更新2025.02.26
名義人以外でもクルマは売却できる!正しい手続きと高額売却のポイントを解説
外車王SOKEN編集部
クルマを売却しようと考えたとき、「名義が自分ではないけれど売却できるのだろうか」と不安に感じる方も多いのではないでしょうか。実は、名義人以外でもクルマの売却は可能です。ただし、必要書類と注意事項を把握しておく必要があります。
この記事では、名義人以外のクルマを売却する際の正しい手順や必要書類、知っておくべき重要なポイント、高額売却のコツまで詳しく解説します。
名義人以外でもクルマを売却できる
名義人以外でもクルマの売却は可能です。ただし、ケースによって必要な書類や手続きが異なるため、事前に自分のケースに該当する条件を確認しておく必要があります。
名義人以外でも売却できるケースとは
クルマの売却は、車検証に記載された名義人(所有者)もしくは使用者が手続きを行うケースが多いですが、名義人や使用者以外でも対応可能です。ここでは、名義人以外が売却するパターンでよくある事例を紹介します。
親名義のクルマを子が売却する場合
親の代わりに子が売却手続きを行うケースは、大変多いパターンです。血縁関係があるために、必要書類さえ揃っていれば比較的スムーズに手続きが進められます。配偶者名義のクルマを売却するケースも同様です。
ローン完済前のクルマを売却する場合
ローン返済中の場合、名義はローン会社やディーラーになっていますが、売却は可能です。ただし、売却前に残債をすべて返済し、ローン会社やディーラーが所有しているクルマの所有権を解除する必要があります。
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名義人が亡くなっている場合
名義人が亡くなった後にクルマを売却する場合、相続手続きが必要です。相続に関する協議や手続きが完了した後に、売却の準備を始めましょう。
名義人の判断能力が低下している場合
名義人が認知症など病により判断能力が低下している場合は、成年後見人の選任を経て売却が可能となります。成年後見人の選任については、複雑な手続きが必要なため法律の専門家である弁護士に相談しましょう。
名義人が海外に住んでいる場合
名義人が海外に住んでいて、なかなか日本に帰国できなかったり連絡がとりにくかったりする場合でもクルマの売却は可能です。ただし、委任状のほか、印鑑証明の代わりに署名証明書という書類を用意する必要があります。
どうしても売却できないケース
状況にかかわらず、代理人であってもおおむねクルマの売却は可能です。ただし、名義人の同意が得られない場合(亡くなっていたり判断能力が低下していたりする場合を除く)や、誰が名義なのかが不明確である場合は売却できません。たとえば、私有地内に勝手に停められているクルマであっても、名義がわからないと売却や処分は不可能です。
売却前に確認すべきポイント
クルマの売却をスムーズに進めるためには、いくつかのポイントをしっかり確認しておく必要があります。特に名義人以外が売却する場合は、通常よりも慎重にチェックしましょう。
車検証の記載内容のチェック
車検証に記載されている内容を細かく確認しましょう。主にチェックするポイントは名義人の正確な情報、使用者との関係、そして住所や氏名の変更有無です。住所変更や改姓などがあった場合は、それを証明する書類も必要なため、早めに準備しましょう。
必要書類の有効期限
書類の有効期限についても注意が必要です。特に気をつけたいのが印鑑証明書で、発行後3ヶ月以内のものが求められます。
名義人との合意事項
名義人との具体的な合意事項も、必ず事前に確認しておきましょう。手続きの進め方、費用負担の取り決めなど、後々トラブルになりやすい部分について、きちんと話し合いを行い、できれば書面で残しておくことをおすすめします。
自動車税の納付状況
自動車税の未納がないかどうかについても確認する必要があります。納付されていない場合、クルマを売却できません。未納分を納めてから手続きできるため、必ず事前に確認しておきましょう。
名義人以外がクルマを売る場合の必要書類
名義人以外がクルマを売却する場合の基本的な必要書類は以下のとおりです。
名義人が用意するもの | 代理人が用意するもの |
