファイバー)という植物由来の新素材がふんだんに盛り込まれています。処分の際には環境に優しそうですが、木材の調達が気になるところ…(笑)。端材や間伐材があてられればエコなのかも
▲いすゞブースのお姉さんが超絶かわいい!
▲マツダでインカム(プレスカンファレンスの同時通訳用)を配るお姉さんも美しい!
▲レース好きさん必見!世界選手権参戦60周年を迎えたホンダブースには、歴代F1優勝マシンがズラリ
▲トヨタブースのテーマは『PLAY THE FUTURE!』。まだまだ発売予定からほど遠いコンセプトならではの“自由さ”が体現されていました。(上)GRロゴ入りのスパルタンなe-RACER、(中)物流や宣伝広告に貢献するMicro Palette、(下)ブース内で遊びながら貯めたポイントをグッズに交換できる『トヨタコンビニ JUST IN TIME』
▲スバル VISIV ADRENARINE CONCEPT。数あるコンセプトカーのなかで、もっとも現実味を帯びたデザイン
目玉はコレ?やっぱりスーパーカーはワクワクする!!
モーターショーであるからには、当然花形はコンセプトカーやニューモデル。とはいえ輸入車好きにしてみれば、今年はちょっぴり物足りなさを感じてしまう面もあるでしょう。そこで目の保養に一躍買ったのが、日本スーパーカー協会ブースと、有明・青海両会場を繋ぐOPEN ROAD。来年1月に開催予定の東京オートサロンも、協力団体として特別出展しておりました。実際に「ここが一番楽しかった!」という来場者さんの声も。
■日本スーパーカー協会
“TOKYO SUPERCAR DAY 2019”として初めて東京モーターショーに舞い込んだ日本スーパーカー協会。インポーターやケミカル系ブランドをはじめ多数の企業の協賛のもと、新旧幅広いラインナップで見る人を圧倒させておりました!
▲ご覧くださいこの威力!どれか1台でもお持ち帰りしたい…(笑)
▲フェラーリ F50
▲フェラーリ F40
▲とんでもポルシェの911 GT2 RS
▲2台のランボルギーニ アヴェンタドール。ブルーは去年発売されたLP770-4 SVJでしょうか
▲アストンマーチン DBSスーパーレッジェーラ ヴォランテ(左)とヴァンテージ(右)
▲アストンマーチン DBS スーパーレッジェーラ クーペ
▲アストンマーチン ヴァンキッシュ ザガート。初めて実車を見ました…
▲軽いクルマに目がない筆者のイチオシはこちら!ジャンパオロ・ダラーラさんの夢を具現化したダラーラ ストラダーレ。乾燥重量855kg、トップスピード(280km/h)時のダウンフォースは820km!排気量こそ2300ccと小さめですが、6200回転で400馬力を生むスペシャルチューンが施されていて、パワーウェイトレシオ狂にはたまらない1台となっております。ドアはないので、ガッと足を上げて乗り込みましょう!
▲マクラーレン セナ
▲今年で100周年を迎えたベントレーは、大きな100のオブジェとともに。コンチネンタルGT
▲フラッグシップのミュルザンヌ スピードは、英国車の頂点を謳うラグジュアリーサルーンでありながら、立ち位置はあくまで“ドライバーズカー”
▲テスラ モデルS(手前)とモデルX(奥)。エリーゼ乗りの筆者にとっては、テスラ ロードスターの登場をもって知ることになったテスラの名(その後宇宙に行っちゃったクルマとして一躍有名に?)。あれから時を経て、すっかり高級電気自動車メーカーとして市民権を得た同ブランドこそ、今の『モーターショー』にふさわしい存在と言えるでしょう
▲ディーノ 246GT。まさかクラシックカーまで見ることができるとは!
▲MG TD ミジェット
▲スーパーカールックということで光岡 オロチも仲間入り
■OPEN ROAD
今回東京オリンピックの準備で一部会場が使えないということから、いつもの有明だけでなく青海にも会場を設けたわけですが、その間を繋ぐ遊歩道が“OPEN ROAD”として車両展示の場になりました!1駅分の距離なのでシャトルバスの運行もありましたが、クルマに気を取られていると案外歩けてしまうものですね。
▲アストンマーチン V8ヴァンテージ。ロードスターとクーペ
▲マセラティ グランカブリオ。ミラコラーレカスタム仕様。このリア刺激的…
▲フェラーリ カルフォルニア
▲フェラーリ 458 スパイダー
▲こちらも458、痛車天国仕様
▲ポルシェ ケイマン
▲ダッジ チャレンジャーも痛車仕様で初音ミクちゃんのラッピングが施されていました
▲この怪しい(?)ゴールドの日産 GT-R、どうやら世界に2台しかない“ウサイン・ボルト仕様”だそう。囲いもなく堂々と置かれていました…
▲日野 コンテッサの姿も見ることができたのは、旧車好きには嬉しいポイント
▲初代メルセデス・ベンツ Vクラスもキッチンカーとなって大活躍
■東京オートサロン2020
“ちょっとだけオートサロン”のテーマで、今回モーターショー初出展となる東京オートサロン。来年1月に行われる同イベントの様子を“ちょっとだけ”垣間見れるその一角から、スペシャルな輸入車をピックアップ。来年1月への期待が高まることうけあいです!
▲クレマーレーシングが製作したグループ5のレースカー、ポルシェ935K3
▲ギラッギラなシボレー インパラ。細かな手彫りにメタル塗装を施したボディはまさに職人技
こどもたちにもOPEN FUTURE!
