更新2025.01.24
事業用クルマの売却仕訳ガイド!法人・個人事業主別の正しい処理方法
外車王SOKEN編集部
事業用クルマを売却する際の会計処理は、法人と個人事業主で異なり、さらに消費税の取扱いや減価償却の状況によっても仕訳方法が変わってきます。
特に近年は、事業用クルマの使用年数が長期化しているといわれており、適切な売却時期の判断と正確な会計処理の重要性が増しています。
この記事では、クルマの売却仕訳における基礎知識から、法人・個人事業主それぞれの具体的な仕訳方法、さらには確定申告時の注意点まで、経理実務に即した形で詳しく解説します。
クルマの売却仕訳で押さえておきたい基礎知識
事業用クルマの売却時の仕訳は、会社の規模や形態によってさまざまな処理方法があります。まずは基本的な考え方からみていきましょう。
事業用クルマは会計上どう扱われる?減価償却の仕組みを解説
事業用クルマは会計上、固定資産として扱われます。取得価額が10万円以上で、1年以上事業に使用する資産は固定資産となり、毎年の減価償却計算が求められます。
減価償却の計算方法は、定額法と定率法の2種類があり、法人税法で定められた耐用年数(乗用車の場合は6年)に基づいて計算します。たとえば、取得価額500万円のクルマを定額法で償却する場合、1年あたりの償却額は約83万円(500万円÷6年)となります。
売却時の仕訳に必要な3つの確認ポイント
クルマを売却する際の仕訳を正確に行うために、以下の3点を確認しましょう。
1. 減価償却の状況
売却時点での帳簿価額を正確に把握することが重要です。減価償却累計額を確認し、現在の帳簿価額を算出します。帳簿価額は、取得価額から減価償却累計額を差し引いた金額です。
2. 消費税の取扱い
事業者が課税事業者か免税事業者かによって、消費税の処理方法が異なります。また、課税事業者の場合、税込経理なのか税抜経理なのかも確認が必要です。
3. リサイクル預託金の残高
クルマの売却時には、リサイクル預託金の清算も発生します。預託金の残高を確認し、適切に処理する必要があります。
法人のクルマ売却時の仕訳方法
法人がクルマを売却する場合、固定資産売却損益として計上する必要があります。ここでは具体的な仕訳方法を解説します。
消費税の取扱いと勘定科目の選び方
法人の場合、主に以下の勘定科目を使用します。
・現金預金(売却代金の受取)
・固定資産売却益(売却益が発生した場合)
・固定資産売却損(売却損が発生した場合)
・車輌運搬具(売却対象のクルマの資産勘定)
・減価償却累計額(売却対象のクルマの減価償却累計額)
・仮受消費税(課税事業者の場合)
課税事業者の場合、売却額に係る消費税の処理も発生します。税込経理の場合は売却額に消費税を含めて処理し、税抜経理の場合は消費税を別建てで処理します。
具体例でチェックする法人の仕訳パターン(売却益・売却損)
具体的に計算をしながら、仕分けパターンを確認していきましょう。
【事例1:売却益が発生するケース】
取得価額300万円、減価償却累計額250万円のクルマを100万円(税抜)で売却した場合
(税抜経理の場合の仕訳)
(借) 現金預金 1,100,000
(貸) 車輌運搬具 3,000,000
固定資産売却益 500,000
仮受消費税 100,000
(借) 減価償却累計額 2,500,000
(貸) 車輌運搬具 2,500,000
【事例2:売却損が発生するケース】
取得価額500万円、減価償却累計額300万円のクルマを150万円(税抜)で売却した場合
(税抜経理の場合の仕訳)
(借) 現金預金 1,650,000
固定資産売却損 500,000
(貸) 車輌運搬具 5,000,000
仮受消費税 150,000
(借) 減価償却累計額 3,000,000
(貸) 車輌運搬具 3,000,000
個人事業主のクルマ売却時の仕訳方法
個人事業主の場合、法人とは異なる仕訳処理が求められます。ここでは青色申告を前提に解説します。
事業主借・事業主貸の正しい使い方
個人事業主の場合、クルマの売却は事業主の個人財産の移動として扱われます。そのため、下記の勘定科目を使用します。
・事業主借(事業から個人への資産の移動)
・事業主貸(個人から事業への資産の移動)
・車輌運搬具
・減価償却累計額
【基本的な仕訳例】
取得価額200万円、減価償却累計額180万円のクルマを50万円で売却した場合
(直接法の場合)
(借) 事業主借 500,000
(貸) 車輌運搬具 2,000,000
(借) 減価償却累計額 1,800,000
固定資産売却損 300,000
(貸) 事業主借 300,000
確定申告での注意点と特別控除の活用法
個人事業主がクルマを売却した際の所得は、原則として事業所得として扱われます。ただし、下記の点に注意が求められます。
1. 譲渡所得の特別控除
事業用資産の売却に関して、所得税法では最大50万円の特別控除が認められています。ただし、この特別控除は年間の譲渡所得金額を限度とします。
2. 消費税の処理
課税事業者の場合、売却額に係る消費税の申告も求められます。基準期間の課税売上高が1,000万円を超える場合は、消費税の課税事業者となります。
3. 減価償却の処理
売却年度の減価償却費は、売却までの期間に応じて月割計算を行います。例えば、9月に売却した場合は6か月分(4月から9月まで)の減価償却費を計上します。
まとめ
事業用クルマの売却において、正確に会計処理しなければ、経営上のトラブルにも発展しかねません。まず売却前に帳簿価額を正確に把握することが重要です。取得価額から減価償却累計額を差し引いた現在の帳簿価額を確認し、売却損益の計算基礎を明確にしておきましょう。
また、売却価格を最大化するために、日頃から適切にクルマを管理しましょう。定期的にメンテナンスを実施し、その記録を残すことで、クルマの価値を維持できます。また、減価償却の状況や市場動向を見極めながら、売却時期を判断することも重要です。
外車王では、複数の輸入車専門買取店による入札方式を採用しており、市場価値を最大限に引き出す買取を行っています。入札価格が確定した後の減額リスクもなく、安心して売却を進めることができます。また、車検残存期間なども適切に評価し、お客様のクルマの価値を最大限に引き出します。
事業用クルマの売却を検討されている方は、必要書類を事前に準備し、計画的に進めることをおすすめします。具体的には、自動車検査証や納税証明書、法人の場合は印鑑証明書などを用意します。外車王では、売却に必要な書類や手続きについても、経験豊富なスタッフが丁寧にサポートいたしますので、ご不明な点があればお気軽にご相談ください。