ライフスタイル
更新2020.08.19
所有するクルマのメーカーによって、オーナーの特徴は異なるか?
松村 透
筆者の肌感覚では、20年前と現在はほとんど変わっていないような・・・
20数年前、都内でウィンドウフィルムを施工するアルバイトをしていたことは、カレントライフでもたびたびお伝えしてきました。当時はフィルム屋さんとして、現在は取材などを通じてさまざまなクルマのオーナーさんとお会いする機会があります。当時から薄々感じていたことですが、やはりメーカーやモデルごとに所有オーナーの特徴ってあるかも、ということです。
日本車のメーカーやモデルによって個性がある?
日本にも、さまざまなメーカーが存在しています。特定の日本車メーカーあるいはモデルに傾倒している方々も、それぞれに個性があるということが少しずつ分かってきました。
街の「ウィンドウフィルム屋さん」としてオーナーさんと接していた1990年代半ば、この時代は2代目レガシィツーリングワゴンが売れに売れていた時期だったこともあり、もはや毎日が「レガシィ祭り」という状態でした。都内のディーラーを3軒ハシゴして施工したクルマがすべてレガシィツーリングワゴンということも少なくなかった時代です。あれから20年以上経過した現在、残っている個体はほとんどないかもしれませんね・・・。
時は流れ、いまは取材という形でオーナーさんと接する機会が増えました。SAなどで停まっているオーナーさんをいきなりナンパして取材させていただくことも少なくありません。
最近、取材していて感じるのは、スバリストと呼ばれる方々の愛車への思い入れも「半端じゃない」と思うできごとが何度もありました。「スバル車はこうあるべき」のような不文律が、他のメーカーのオーナーさんより強いのかもしれません。何しろ、同メーカーでの代替率はスバルがもっとも高いというデータがあるくらいです。基本的に一途な方が多いのかもしれません。
これはスバル関係者の方々も同様で、以前、とある販売店(全国規模で見てもかなりの店舗数を抱えるスバルディーラーさん)の方々と数年間お仕事をさせていただいたのですが、スバルへの思い入れの強さを常に感じていました。愛車はもちろんスバル車。話題の新製品はいち早くチェックし、マフラー交換などのチューニングもお約束。いまでも覚えているエピソードに、販売店の上層部の方がメーカー主催のニューモデル事前説明会に参加し、標準モデルではクールな反応を示していたのに、スポーツグレード(WRXですね)がアンベールされた途端、テンションマックスで騒いでいたことでしょうか(笑)。ディーラーのメカニックで自分のクルマすら買う気がしないといわれてしまうと、正直がっくりきてしまう方ですが、スバルの関係者の方々はその率が少ないように思います。
また、マツダ車(特に歴代ロードスター)オーナーのクルマへの愛情がかなり熱い、と感じることがしばしばあります。仲間との結束が強いのはもちろん、歴代ロードスターオーナーの垣根を越えたつきあいが成立していること、そして何より、他のクルマの否定・批判をしないことでしょうか。ロードスターであれば、何代目であろうと万事ok!的な寛容さと柔軟性を併せ持つ方々が多いように感じます。世代間を超えた交流も魅力的です。
ヨーロッパ車でも国ごとに個性がある?