展示車両の紹介からは少し趣向がずれますが、自動車関連玩具にも着目してみましょう。こども向けだと思って侮ることなかれ!大人も楽しめる…むしろトミカの列は、大人の方が喜んでいるのではないでしょうか(笑)。メカっぽい男の子向けだけでなく、可愛いキャラクターで女の子にもクルマの魅力をお届けする、そんな夢いっぱいの空間が広がっておりました。おもちゃをきっかけに、クルマに興味を示してくれるお子様たちが増えたら素敵ですね!自動車産業のお仕事を体験できるキッザニアとのコラボブース(予約制)は、特に最後の三連休時は大盛況となる予感。
▲トミカをはじめとするタカラトミーブース
▲迫力あるジオラマでは、改めてトミカの底力を思い知らされます
▲こういうのは大人の方が弱いんですよね…
▲リカちゃんファミリーもカーライフを満喫中。筆者も小さいころ遊んでいたので懐かしいです
▲働く乗り物とキュートな子犬たちが大活躍するアニメ『パウ・パトロール』
▲トランスフォーマーは、変身工程の少ない幼児向けから高難易度かつリアリティーを求めた大人のホビーラインまで、実に幅広いラインナップ
▲職業体験で人気のキッザニアが東京モーターショーとコラボ!その名も『Out of KidZania in TMS2019』。写真はダイハツ コペンを組み立てる体験現場。ちゃんとこどもサイズの作業着を着て、メカニック姿になれるも嬉しいですね
あっという間に閉館時間…
プレスとしては初参戦となった東京モーターショー。広い会場に撮れ高確保…まさに大海原への処女航海気分でありました。結果的に、見て回ることができた数は、プライベート参加時とさほど変わりなく終わったかもしれません。
▲プレスデーならではの儀式『プレスブリーフィング』。各メーカーの代表者からのあいさつ及び展示車紹介など、いわゆるアンヴェールの瞬間ですが、座席確保に遅れるとこの通り…。どこで何がアンヴェールされたのか、まったく見えず。有明から目と鼻の先にある『某ネズミの王国』パレードのような「前の人はしゃがんで鑑賞」ルールは通用しません(笑)。脚立を使おうが自撮り棒を伸ばそうが、とにかく撮った者勝ちなのです!
ビジネスの場でもあるプレスデーは、来場者はスーツに身を包んだ方ばかり。実際に筆者も、丸の内OLよろしくスーツにヒールで場内を闊歩したわけですが、なんとスマホの万歩計アプリは25,000歩越え…!!それだけ歩いたにも関わらず、1日ですべてを回りきるにはとても時間が足りません。とりわけ今回は展示場所がゆりかもめ2駅分に分かれていた、というのも取材難易度を上げた要素のひとつと思われます。
▲ここ『プレスルーム』が取材陣のキャンプ地の役割を果たします。ランチも仕事もすべてこの空間でおこなわれ、休憩場所としても役立ちますが、お昼寝中なんていう人は皆無(笑)。名刺交換や、イベントで知り合った別媒体のライターさんとばったり遭遇なんていうシーンも珍しくありません
▲疲れた体にスタミナ補給。プレスランチはサンドイッチ2種から選択可能
いつもながら、自由に見て回り、好きに執筆してOKとのお達しをいただいた筆者。あらかたどこを最優先におさえるかマップに丸をつけ、極力計画的に…そう心に決めてはいました。しかしいざ歩き始めてみると、事前情報やパンフレットでは知りえなかった未知との邂逅が数多く、予定以上に1つのブースに長居しすぎてしまうなど、なかなか想定通りとはいかず…。ゆえに、今回はややズレたセンスで抑えどころを選別してしまったかもしれませんが、個人的には『東京モーターショー2019』、膝栗毛としていい想い出になりました!
▲戦利品もとい自分へのおみやげ。ぬいぐるみ・コインチョコ・トミカ以外は、現地で配布されていたものです。お買い物するヒマはあったのかというツッコミはご勘弁を(笑)
輸入車メディアにとってはちょっと寂しくもあった今回の出展リスト。現在ではプロモーション手段も多岐に渡り、SNSで個々の興味に合わせたCMを流すなど、購買層となりえる人たちへ直にアプローチする方が有効だという判断もあるのでしょう。
しかし、長きにわたってクルマ好きの人々へ“夢”を与えてきた一大イベントであることは、ゆるぎのない事実。
ネットで情報を得られることは非常に便利ではありますが、さまざまなクルマの“実物”を1つの会場でまとめて見られるということは、文字や画像から得る情報とはまた違う刺激があるはずです。今回こども向けにキッザニアコラボがあったように、購買層である大人をもが参加できる、体験型のメーカーブースが増えていったらおもしろいかなと感じました。トヨタブースがそのいい例ですね。
また2年後、東京オリンピック後の市場がどう移り変わっていくのかも踏まえ、新たなスタイルのモーターショーがおこなわれることに期待しましょう。願わくば、海外メーカーがもうちょっと東京会場に戻ってきてくれますように!
第46回東京モーターショー2019 開催概要
名称:第46回東京モーターショー2019 [The 46th Tokyo Motor Show 2019]
主催:一般社団法人 日本自動車工業会(JAMA)
会期:2019年10月24日(木)~11月4日(月・祝)
会場:東京ビッグサイト青海・西/南展示棟、MEGA WEB、シンボルプロムナード公園、TFTビル横駐車場など
入場料:一般 2,000円(前売1,800円、日曜・祝日除く16:00以降(当日会場売)1,000円)
*高校生以下無料 障がい者手帳をお持ちの方(要手帳提示)、本人及び付添者1名(車いす利用者の場合2名まで)無料
URL:https://www.tokyo-motorshow.com/
[ライター・カメラ/細谷 明日葉]