更新2025.03.18
クルマの売却時には不具合を正直に伝えよう!高額査定のコツも解説
外車王SOKEN編集部
愛車を手放す際に「不具合があるとどれくらい査定額が下がるのか」「不具合を伝えずに売却して大丈夫なのか」という点を気にする方は多いはずです。長年乗ったクルマに小さな故障やトラブルが生じていることは珍しくありませんが、どの程度査定額に影響するのでしょうか。
本記事では、クルマの売却時における不具合について、申告の必要性やリスク、そして不具合があってもできるだけ高く売るためのポイントを詳しく解説します。
クルマの売却時に不具合を申告しないとどうなる?
クルマの売却時に不具合を伝えずに取引を進めると、売却後に大きなトラブルに発展する可能性があります。「少しの不具合なら言わなくても大丈夫だろう」という考えは非常に危険です。
契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)とは?
クルマの売買契約においては、売主に「契約不適合責任」が生じます。これは2020年4月の改正民法施行前は「瑕疵担保責任」と呼ばれていたものです。
契約不適合責任とは、売買契約の内容と異なる商品を売ったことにより、買主に損害が生じた場合に売主が負うべき責任を指します。つまり、不具合のある車輌を「問題ない」として売却した場合、後から不具合が発覚すると、この責任が問われることになります。
具体的には、買主から以下のような請求を受ける可能性があります。
追完請求 | 適切な修理や代替品の提供を求められる |
代金減額請求 | 不具合に見合った金額の返金を求められる |
損害賠償請求 | 不具合によって生じた損害の補償を求められる |
契約解除 | 契約自体が無効となり、全額返金を求められる |
参考:誌上法学講座 これだけは押さえておきたい 改正民法(債権法)契約の内容が守られないとき(2)/独立行政法人国民生活センター
買主は、契約不適合に気付いた時点から1年以内に売主に通知する必要があるとされています。つまり、売却から1年以内に隠していた不具合が発覚すると、上記のような責任を問われる可能性があるのです。
参考:契約不適合責任とは?追及手段や期間制限などわかりやすく解説/BUSINESS LAWYERS
不具合を隠して売却するリスクと起こりうるトラブル
実際に不具合を隠して売却した場合、どのようなトラブルが起こりうるのでしょうか。想定されるケースを考えてみましょう。
【想定されるトラブル1】エンジン不調を隠して売却した場合
エンジンから異音がしていることを知りながら、査定時に伝えなかった場合、売却後に買取業者からエンジン不具合の連絡があり、修理費用の一部負担を求められる可能性があります。ケースによっては修理費の大部分を負担することになるでしょう。
【想定されるトラブル2】修復歴を申告しなかった場合
過去の事故で修復歴があるにもかかわらず申告しなかった場合、買取業者から契約の解除と違約金の支払いを請求される可能性があります。最悪のケースでは裁判に発展し、買取金額の全額返還に加え、違約金の支払いを命じられることもあるでしょう。
このように、不具合を隠して売却することは短期的には査定額の減額を避けられるように思えても、長期的には大きなリスクとコストを生み出します。一時的な利益よりも、誠実な取引による信頼関係の構築が重要です。
クルマを売却する際に申告したほうがよい不具合とは
クルマの売却時には、どのような不具合や問題を申告する必要があるのでしょうか。ここでは具体的な項目と確認ポイントを紹介します。
車輌の状態に関する必須申告事項
売却時に申告したほうがよい項目は以下のとおりです。
1. 機械的な不具合
エンジン、ミッション、ブレーキなどの走行に関わる重要部品の不具合は必ず申告しましょう。
【例】
・エンジンの異音や振動
・アイドリング不安定
・排気ガスの異常
・シフトチェンジの不具合
・ブレーキの効きが悪い
・警告灯の点灯歴
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2. 修復歴
クルマの骨格部分(フレーム)に関わる修理を行った場合は「修復歴」として申告が必要です。具体的には、フロントとリアの骨格部分、 ピラー(柱)部分、フロアパネル、ルーフ修理や交換を実施した場合に「修復歴あり」とみなされます。
3. 冠水歴
水害などで車輌が水に浸かった経験がある場合は必ず申告しましょう。水害に遭ったクルマは「冠水車」もしくは「水没車」と呼ばれます。冠水車は電装系統のトラブルが多発する傾向があります。水分がクルマの電子機器や配線、コネクターに侵入することで、酸化や腐食を引き起こすためです。一見乾いているように見えても、電子基板や配線の奥に残った水分は時間の経過とともに回路をショートさせたり、腐食を進行させたりします。
特に最近のクルマは多くの電子制御装置を搭載しているため、冠水による被害は以前よりも深刻になっています。さらに、エンジンやトランスミッションなどの機械部品にも水が入り込むと、内部の錆や摩耗を早める原因となります。
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4. メーター交換歴
走行距離計(オドメーター)を交換している場合は、その事実と交換時の走行距離を申告する必要があります。走行距離がクルマの価値を決める重要な要素の1つであるためです。
メーターを交換すると、それまでの走行距離が引き継がれず、実際より少ない走行距離が表示されます。そのため、走行距離計を交換した場合は、交換時の距離を記録し「走行距離計交換歴車シール」をセンターピラーに貼ることが法律上で義務付けられています。