すでにお気づきだと思いますが、ヨーロッパ車オーナーでも国ごとに個性があると実感しています。ウィンドウフィルムを施工していたときに、うわー、細かいなあと思ったのは、やはり(自分を含めた?)ドイツ車乗りの方でしょうか。いわゆるラテン系や英国系オーナーさんは「フィルムなんて貼ってあればいいよ」くらいの大らかさでしたが、ドイツ車乗りはとにかく細かい(汗)。人によってはガラスに顔を近づけて、クレーム前提で入念にチェックする方もいたほどでした。細心の注意を払って屋内で施工しても、大きさでいうなら針の穴くらいの細かいゴミが入ってしまうことがあるんです。それが許せないという方もいました。もちろん、お金を払う側からすれば当然のことなので、引き渡しの前に可能な限りゴミを除去します。もう時効なので話しますが「これくらいなら許容範囲かな・・・」と思うようなゴミを見逃さないのは、やはりドイツ車乗りの方が多かったように思います。特に○○○のオーナーさんはシビアでした(注:下のゴルフは関係ありませんよ!)。
その点、イタフラ系のオーナーさんは大らかで「いいよ、とりあえず貼ってあれば。ありがと!」なんてジュースを差し入れてくれたり・・・。予期せぬトラブルや故障に遭うたびに、精神が鍛えられて(?)いくのでしょうか。細かいことは気にしないというスタンスの方が多かったように思います。
これは取材をしていても同様で、ドイツ車乗りの方が完璧主義の傾向があったり、イタフラ系や英国車乗りの方がどこか大らかさやゆるさがあったり・・・。あるドイツ車のクラシックカーオーナーさんから「取材はokだけれど、雨の日はNG、雨が降りそうでもNG、海沿いは潮風があたるからそれもNG」とのリクエストがあり「確かにそうですよね」と何の疑問を感じることなく同意していた筆者も、端から見ればオイオイと思われるかもしれません。しかしご本人は(もちろん筆者も)至って大まじめです。事実、取材させいただいた際、オーナーさんから「自分としては大切に乗っているだけなのに、家族には理解してもらえない」と落ち込んでいる様子でした。できることなら、筆者がパワーポイントで資料を作って「パパがいかにこのクルマを大切にしているか!」を、ご家族にプレゼンしたい衝動に駆られました。そんなことしたら、火にガソリンを注ぐようなものだ!って、確かにそうですよね・・・。
アメ車オーナーさんは大らかな方が多い?
大らかさという点においては、アメ車オーナーさんがもっともその傾向が強い気がします。自分自身もこうなりたいと強く思ったほどです。恥を忍んで告白しますが、筆者も自分のクルマをべたべた触られるのは正直いってあまり好きな方ではありません。しかし、取材で知り合ったアメ車のオーナーさんは、イベントなどで積極的に自分の愛車と触れ合う機会を作っているそうです。なかでも驚いたのは「自分の愛車に座ってくれる人のために、きれいに洗車する」といい切りました。これほどのサービス精神は自分にはないかも・・・。そう考えると頭が下がる思いです。
筆者宅のご近所さんはアメ車を得意とする販売店に勤務しているのですが、聞くところだと大らかなオーナーさんが多いそうです。クルマをカスタムするとしても、性能より見た目重視。大経ホイールを履いて乗り心地やハンドリングに影響云々ということはあまり気にしない傾向が強いそうです。
旧車乗りの愛情はまさに「ヘンタイ」レベル?
この「ヘンタイ」はもちろんポジティブな意味です。最大級の賛辞だと思ってください。前述の「取材はokだけれど、雨の日はNG、雨が降りそうでもNG、海沿いは潮風があたるからそれもNG」は言わずもがな。クルマから「うかつに触れないオーラ」がびんびん出ています。もちろん、ぴかぴかに磨き上げているからではありません。これは理屈ではありません。けれど、本能的に分かるようになりました。日本車・輸入車、高いも安いも関係ありません。何となく分かるんです。深く考えたことがなかったので、一度じっくり考えてみようと思います。
ある取材でPAにいたとき、アジア系外国人の方が取材車に興味を持ったらしく、記念撮影をはじめたんです。それはいいのですが、ポーズを取るとき、美しく磨き上げられたボディに当然のようにタッチするのです。筆者も脊髄反射で思わず「ノー!ノー!」といってしまったほどです。文化の違いなのか、価値観の違いなのか。それとも日本人が神経質すぎるのか?たまたまサービス精神旺盛かつ大らかなオーナーさんだったからいいのですが、そうでないとしたら、こちらも申し訳ない気持ちになってしまいます。うーん、やっぱり気にしすぎですかね?
余談:最新のスーパーカーオーナーは助手席の美女が純正オプション扱い?
スーパーカーと美女、二兎を追う者は一兎をも得ずではなかったのかと突っ込みたくなりますが・・・。お互いの需要と供給が一致しているからといったやっかみは置いておいて、これも街の「ウィンドウフィルム屋さん」時代から変わらないような気がします。かなりの確率で、美女の方の出で立ちもセクシーです。
オーナー(男性側)の希望なんでしょうか?それとも美女が自主的に??「あれは(女性が)出勤前に一緒に行動してるんだよ、つまり同伴」と教えてくれた知人もいますが、その真相は?筆者にはおよそ無縁の人生なので、それこそ一度取材してみたいです。何かの間違いで天下人になったら、筆者も1度くらいはやってみたいのですが、友人・知人に笑われそうです・・・。
[ライター/江上透]