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更新2023.11.22
静岡で広く輸入車ライフを提案する「プレミアムワールド・中古車フェア」とは
中込 健太郎
カーメディア「レスポンス」のニュース記事でも一部ご紹介していますが、そこで扱えていないブランドについてカレントライフで紹介しておこうと思います。なんせ13ブランド100台以上のクルマが集まるとあって、押すな押すなの大盛況という感じではないものの、クルマ好き、輸入車好きから初めてクルマを購入するような人、輸入車入門の人など、大勢がツインメッセ静岡を訪れていました。以下ブランドごとに紹介していきます。
静岡ではMINI 5ドア・クラブマンが人気!:MINI静岡
静岡市のツインメッセ静岡で開催されたプレミアムワールド・中古車フェア。株式会社ALCは静岡県内で8ブランドを展開している。その中で会場に入ってすぐ、MINIが来場者を迎えてくれた。MINI静岡のブースだ。
MINI静岡は10台の認定中古車を会場に持ち込んでいた。中古車といっても数十キロから数百キロというデリバリーマイレージのクルマが中心。とはいえ、とてもキャッチーでスタイリッシュなグレードや仕様だが、自分でオーダーするとなると躊躇してしまいそうなクルマはこういう展示会では人気だ。すでに「成約済み」「商談中」という札のかかったクルマも散見された。
「静岡は温暖で降雪も稀な気候ですので、輸入車に載るには比較的適しているのかもしれません。しかもクルマがないと不便な街なのでクルマは欠かせません。同じ買うなら少しでもいいものをという方は少なくないと思います。」とMINI静岡の塩坂氏は語る。
また静岡では、輸入車に乗るということは単なる贅沢、自己アピールの手段の域にとどまらない価値を持っているようだ。「登場時は疑問視する声もメディアやクルマ好きの人からも聞かれた5ドア、実はお子様のいるご家庭やお買い物でもクルマを使われる奥様からの評判がかなり好調でして、フル5ドア化された現行型クラブマンと併せてかなり高い人気を誇っています。大きいとはいえ、まだまだ小さいですし、クルマとして絶対的に使い勝手のいいサイズである点が人気の理由ではないでしょうか。」なるほど、しっかり道具としての選択をしている。こういうニーズの地域性はその土地ごとの生の声を聞くと説得力が違う。
また、コンパクトなモデルでもディーゼルモデルをいち早くラインナップさせたMINIだが、「MINI静岡ではかなり人気です。私もお勧めしていますが約半数ほどでしょうか?一度乗っていただくとあの力強い走りと、ハイブリッドカーをもしのぐほどのランニングコスト。経済的だが所有欲も満たす選択肢としてご指示いただいております。」と前述の塩坂さん。一台すでに成約済みになっていたが、もう一台商談中のカードが掲げられる。「いいお返事を頂けるといいのですが。」クルマ選びに携わる人の笑顔は見ていて心が温まるものである。
▲ミニで人気は5ドアとクラブマンなのだとか。4人乗りでなくチャイルドシートも載せられる、ちょっとおしゃれなクルマ。なるほど出向いてみると、実に自然にその理由が理解できる。クルマはモビリティでありながら、ホームの風土など大きな影響を受けるのだと実感。
静岡でも反響大きいC4カクタス!:プジョー静岡・シトロエン浜松ブース
プレミアムワールド・中古車フェアでは、プジョー静岡・シトロエン浜松ブースも早々成約車が出るなど、活気を見せていた。
「正直日本ではマイナーなブランドです。そんなプジョー/シトロエンにとってHDiモデルでエコカー減税対象車になったことはとても大きな意味があります。」と語るのは株式会社ALCの後藤氏。「ようやく土俵に上がれたということなのだと思います。国産のエコカーを主眼に決められた減税基準。大手ブランドは対応できていましたが、どうしてもプジョー/シトロエンは今まで対応させられなかった。でも実際の減税によるコスト削減効果以上に、今どきのエコカーの延長線上で受け止めていただけるようになった。これはとても大きいことです。比較的安価な輸入車だからこそこういうことは重要ですね。試乗さえしていただければ、プジョー/シトロエンならではの良さ、きっとお分かりいただけると思いますから。」と今の状況を話す。
