試乗レポート
更新2019.07.29
中古車の試乗レポート第4弾。内装もボディも状態良好!普通に乗れるポルシェ911 カレラ2 ティプトロニック
伊達軍曹
内外装のコンディションはかなり良好
まずは試乗車両のスペック紹介から。ブツは横浜市のガレージカレントが販売する93年式ポルシェ911カレラ2ティプトロニックで、価格は567万円。試乗時点での走行距離は10.1万kmであり、車検は2019年12月まで。ボディカラーはミッドナイトブルーだ。
整備記録簿によれば、2年に一度のペースで各地の一般整備工場またはポルシェセンター(ポルシェ正規販売店)にて点検および整備を受けてきた個体だ。
ミッドナイトブルーをまとったボディのコンディションは良好で、くすみなどはほとんど感じられない。またこれはガレージカレントのウェブサイトにも記載されていることだが、911ではありがちな「飛び石による小キズ」が少ないというのも、この個体の美点と言えるだろう。
ブラックレザーシートを中心とするインテリア全般は非常にキレイ。走行10.1万kmともなると、普通はレザーシートの端々に目立ったスレが生じているもの。しかし個体は扱いが良かったのか、それとも過去のオーナーが専門店に丁寧な補修を行わせたからかは不明だが、結論として「いい感じ」である。古い世代の中古車ではありがちな「タバコなどが染み付いた感じのニオイ」もほとんど感じられない。
「普通に乗れる」カレラ2
エンジンは一発で軽やかに始動し、アイドリングも安定している。ほんの少々の暖機の後、横浜界隈の道へと走り出してみる。
走行距離10万kmを超えているものの、トルコン式ATである「ティプトロニック」には何の問題も生じていないという印象。筆者も数年前、まさに走行10万km台のカレラ2ティプトロニックに乗っていたのだが、その個体もティプトロはまったく問題なかった。またポルシェセンターのベテランメカニック氏に聞いても、「ティプトロニックの故障」というのはほとんど聞いたことがないという。
ティプトロニックとはなぜか知らねどやたらと頑丈な、不思議なオートマチック・トランスミッションである。
エンジンのパワー感はまずまずといったところか。今後、乗っているうちにタペット調整などは必要になるはずだが、さしあたって今すぐ何か問題が生じそうな気配は感じられない。
ステアリング・ギアボックスやパワーステアリング界隈も大丈夫そうで、エアコンも普通に利く。今や26年落ちとなる中古車だけに、車検時ごとにそれなりの整備箇所は発生するはずだが、さしあたっては「普通に使えるティプトロのカレラ2」だと評しておそらくは間違いないだろう。
足回りはさらなる整備を加えたい
そのうえで「足回り」には少々の不満もあった。
何か問題があるというわけではないのだが、本来のタイプ964カレラ2の足の動きと比較すると、若干の「渋さ」のようなものが感じられるのだ。
もちろんタイプ964のリアサスペンションは、マルチリンク式となった後継のタイプ993と違ってセミトレーリングアームだ。それゆえもともとと「しなやか」という感じとは少々違う。だがこの個体の場合は(それがどの箇所かは専門メカニックと要相談だが)何らかの整備や部品交換をしてやったほうが、964型ポルシェ911の「本来の姿」に近づくはずだと筆者には思われた。
全体としては特に大きな問題はないと感じられた内外装の美しいカレラ2ゆえ、納車後に専門工場と相談のうえ足回りなどのブラッシュアップを行えば、「悪くない感じのティプトロカレラ2」には仕上がるだろう。
取材協力:ガレージカレント
車両URL:https://www.garagecurrent.com/car/62579/
[ライター/伊達軍曹]