
ドイツピックス
更新2018.03.08
いわゆる「Sタイヤ」のスポーツタイヤテストで見つける高性能タイヤとは?

NAO
セミスリックタイヤと呼ばれるSタイヤとは、公道を合法的に走行することが可能であるレース用タイヤのことで、主にスポーツカーに使用されることが多いようです。スポーツタイヤの安全性をチェックするため定期的にテストが実施され、各タイヤメーカーがエントリーし、客観的な評価を得つつ、さらなる製品改良につとめているのです。今回ご紹介するのは、今年行われたドイツのスポーツアウト社が主催しているスポーツタイヤテストでの結果です。

テストは3社の製品から選ばれました。今回は、ダンロップのスポーツマックス レース、ミシュランのパイロットカップスポーツ2、ピレリPゼロ トロフェオRというラインナップです。以前エントリーしていたTOYOタイヤのプロクセスR888や、ヨコハマのアドバン A048などはすでに古いモデルであり、後継モデルはしばらく出ないだろうという判断から、残念ながら今回は審査対象からは外されました。テスト車には、フォルクスワーゲン ゴルフRが使用されています。
今回のスポーツタイヤテスト2015で、最良の精度と結果、信頼性を確保するための実験を複数回行い、すべての条件において各製品が所定のパターンに応じて10点満点で評価されました。通常のスポーツカーの夏用タイヤテストでの評価割合は、「50%:乾燥した路面、40%:濡れた路面、10%:転がり抵抗やノイズのある路面」で配分され、それをクリアしたものをセミスリックタイヤと呼ぶことができます。しかし、今回スポーツアウト社は、評価配分を「70%:乾燥した路面、20%:濡れた路面、10%:環境・耐久性」に設定して行いました。
セミスリックタイヤは使用しなくても劣化スピードが早く、寿命が短いのが特徴です。そしてセミスリックおよびスポーツタイヤは溝が少ないため、水が大敵です。タイヤメーカーも、雨の場合は特に注意して慎重に走行することを促しています。これはセミスリックタイヤを使用するユーザーにとって周知の事実といえるでしょう。そこでまず考えなければならないのは、乾燥路面での安全性の問題であるとスポーツアウト社は考え、今回のテストでは上記のような条件制限をかけたのでした。走行条件が都度変わっても、最高のグリップ力と安全性を持つスポーツタイヤを探し出そうという思いでテストが実施されました。
まず初めに行われたのは、濡れた路面での走行テスト。濡れたコース上を時速100km/hで走行し、停止線でストップするようにブレーキをかけた場合でのテストを行います。まず別に用意したピレリ製セミスリックタイヤで実験したところ、停止線より56メートルも超えての停止しました。その後、ピレリの最上級スポーツタイヤである、Pゼロ トロフェオRで走行した場合は、停止線より10メートルのオーバー。ダンロップは13メートル以上オーバーという結果になりました。
加えてハイドロプレーニングテストも行った結果、レース性能の弱いセミスリックタイヤは、今回行ったテストでは十分な安全性を得るまでには達していないことがわかりました。ピレリのタイヤは相対的評価でほぼ満点を獲得していましたが、思いがけない荷重移動や旋回能力、重すぎるオーバーステアが指摘されました。ダンロップのスポーツマックスも、濡れた路面での走行では高い性能を発揮できず、ハイドロプレーニング対策、安定性に欠けていると評価を受けました。唯一、ミシュランのパイロットカップスポーツ2が、ブレーキパフォーマンスを除いては要求されていた安全性の項目をクリアし、好得点を得ています。
ドライ路面用タイヤは濡れた状態の路面に極端に弱いところがあるため、今回3種のタイヤがそれぞれ改善を受けたのは想定内だったといえます。
次に、今回のテストで高配分であり主題ともいえる乾燥路面でのコース走行を行いました。試験方法は、濡れた路面走行時と同じで、注目されるべきポイントは滑走面の安定性、トラクション、ブレーキ、安定したコーナリングやカーブなどの性能向上面を重点に置いています。濡れた路面の走行で高得点を獲得したピレリ PゼロトロフェオRがこの部門でもトップ。ドライ走行時の高い俊敏性とステアリング精度、安定したハンドリングとブレーキ時のグリップ力が高く評価されました。ミシュラン パイロットカップ スポーツ2は、アクティブでありながらも優れたコントロール性、摩耗が一番少なかった点で評価を受け、ダンロップ スポーツマックスは、ブレーキおよびコーナリング中のグリップが少し弱かったにも関わらず、安定感とコントロールしやすい荷重移動でほぼ満点を獲得しました。結果的に今回総合点数が一番高かったのは、ピレリ Pゼロ トロフェオRでした。
冒頭に書いたように、スポーツタイヤは寿命が短く劣化しやすい点、セミスリックタイヤなどのSタイヤは、取り換え頻度とコストの問題で、事実上モータースポーツ専用のタイヤになっています。一般的なタイヤは、グリップ性、ウェット性、静粛性、快適性、寿命などが重視されます。改良を重ねつつ、これらの性能を持ち合わせながらスポーツタイヤの特徴をどう活かして商品化するのかが課題になるでしょう。将来的にはサーキット用だけではなく日常的にも走れるタイヤになることを期待したところです。
出典・参照元:http://www.auto-motor-und-sport.de/
[ライター/NAO]

