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ドイツ現地レポ

更新2019.04.19

ガンディーニがデザインした大ヒットモデル、ルノー・シュペールサンク。外装がヤレていてもまだまだ現役!

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守屋 健

2019年3月5日。約1ヶ月前のことになりますが、ルノーの主力モデルの一つ「クリオ」の5代目モデルがジュネーブ・モーターショーでデビューしました。日本では商標の事情で「ルーテシア」として販売されているこのクルマ、実はヨーロッパ・Bセグメントで販売トップ、全クラスでもフォルクスワーゲン・ゴルフに次いで第2位、フランス国内では不動の1位となる大ベストセラーモデル。モデル末期になってもこれだけの販売数を維持していたあたり、ルノーは小型車を作ることについてよく「わかっている」のでしょうね。新型にかかる期待も大きいですが、さてどんな仕上がりになっているのでしょうか?

そんなクリオの先祖に当たるモデルが、ルノー・5(サンク)です。サンクは大きく分けて第一世代と第二世代が存在しますが、今回紹介するのは第二世代のモデル、通称「Supercinq(シュペールサンク)」。小さくてキュートな、このクルマの魅力を改めてお伝えしたいと思います。

キャトルの基本構造を受け継いだ第一世代




シュペールサンクの話をするためには、やはり第一世代モデルの5(サンク)にも触れないわけにはいきません。サンクが登場したのは1972年。発表されるや否や、ヨーロッパで瞬く間に大ヒットを記録しました。ヒットの訳は、高い実用性と優れた乗り心地、そして先進的なデザインです。角形のヘッドライトに樹脂製バンパー、斜めに切り落としたようなリアエンドは、保守的だったルノーのデザインを一気に若返らせました。

サンクが登場した当初は3ドアモデルしかありませんでしたが、これはフランス車としては大変珍しい特徴でした。シトロエン・2CVしかり、ルノー・4しかり、それまでのフランス車はどんなに小さくても4ドア、もしくは5ドアを備えていることが常で、3ドアのクルマはほとんどなかったのです。その点、3ドアハッチバックが長らく基本形で、5ドアハッチバックが後になって生産されるようになったドイツ車とは対照的ですね。



サンクは、ルノー・4(キャトル)の構造をそのまま受け継いでいるため、縦置きエンジンのFFという珍しいレイアウトとなっています。また、キャトルで特徴的だった「左右でホイールベースが異なる」という構造も受け継いでいて、その差は縮まったものの、依然として30mmホイールベースが異なっていました。熟成されたメカニズムと先進的なデザインを武器に、サンクは全タイプ合計で550万台以上を売り上げる大ヒットモデルとなります。

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デザインの手がけたのはマルチェロ・ガンディーニ




第二世代モデルとなるシュペールサンクは、1984年から1996年まで生産されました。途中1987にマイナーチェンジが行われていて、その前後でフェイズ1、フェイズ2と区別されています。写真の個体は、エンブレムの位置やグリルの形状から判断するとフェイズ2でしょう。ボディのそこかしこに傷や凹みがあったり、ガソリン給油口のフタがなかったりするなど、日常的にガンガン使われている様子が伺えます。シュペールサンクも第一世代に劣らずのベストセラーとなり、生産終了までに340万台以上を販売するなど大成功を収めました。

シュペールサンクのデザインは、内装・外装ともにマルチェロ・ガンディーニが手がけました。マルチェロ・ガンディーニと言えば、ランボルギーニ・カウンタックやミウラ、ランチア・ストラトス、シトロエン・BXなどを手がけた鬼才として知られています。シュペールサンクのデザインは、コストの制約がある中でも安っぽさや古さを感じさせない、非常に素晴らしい仕上がりと言えるでしょう。

多くのバリエーションモデルが存在




第一世代で縦置きだったエンジンは、シュペールサンクでは一般的な横置きエンジンとなり、早い段階で5ドアモデルも用意されました。また、商用モデルとして荷室を拡大したフルゴネットモデル「エクスプレス」やレザーシートなどを装備した豪華モデル「バカラ」、大幅にパワーアップしたスポーツモデル「GTターボ」など、多くのバリエーションモデルが生まれています。

外装がヤレていても、まだまだ現役で活躍するシュペールサンク。最新世代のクリオと公道で並んで走る姿も、いずれ見られるようになることでしょう。ヨーロッパを代表する新旧コンパクトカーとして、これからも活躍していくに違いありません。

[ライター・カメラ/守屋健]

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