意図的に走行距離を少なく見せるためのメーター改ざんは、道路運送車両法違反となる違法行為です。買取業者はオークション履歴などから過去の走行距離を調査できるため、申告せずに発覚した場合、詐欺的行為とみなされる可能性があります。
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5. 社外パーツの使用
純正部品から社外品に変更している場合は、その旨を伝えたうえで、可能であれば純正部品も一緒に用意しておくとベストです。買取業者がクルマを再販売する際、購入者の多くが純正状態のクルマを好む傾向があるためです。
また、社外パーツは個人の好みが反映されているため、次の購入者の好みに合わない可能性が高く、買取業者は純正状態に戻すコストを査定額から差し引くことになります。さらに、純正部品は互換性や耐久性、安全性が保証されており、特に輸入車では純正部品の調達が難しく高額になる場合もあります。純正部品を保管して提示すると、買取業者は純正状態への復元コストを心配せず、より高い査定額を提示できるのです。
売却前に確認しておくべきポイント
クルマを売却する前に確認しておくべきポイントは以下のとおりです。
1. 点検整備記録の確認
定期点検や車検整備の記録(メンテナンスノート)を確認し、これまでの整備履歴をまとめておきましょう。点検整備記録は、クルマの健康診断書とも言える重要な書類です。これにより、適切な時期に必要なメンテナンスを行った事実を証明でき、クルマの状態が良好に保たれていることを客観的に示せます。
特にエンジンオイルやブレーキパッドなどの消耗品の交換時期や、重要部品の点検・修理歴などの情報は、買取業者にとって車輌状態を判断する重要な材料です。また、正規ディーラーの点検記録は、専門的な知識を持った技術者によるメンテナンスが行われていたことの証明であり査定額がアップする可能性があります。
2. 警告灯のチェック
メーターパネル上の警告灯に異常がないか確認しましょう。エンジン警告灯やABS警告灯などが点灯している場合は、売却前に原因を確認しておくことが望ましいです。
査定中に警告灯の点灯が発覚した場合、重大な不具合の可能性を示唆するものであるため減額要因となります。特にエンジン警告灯はエンジン制御系の問題を示し、修理に高額な費用がかかる可能性があり、数十万円ほど減額される場合があります。
また、事前に確認していれば安価に修復できる小さな問題が、未対応のまま放置されて大きなトラブルに発展するリスクもあります。さらに、査定時に警告灯の点灯を指摘された場合、「知らなかった」と言っても、「点灯していることを知りながら隠していた」と疑われ、信頼関係が損なわれる可能性もあります。
3. クルマの動作確認
クルマが正常に動くかどうかを査定前に確認しておきましょう。以下のリストを参考に重要項目の動作をチェックしてみてください。
【査定前のクルマの動作確認リスト】
・エンジン始動時の音や振動に異常がないか
・各種ライト類の点灯状況に問題がないか
・パワーウィンドウは正常に動くか
・エアコン・ヒーターの効きは悪くないか
・ワイパーは正常に動くか
・オーディオ機器の動作に問題はないか
不具合があるクルマでも高く売るコツ
不具合があるクルマでも、高く売るためのコツがあります。ポイントは「不具合を隠す」ことではなく「不具合を正直に伝えた上で、それ以外の魅力を最大限アピールする」ことです。
1. 徹底的な洗車と清掃
クルマの第一印象は査定額に大きく影響します。外装は洗車機ではなく手洗いで丁寧に洗い、内装は隅々まで掃除機をかけ、消臭対策も行いましょう。特に輸入車は内装の質感が重視されるため、レザーシートのケアなども忘れずに行うことが大切です。
2. 整備記録の整理
定期点検や修理の記録を時系列でまとめ、適切なメンテナンスを行ってきたことをアピールしましょう。正規ディーラーでの整備記録があれば、それらも全て用意しておくと効果的です。
3. 純正パーツの用意
社外品に交換したパーツがある場合、可能であれば純正パーツも保管しておき、査定時に提示しましょう。特に人気の輸入車は純正状態が高評価につながります。
4. 複数の買取業者に査定を依頼
1社だけの査定では適正価格が分かりません。最低でも3社以上の査定を受け、比較検討しましょう。特に輸入車専門の買取業者を含めることで、車種の特性を理解した適切な査定が期待できます。
5. 高額査定が期待できる時期を選ぶ
一般的に3月、9月の決算期前や、7月のボーナス時期などは中古車需要が高まり、査定額も上がる傾向があります。季節によって需要が変わる車種もあるため、タイミングを見計らうことも重要です。
6. 必要最低限の修理に留める
売却前の大掛かりな修理は避け、安全面に関わる最低限の修理だけを行いましょう。修理費用分だけ査定額が上がるとは限らないためです。ただし、小さな傷や凹みでDIYで直せるものは対応しておくと印象がよくなります。
まとめ
クルマの売却時における不具合の取扱いについて解説しました。
不具合を隠して売却することは「契約不適合責任」を問われ、売却後のトラブルや賠償責任につながるため避けるべきです。たとえ小さな不具合でも、正直に申告することが後々のトラブルを防止できます。
また、不具合があるクルマでも高額買取を諦める必要はありません。適切に準備を行い複数の買取業者による査定を受ければ、予想以上の査定額を得られる可能性があります。特に輸入車は、専門的な知識を持った査定士による適切な評価が重要です。
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