テストは3社の製品から選ばれました。今回は、ダンロップのスポーツマックス レース、ミシュランのパイロットカップスポーツ2、ピレリPゼロ トロフェオRというラインナップです。以前エントリーしていたTOYOタイヤのプロクセスR888や、ヨコハマのアドバン A048などはすでに古いモデルであり、後継モデルはしばらく出ないだろうという判断から、残念ながら今回は審査対象からは外されました。テスト車には、フォルクスワーゲン ゴルフRが使用されています。
今回のスポーツタイヤテスト2015で、最良の精度と結果、信頼性を確保するための実験を複数回行い、すべての条件において各製品が所定のパターンに応じて10点満点で評価されました。通常のスポーツカーの夏用タイヤテストでの評価割合は、「50%:乾燥した路面、40%:濡れた路面、10%:転がり抵抗やノイズのある路面」で配分され、それをクリアしたものをセミスリックタイヤと呼ぶことができます。しかし、今回スポーツアウト社は、評価配分を「70%:乾燥した路面、20%:濡れた路面、10%:環境・耐久性」に設定して行いました。
セミスリックタイヤは使用しなくても劣化スピードが早く、寿命が短いのが特徴です。そしてセミスリックおよびスポーツタイヤは溝が少ないため、水が大敵です。タイヤメーカーも、雨の場合は特に注意して慎重に走行することを促しています。これはセミスリックタイヤを使用するユーザーにとって周知の事実といえるでしょう。そこでまず考えなければならないのは、乾燥路面での安全性の問題であるとスポーツアウト社は考え、今回のテストでは上記のような条件制限をかけたのでした。走行条件が都度変わっても、最高のグリップ力と安全性を持つスポーツタイヤを探し出そうという思いでテストが実施されました。
まず初めに行われたのは、濡れた路面での走行テスト。濡れたコース上を時速100km/hで走行し、停止線でストップするようにブレーキをかけた場合でのテストを行います。まず別に用意したピレリ製セミスリックタイヤで実験したところ、停止線より56メートルも超えての停止しました。その後、ピレリの最上級スポーツタイヤである、Pゼロ トロフェオRで走行した場合は、停止線より10メートルのオーバー。ダンロップは13メートル以上オーバーという結果になりました。
加えてハイドロプレーニングテストも行った結果、レース性能の弱いセミスリックタイヤは、今回行ったテストでは十分な安全性を得るまでには達していないことがわかりました。ピレリのタイヤは相対的評価でほぼ満点を獲得していましたが、思いがけない荷重移動や旋回能力、重すぎるオーバーステアが指摘されました。ダンロップのスポーツマックスも、濡れた路面での走行では高い性能を発揮できず、ハイドロプレーニング対策、安定性に欠けていると評価を受けました。唯一、ミシュランのパイロットカップスポーツ2が、ブレーキパフォーマンスを除いては要求されていた安全性の項目をクリアし、好得点を得ています。
ドライ路面用タイヤは濡れた状態の路面に極端に弱いところがあるため、今回3種のタイヤがそれぞれ改善を受けたのは想定内だったといえます。
次に、今回のテストで高配分であり主題ともいえる乾燥路面でのコース走行を行いました。試験方法は、濡れた路面走行時と同じで、注目されるべきポイントは滑走面の安定性、トラクション、ブレーキ、安定したコーナリングやカーブなどの性能向上面を重点に置いています。濡れた路面の走行で高得点を獲得したピレリ PゼロトロフェオRがこの部門でもトップ。ドライ走行時の高い俊敏性とステアリング精度、安定したハンドリングとブレーキ時のグリップ力が高く評価されました。ミシュラン パイロットカップ スポーツ2は、アクティブでありながらも優れたコントロール性、摩耗が一番少なかった点で評価を受け、ダンロップ スポーツマックスは、ブレーキおよびコーナリング中のグリップが少し弱かったにも関わらず、安定感とコントロールしやすい荷重移動でほぼ満点を獲得しました。結果的に今回総合点数が一番高かったのは、ピレリ Pゼロ トロフェオRでした。
冒頭に書いたように、スポーツタイヤは寿命が短く劣化しやすい点、セミスリックタイヤなどのSタイヤは、取り換え頻度とコストの問題で、事実上モータースポーツ専用のタイヤになっています。一般的なタイヤは、グリップ性、ウェット性、静粛性、快適性、寿命などが重視されます。改良を重ねつつ、これらの性能を持ち合わせながらスポーツタイヤの特徴をどう活かして商品化するのかが課題になるでしょう。将来的にはサーキット用だけではなく日常的にも走れるタイヤになることを期待したところです。
出典・参照元:http://www.auto-motor-und-sport.de/
[ライター/NAO]