2008が成約。308SWのHDiが商談中と今回のイベントでも幸先良いようだ。「間もなく3008も登場予定ですし、C4カクタスの反響が大変大きいです。様々なジャンルで試供品などを配布したり、テストマーケティングを静岡で行うケースはとても多いのですが、かなり個性的な内容ながらあの反響を見ていると、商品として動かしがたいものを感じます。」と前出の後藤氏。もう追加分も含め全国300台ほぼ完売状態ですが、静岡で一定の反響、引き合いがある点は無視できないのかもしれない。
また、会場にはRCZや308CCといった、惜しまれつつ絶版になったスペシャリティカーの販売車も持ち込まれた。「実はRCZ、全国でも屈指のセールスをこの地域で経験しております。それだけに需要も多く、好条件で買い取らさせていただけていますし、そもそも中古車予備軍の程度の良い個体が多いのもこの地域なのではないでしょうか。」と胸を張る。
そんな中一番正面には、C3のリーズナブルな中古車が。「エントリーにもってこいですね。4速ATなので癖もなくどなたにでもお勧めできます。」と太鼓判を押す。「今まで自社のイベントは多かったのですがこういう合同イベントは初めて。実は新車の引き合いも多数いただきました。今までとは違った雰囲気で、多くの人にプジョー/シトロエンの存在、良さを知っていただけたのではないでしょうか。」と語る。
カーライフにエントリーしてもらう際の選択肢として欠かせない中古車。しかし、静岡でプジョー/シトロエンの中古車越しに、プジョー/シトロエンの展望は明るいようだ。
▲静岡にはRCZが割と多いとな。これもいいクルマなんですよね。大きなトランク、セダン以上に後方視界がいいなど、クルマとしてもまっとうですし。
アメリカンをお届けしたい!:ジープ静岡
ジープ静岡からはコンパクトなレネゲードから本格的なラングラーまで10台が持ち込まれ、ヨーロッパ車とは一味違ったテイストに来場者は興味津々と見入っていた。「フォードも撤退してしまいアメリカ車が少し寂しい状況になっていますが、独自の個性があるジープにもかなり多くのご来場者の方にご覧いただいております。実はレネゲード、コンパスといった、小柄な女性の方にも乗っていただきやすいモデルも取り揃えております。そうしたことを知っていただくだけでも価値だと思いますね。」と会場の担当者は話す。
とはいえ、一番引きが強いクルマは?と尋ねると「やはりラングラーでしょうか。実際買うとなると躊躇される方もいらっしゃるかもしれませんが、まず見て触れてみて、というのは大切ですよね。私たちはぜひご成約いただきたいという気持ち、もちろんあるのですが、今までにないタッチポイントを持つ。こうした機会はそんなカーライフへのエントリーとして、何かきっかけになってくれるといいなという部分もありますので。」とのこと。「静岡でアメリカ車ならではの個性や、おおらかさを、もっと多くの人に提案していきたい。」と話していた。
▲引きがいいのはラングラーだという。わかりやすさは一番だ。
静岡からもっとルノーを盛り上げいきたい!:ルノー静岡
「ルノーのブースに来ると価格もほっとする。と言われることが多いのです。」と話すのはルノー静岡の吉川マネージャー。ただ安いだけではなく、気軽に乗り始めるとリピーターも多いという。
ルノー静岡では話題のトゥインゴもブース正面に展示されるが「案外人気はルーテシアです」と吉川マネージャー。「私どもではルーテシアとカングーといったファミリータイプが主流です。価格サイズともに手ごろな一台はいまや新車全体を見ても比較的少ないのかもしれません。」なるほど、地方都市で暮らす人たちはいわばクルマ選びのプロ、趣味や遊び感覚だけでは済まされない。そういう土地での事情はあるものだ。
