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更新2018.11.06
“スーパーカーは燃える”はやはり事実。では、なぜ燃えるのかを考えてみた
JUN MASUDA
ボクもそれは否定しない。
幸いにしてボクは自分のクルマを燃やしたことはないが、世間では時おり、やれフェラーリが燃えただの、ランボルギーニが燃えただのといったことが報道される。
かなりの大事故でもない限り、普通のクルマが燃えても大きく取り上げられることは少ないと思うが、スーパーカーが燃えるとそれは大きな扱いのニュースになる。そして大きな扱いになるということは、つまり「人びとはそういったニュースを求めて」おり、メディアはそれを知っているから、「スーパーカーが燃えた」と報道することで人びとの注目を集めようとするわけだ。
なぜ人びとはスーパーカーが燃えたというニュースを好むのだろう。そこにはスーパーカーに乗るオーナーに対する「やっかみ」があるのかもしれないし、自分が所有することができないクルマに乗る人を襲ったに対し、なにか思うところがあるのかもしれない。
だが、今回の本題はそういった「心理」ではない。「なぜスーパーカーが燃えるのか」、だ。
スーパーカーは本当に燃える
スーパーカーは燃える。間違いなく燃える。過去に「フェラーリ458イタリア」が炎上の可能性があるとしてリコールされたことがある。
これは、リアフェンダー内部のパーツに「揮発性の接着剤」が使用されており、(リアフェンダーにほど近い)エンジンから発せられる熱があまりに高温になった場合、揮発した接着剤に引火して発火に至る、というものだ。
そしてランボルギーニ・アヴェンタドールも発火の可能性を理由にリコールされている。ただしこちらは「社外マフラーに変更した場合」という但し書きがついている。
こういった具合に、メーカーも「炎上」の可能性を認識しているのは間違いのない事実だ。
実は間違った使用やメンテナンスも炎上の原因だ
だが、すべてのスーパーカーが燃えるわけではない。中には適切な使用やメンテナンスを怠ったがために発火することがある。
「誤使用」の例としては、過剰な空ぶかしだ。
スーパーカーのエンジンは排気量や出力が大きい。ガソリンエンジンは「ガソリンを燃やして」パワーを得ているということになるが、出力が大きいということはそれだけ「大量のガソリンを燃やして」いることになり、となると発熱も大きくなる。
そして、クルマは「走ることを想定」して作られている。走行の際にラジエターに当たる風によってクーラントを冷却し、その冷えたクーラントを循環させることでエンジンを冷やしている。
だから、空ぶかしのように、「走行風」の当たらない状態で空ぶかしをすると、十分な冷却ができない。
十分な冷却ができなくとも、通常のクルマでは発火に至らないかもしれない。だが、そこはスーパーカーだ。一般のクルマからは想像もできないような熱が発生し、それが発火につながることがある。
以前に、走行直後にランボルギーニ・ウラカンのエンジン上にフライパンを載せ、そこで「目玉焼きを作ってみせる」という動画を公開したユーチューバーも存在したが、それほどスーパーカーのエンジンは熱くなる。
もちろんメーカーは停止状態でエンジンに高負荷をかけることは想定していない。よって、こういった想定外の使い方での発火はメーカーの責に帰するところではない、とボクは考えている。
そして、メンテナンスに起因する発火というと「燃料ライン」だ。燃料は主に樹脂製のホースを通じてエンジンに運ばれていたりする。もしくは、燃料ラインの接続部には樹脂製のパッキンが使用されている。
これらパッキンは、もちろん経年や熱によって劣化する。そしてスーパーカーのエンジンは上述のように大量の熱を発するので、通常のクルマよりは早く劣化すると考えていいだろう。
だから各自動車メーカーはこれらパーツの「交換サイクル」を定めているワケだが、このサイクルを守らず、交換しないままにしていると、当然そこから燃料が漏れて発火することになる。
そのほか、たまに聞くのは「オイルの付着」だ。
オイル交換や継ぎ足しの際、オイル注入口からオイルを入れることになるが、このときに誤ってオイルをこぼしてしまうことがある。
そして、こぼれたオイルはエンジンを伝って流れてゆくことになるが、これは必ず拭き取らねばならない。エンジンルームの奥へとオイルが流れ込み、手が届かないからと言ってそのままにしておくと、これが熱によって発火することがある。
これも、普通のクルマでは発火するほどの「熱」をエンジンが発することはなく、問題とはならないかもしれない。だが、スーパーカーは通常のクルマではない。
走行性能もスーパーなら、それを担保する馬力もスーパーだ。そして馬力がスーパーだということは、発熱も「桁違い」だということを忘れてはならない。
スーパーカーの発熱に対する影響を「普通のクルマと同じように」考えていると、ここで述べたように発火する可能性を少なからず秘めている、ということは理解しておいてほしい。
[ライター・撮影/JUN MASUDA]