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ライフスタイル

更新2024.11.27

「リセールバリュー」という呪縛

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松村 透

仕事柄、身内や友人・知人からクルマの買い替えについて相談を受けることがある。クルマ好きのなかにも似たような経験を持つ人がいると思う。


相手がクルマ好きの場合、こちらが意見を述べる必要はない場面が多い。なぜなら「すでに気持ちは固まっていて、誰かに背中を押してもらいたいほぼ最終段階」というパターンが圧倒的に多いからだ。ここでさらに「あれこれ迷っているうちに他の誰かに買われちゃうよ」と付け加える。無責任かもしれないけれど、知る限り経済的に何とかなる(はずだ)と踏んだ場合は背中を押すようにしている。


■クルマを購入する際「リセールバリューは気にするべきか」問題



また、身内や友人・知人からクルマの買い替えに関する相談事で最近増えてきたのが「残クレってどうなの?」「リセールバリューって気にした方がいいの?」という質問だ。


筆者に聞く前に、残クレやリセールバリューのこともインターネット(最近はYouTubeが主流)で調べたりして、すでに多少なりとも予備知識を持っていることが多い。しかし「リセールバリューがいいクルマを買う方が残クレでは有利」という図式が、特にクルマに対して興味がない人からするとピンとこないらしい。セールスマンにも同じようなことをいわれたけれど、果たして鵜呑みにしていいものかどうか判断がつかないそうだ。


そこで「一生モノとして買う?それともゆくゆくは乗り換えるつもり??」と聞いてみる。予想どおり大抵は後者だ。よほどのクルマ好きか特定のモデルに想い入れがない限り、はじめから「一生モノ」といった発想がないのは当然だろう。それであれば、手放すときに5万円でも10万円でも高く引き取ってもらった方が、乗り換えるときの軍資金に上乗せできる分、より上級モデルやグレードが狙えるわけだ(予算を抑えられるという堅実な考え方も当然アリだ)。そもそも、数万円単位でも気にするなという方が無理な話だ。


しかし、なかには絶望的にリセールバリューが悪いクルマも存在する。初回車検で新車価格の半額以下なんていわれて絶望したことがあるかもしれない。中古車として買う分にはお買い得ではあるが、いずれ乗り換えるときにもリセールバリューの悪さに泣かされることとなる。つまりは二束三文ということだ。


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■もしクルマにそれほど興味関心がないとしたら



クルマに対してそれほど興味がない、あるいは想い入れがないのであれば、妙なこだわりを捨てて「人気の高いクルマ&ボディカラー&オプション=リセールバリューの良いクルマ」を手に入れるのも個人的にはありだと思う(一部のクルマ好きからは怒られそうですが)。


具体的にはトヨタ アルファード&ヴェルファイア、ハリアー、ノア&ヴォクシー、ホンダ N-BOXなど、一気に車種が限定されるが、納車してから少しずつ馴染んでそのうち愛着がわいてくる分、案外大切に乗る可能性もある。納車された瞬間に冷めてしまうようなクルマ好きよりもよほど健全だろう。


好きなクルマ、好きなボディカラー、好きなオプションを装備したクルマに乗りたい。それがたまたまリセールバリューの良いクルマであれば問題ないのだが、そうでない場合、乗り潰すくらいの覚悟が必要かもしれない。


■高級車も他人事ではない



いっぽうで、フェラーリやポルシェといったラグジュアリー&プレミアムブランドの新車であれば、リセールバリュー問題は避けて通れない。さらには人気のグレード、ボディカラー、オプション、走行距離といった条件次第で、新車より高値で売れる可能性がある。限定モデルであればなおさらだ。


その反面、過走行だったり、さらには個性的なボディカラーを選ぶと、ダイレクトにリセールバリューに影響する。しかも、その価格差が数十万円〜100万円単位だったりする。富裕層にとっては取るに足らないレベルかもしれないが、庶民にとっては目まいがする金額だ。意外かもしれないが、知人のお金持ち曰く「もともと短期間で乗り換える前提で購入している」の富裕層の方々にとってもリセールバリューは無視できないようだ。


なかには「ウチで引き取らせてもらうときに認定中古車として売りやすい●●●の色を選んでほしい」といった具合に、ディーラーからボディカラーやオプションを「逆指定」されることもあるという。知人のお金持ち曰く「なんだかなぁ」と思いつつ、限定車枠の確保やニューモデルをいち早くまわしてもらえることもあるし「持ちつ持たれつの関係」だと割り切っているという(いずれにしても、数年で乗り換えるから愛着も薄いそうだ)。


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■そして旧車の場合は?



多くの場合、旧車の走行距離はリセールバリューにそれほど影響しない。最新モデルほどには走行距離が増えることを意識しなくていい。その点は気が楽だ。むしろ重視されるのはその個体のヒストリーやコンディション、さらにはオリジナル度だ。


新車のリセールバリューを意識した使い方や、購入枠の争奪戦に疲れて、旧車界隈に流れてくる人もいると聞く。とはいえ向き不向きがある世界だし、何より扱いにくさや実用性の低さ、想定外のトラブル・・・。結果、思ったほど魅力を感じなかったという理由で新車の世界へと戻っていくケースが多いそうだ。



「扱いにくいクルマをスムーズに動かせたときの快感ってやみつきになりませんか?」と聞いてみたことがある。すると「むしろめんどくさい」と感じるそうだ。たしかにこれだけ快適なクルマが無数にあるなかでわざわざ不便で手が掛かる旧車に乗っているのだから、冷静に考えてみると「めんどくさい」という感覚の方がまっとうなのかもしれない。


そんなわけで、家に何台もクルマがあっても「エアコンが効かないのはイヤだ」とか「出先で故障するのは困る」という感覚の持ち主であれば、安易に旧車界隈には足を踏み入れない方がいいと思う。


■何人たりとも「リセールバリュー」というの呪縛からは逃れられないのか



クルマを購入するうえで多くの人が避けてとおれない「リセールバリュー」という呪縛。せっかく新車を買うんだし、本当はこちらのボディカラーを選びたいけれど、目の前にいるセールスマンがしぶっている。どうやら不人気色らしい。


買い手を選ぶ仕様である時点で不利だ。当然ながらリセールバリューにも影響するだろう。個性的なボディカラーより、定番カラーを選ぶ方が無難だし、手放すときにも有利だ。これでは誰のためにクルマを買っているのだか分からなくなってくる。それならばいっそ、一生モノとして可能な限り理想的な仕様を造り上げてもいいかもしれない、とはなかなか思うようにいかないのがもどかしい。


クルマを買う前段階から手放すときのことを考えるとは、何だか寂しさを感じるのは筆者だけだろうか。


[画像/TOYOTA・ライター・撮影/松村透]


 


 

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