・車検証 ・印鑑証明書(発行から3ヶ月以内) ・実印 ※軽自動車の場合は認印可 ・自賠責保険証 ・自動車税納税証明書 ・リサイクル券 ・譲渡証明書 ・委任状 | ・本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど) ・印鑑 |
譲渡証明書と委任状には、あらかじめ名義人の実印(軽自動車の場合は認印可)を捺印してもらいましょう。
▼なお、フォーマットは国土交通省のWebサイトよりダウンロードできます。
譲渡証明書
委任状
【ケース別】名義人以外のクルマを売却する方法
名義人以外がクルマを売却する場合、状況によって必要な手続きや書類が異なります。ここでは、代表的なケースごとに具体的な方法と注意点を解説します。
親や家族名義のクルマを売却する場合
親や家族名義のクルマを売却する場合は、「名義人以外がクルマを売る場合の必要書類」の見出しで紹介した書類が揃っていれば手続き可能です。
配偶者名義のクルマを売却する場合も基本的な流れは同じですが、離婚後の売却では追加書類が必要な場合があります。その場合は、できるだけ早めに必要書類を確認し、準備を始めましょう。
名義人が亡くなっている場合
名義人が亡くなっている場合は、まず相続手続きをしなければなりません。相続に必要な書類は以下のとおりです。
・車検証
・車庫証明書
・戸籍謄本または法定相続情報証明書
・遺産分割協議書
・相続人の実印
・相続人の印鑑証明書
相続人が複数人いる場合は、遺産の配分を決める協議を行い、遺産分割協議書を作成します。なお、遺産分割協議書には相続人全員分の実印の捺印が必要です。あわせて、相続人全員分の印鑑証明書も用意しなければならないため、留意しておきましょう。
なお、クルマの査定額が100万円以下の場合は、遺産分割協議書の代わりに遺産分割協議成立申立書で手続きできます。遺産分割協議成立申立書であれば、クルマを相続する人だけの実印と印鑑証明のみで手続き可能です。
名義人の判断能力が低下している場合
認知症などで判断能力が低下していて、クルマの売却意思の確認が難しい場合、家庭裁判所での成年後見人選任手続きが必要です。診断書や申立書、戸籍謄本などを準備し、家庭裁判所に申立てを行います。書類や手続きが大変複雑なため、売却を検討し始めた段階で弁護士や行政書士などの専門家に相談しましょう。
名義人が海外に住んでいる場合
海外在住者の名義のクルマを売却する場合は、印鑑証明書の代わりに在外公館で発行される「署名証明書」が必要です。名義人本人が現地の日本大使館や領事館で手続きを行う必要があり、代理人による取得はできないため、名義人に対応を依頼しましょう。
名義人以外のクルマを高額売却するためのポイント
名義人以外のクルマを売却する場合でも、高額売却は十分に可能です。ここでは、査定額を上げるためのポイントを詳しく解説します。
純正パーツを用意しておく
クルマに社外品のパーツが取り付けられている場合、外した純正パーツも査定時に提示しましょう。もちろんカスタムされている車輌が高く評価される場合はありますが、純正パーツがあると査定額が上がる可能性が高いため、名義人に保管場所を確認しておくことをおすすめします。
メンテナンスノートを用意しておく
整備記録が載っているメンテナンスノートの有無も重要です。定期的なメンテナンスを行っていた事実を証明できると、査定額アップにつながります。多くの場合は車内に保管されていますが、あらかじめ名義人にメンテナンスノートの所在を確認しておきましょう。
まとめ
名義人以外であってもクルマの売却は可能です。ただし、状況によって必要な手続きや書類が異なるため、事前に詳細を確認しておきましょう。
親や家族名義のクルマであれば、基本的な必要書類を用意すれば比較的スムーズに売却できます。一方、名義人が亡くなっている場合は相続手続き、認知症の場合は成年後見人の選任、海外在住の場合は署名証明書の取得など、それぞれのケースに応じた特別な手続きが必要です。
名義人以外のクルマ売却は、一見すると複雑な手続きに思えるかもしれません。しかし、本記事で解説した手順に従って準備を進めれば、スムーズな売却を実現できるでしょう。不安な点がある場合は、早めに陸運支局や軽自動車検査協会に相談し、正しい手続きを確認することをおすすめします。