ドイツ現地レポ
更新2017.03.22
取締機設置数は日本の4倍!厳しいドイツのスピード取締事情
NAO
▲手紙右側に顔写真が載る。違反者の情報やナンバー、何キロオーバーし、どの取締機に写真を撮られたかがわかる
あぁ~、これか…!!これがスピード違反の手紙か…!!!日付と場所を見て、「そういえばクリスマス休暇でこの州まで行ったからその時だね…。」とため息をつく彼。我が家もついに警察からのラブレター、貰ってしまいました。
ドイツのアウトバーンはスピード無制限で有名ですが、今では制限区域も増えてきました。ドイツ旅行中、レンタカーでアウトバーンを颯爽と走っていたら急に前方でピカッと光った…。あれはなんだったのだろう?と思いつつ、忘れたころにやってくるのがこの手紙。中には日本まで請求が来たなんて話も。そうです、ドイツは銀行であれなんであれ、支払い義務があるものは外国まで何度でも送ってきます。
ピカッと光ったのは、スピード取締機に写真を撮られたから。ドイツではこのことを「ブリッツ(独語でフラッシュの意)」と呼んでいます。
▲取締機のことは「ブリッツァー(Blitzer)」と呼びます
ドイツには日本の約4倍も取締機が設置されている
ヨーロッパで取締機の設置数が一番多いのはイタリアで約6000台。ドイツは3番目に多く、約4400カ所。一番多いのはシュトュットガルトが州都のバーデン=ヴュッテンベルク州で1102カ所。(我が家も今回この州で撮られていました。これだけ数が多いと納得…。)
日本の取締機設置数はおおよそ1200台だそうです。ドイツと日本の国土面積はほぼ同じですが、明らかに差が出ていますね。
ドイツでは人によるスピード取締は少ないのですが、毎年「ブリッツ・マラソン」と呼ばれる取締週間があります。この期間は警察官たちが24時間体制で監視&取締を行います。このマラソンへの参加の有無は州によって自由で、近年はテロや難民対策で警察人員が足らず、不参加の州が多かったのです。今年は4月中旬に行われますが、ベルリンとバーデン=ヴュッテンベルグ州が参加しない意向を示しました。
ドイツ国内の取締機のみで、2016年は交通違反35000件、スピード違反319461件を検挙。加えて870498件が厳重注意となっています。違反件数は年々増加している傾向で、近年中に罰金値上げにも踏み切るようです。
▲日本だと京都府のみですが、信号無視取締機もドイツ国内ではほとんどの信号に付いています
取締機はどこに設置されているのか?
日本では高速道路上に設置されていることが多いと思います。ドイツでは国道、特にアウトバーン出口~街中によく設置されています。ドイツは一般道でも100km/hで走れますが、住宅地・環境保護区域付近になると急に30~50km/hに変わったりすることも少なくありません。このように速度制限の変化が多い道路区間に取締機が設置されていることがほとんどです。
スピード制限看板を見つけたら、即座にその制限速度まで減速すること。前後にクルマがいないからとダラダラ減速するとすぐ撮られてしまいます。
▲30km/hに変わる住宅地入口は特に多い
スピード違反許容範囲がドイツでは厳しい
ブリッツされた場合、いくらか速く走り過ぎていたことになります。写真を撮られると、数週間後に郵送で警告文が届き、罰金を支払わなければならない場合は振込用紙も同封されています。我が家の場合、7kmオーバーで10ユーロ(約1200円)の罰金でした。
▲違反を認める場合には手紙を受け取った1週間以内に料金を支払うこと。この手紙の2枚目には違反を認めず、罰金を支払わないと抗議する欄もあります(機械の誤作動もあるので)ちなみに今ではQRコードから撮影時の写真などデータを閲覧したりすることも可能
ドイツでのスピード違反許容範囲は3km/hまでという厳しさ。これを超えるとバンバン写真を撮られてしまいます。10km/h以下だったり、外国居住のドライバーだと厳重注意のみで終わることも多いようですが、この判断はそれぞれの州警察によって違います。旅行中にレンタカーを借りた外国人の場合だと、レンタカー会社が罰金立替→客がレンタカー会社へ後日振り込みというパターンもあるようですよ。
街の至る所で目を光らせるスピード取締機たち、容赦ありません。しかし、あえて街中に多く設置し、ドライバー達を厳しく取り締まるのは歩行者の安全を考えた非常に良い策だと思います。人的要員を減らして24時間確実に取り締まる。公的カメラで撮られた以上、嘘も付けない。合理大好きドイツ人らしさがここにも出ています。
郊外の緑が広がる広々とした一本道を走るのはとっても清々しいのですが、このブリッツァーたちの存在をお忘れなく。特にドイツの夜は街灯もないので、標識が見にくくなっています。我が家も違反切符が来てしまった以上、気を引き締めねば。