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ライフスタイル

更新2020.08.24

いまから10年後、左ハンドルの輸入車は日本から淘汰されてしまうのか?

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松村 透

輸入車の新車販売台数が伸びつづけています。ここしばらく、5〜6%台で推移していた国内登録車に占める割合は、2014年は8.8%と、過去最高を更新しました。

それには、新車価格が100万円台のモデルが充実してきていることや、景気感、さまざまなライフスタイルにマッチする豊富なバリエーションを展開していること、週末のショッピングモールで開催されている出張展示イベント…等々。ひとことでいえば「輸入車そのものの敷居が低くなった」ことが大きな要因といえそうです。

裾野の広がりに呼応するかのように、ここ10数年で急激に右ハンドル仕様の輸入車が増えたように思います。ハンドルが右でも、ウインカーとワイパーの位置が日本車とは逆(これは、日本車がJIS規格に準じて造られているため)で不便という声を耳にしますが、これも慣れてしまえばそれほど気にならなくなるようです。

「輸入車=左ハンドルという認識(固定観念)」は、すでに過去のもの?




メルセデス・ベンツやフォルクスワーゲンなど、ファミリーユースが想定されるようなモデルだけでなく、フェラーリやポルシェなどのスポーツカーにも右ハンドル仕様の波は確実に押し寄せています。また、ひと昔前の左ハンドルユーザーならではの苦労話も、若者に向けてメタルポジションのカセットテープやDolby NR(ドルビー ノイズリダクション システム)について熱く語るようなもの。たとえば、ETCが実用化される以前、料金所で前を走っている輸入車から、料金所のひとに向けてマジックハンドルが伸びてきて、思わずぎょっとした…などという逸話?は、20代のクルマ好きの方にはまず通じません。

日々、自動車雑誌などで広報車の試乗記事が掲載されていますが、例えば、現行911(991)ターボカブリオレが右ハンドルであったり、思わずハッとさせられることがあります。これは「右ハンドルのポルシェ911を選ぶニーズが確実に存在する」ことを如実に表しているといえそうです。事実、ディーラーのデモカーにも右ハンドル仕様が増えているようです。

いまや、限定モデルやよほど特殊なモデルでない限り「基本は左ハンドルだけど、右ハンドルも選べますよ」というスタンスなのです。

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では、敢えて左ハンドルを選ぶ理由はあるのでしょうか?


●ドライビングポジションが自然

最近のモデルは解消されつつあるようですが、右ハンドル仕様はペダル位置がオフセットされていたり、フットレストのスペースが小さいなど、ひとによっては気になるポイントもあるようです。

●希少価値(ただしモデルによる)

左ハンドル車は、たとえば空冷のポルシェ911やフェラーリF355、360modenaのMT車のような「需要過多」になる可能性が考えられます。今後ますます「左ハンドル+MT車」は絶滅危惧種となっていくかもしれません。

●リセールバリューが期待できる(ただしモデルによる)

中古車市場において左ハンドルの人気が高いという傾向は、もはや周知の事実。ハンドル位置が異なるだけで、査定額にも差があります。「左ハンドル=希少価値」という時代がまもなく訪れようとしています。この動きは、今後さらに加速していくかもしれません。

●せっかく輸入車乗るなら、左ハンドル車に乗りたいという「憧れとこだわり」

長年の憧れや、せっかく左/右の設定があるなら…等々、やっぱり左ハンドルに乗りたいという「こだわり」の部分が、かなりの割合を占めている方も多いはずです。そのためなら、多少の不便さも気にならないはず。

では、日本の路上において左ハンドルならではの不便さとは


●コインパーキングや、ETCが設置されていない料金所での支払い
●右折時
●助手席にひとが乗り降りする場合

…あたりでしょうか?

長年、輸入車を乗り継いだ方のなかでも、年齢を重ねてきたことで、楽で安全に楽しみたいという声を耳にしたことがあります。フォルクスワーゲンでいうDSG、ポルシェのPDKなど、最近は3ペダルMT信奉者が改心してしまうほどに魅力的な2ペダルMTが浸透しつつあります。いちど便利なものに慣れてしまうと、分かってはいても元に戻るのは大変です。見栄やステータスなどという理由ではなく、多少の苦労は厭わずかつ純粋に「左ハンドルの輸入車を楽しみたい」というユーザーは確実に存在します。

いまや少数派になりつつある左ハンドル仕様の正規販売は、各輸入車のインポーターやディーラーの方々にとって、いろいろと大変な面もあるかと思います。

それでも、何とか左ハンドルも残してほしいという願いを込め、タイトルに敢えて「淘汰」ということばを選びました。いまから10年後、どのくらいの左ハンドル車が残っているのでしょうか…。

[ライター/江上透]

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