「ルノーはまだまだ認知度の低いブランドです。今回このプレミアムワールド・中古車フェアのようなイベントに出展することで、はじめてルノーを知ってくださる方もいらっしゃいます。セールスに直結しなくても、クルマ、中でも輸入車というコンテンツの入り口に立たれたときにその選択肢の一つにしていただければ幸いです。日本ではまだマイナーなルノーも、世界ではかなりメジャーなブランドです。ワールドマーケットではブランディングということをとても大切にしますので。」と吉川マネージャー。
ただ、ファミリータイプが主流といっても、R.S.モデルのプロモーションにも積極的だ。「RENAULT SPORT FUJIYAMA 3776という会員制のコンテンツを発足させ、ご好評いただいております。2013年に世界遺産にも登録された富士山。静岡にゆかりのあるこの山をベースに、スポーティでありながらエレガンスを併せ持ったルノースポール。この魅力を発信しこの魅力をみんなで体感し、ルノースポールのファンになろう!という趣旨で発足したこのコンテンツ。ルノーのオーナーの方でしたらどなたでもご入会いただけます。毎年富士スピードウェイで開催されているオートカージャパンフェスティバルでも集合し、オーナー様どうしのつながりもできています。」と吉川マネージャー。
お話の最後に吉川マネージャーは、ルノーの魅力を「シンプルであって個性的なところ。」とまとめて下さった。それだけにユーザー自身の目で、感覚でクルマに触れて、何か新しい発見を、一人でも多くの来場者にしてもらえれば、とこのようなイベントにも前向きだ。「日本でルノーの盛り上げにも貢献していきたいと思います。」ルノーを愛する人のもとにはルノー好きが集うということのようである。
▲静岡ではトゥインゴの反応はそこそこ、ルーテシアの支持が強いのだとか。やはり相対的にもあの価格、それでいて物の良さ、目立ちすぎることへの抵抗など、日本の一般的な温度感など総合的に判断されているのかもしれない。地方の人のクルマ選びはとても勉強になる。)
人気は911とボクスター:ポルシェセンター静岡
ポルシェセンター静岡からは、911が2台、ボクスター、パナメーラ、カイエンと、5台のクルマが持ち込まれ、来場者が多数足を止めていた。「普段なかなかショウルームに足を運ぶまででもという方が来てくださいました。初日に早速カイエンはご成約もいただき、幸先のいいスタートを切れたと思っています。でもやはり、目を引くのは911、ボクスターのようですね。」と担当者は話す。
ポルシェセンター静岡では年間で100台程度のポルシェを販売しているという。「本当はマカン、ケイマンなどもご紹介したかったのですが。」とのこと。最近はカイエンに加えてマカンが追加になり、新しいお客様がとても増えているのだという。それだけに、こうした初めてそのブランドのクルマに触れるというお客様と多数の接点が生まれるイベントの価値は、ポルシェにとっても大きいようである。
▲カイエンなど人気が強い。成約も出ていた。
再びグラントゥーリズモの人気が再燃!:マセラティ浜松・静岡プレオウンドカーセンター
静岡県内のマセラティ正規ディーラーと言えば浜松のマセラティ浜松だが、静岡にはプレオウンドカーセンターがある。認定中古車を扱うほか、東西に広い静岡県内のマセラティーのオフィシャルな拠点として重要な存在だ。
プレミアムワールド・中古車フェアには5台の中古車が展示された。「ショウルームよりも敷居が低く、気軽に見てくださっているお客様が多いようです。いつかは乗ってみたいと思っておられる方がいらっしゃるということもわかりました。」とレセプションの大庭さん。
静岡では、浜松から試乗車を持ってきて対応することもあるのだという。最近では静岡にもかなりマセラティファンが増えてきていると話す。「依然はギブリが人気でした。しかしグラントゥーリズモの継続販売と次期モデルまでもう少しお時間をいただくとの発表の後は再びグラントゥーリズモの人気が再び急上昇しているようです。」
ギブリの一番人気は410馬力のSとのこと。静岡においてはディーゼルのデビュー後もその状況は変わらず、実際試乗されて、音を聞かれたりするとSを買う人が多いのだそうだ。しっかりとそのクルマに求める性格など、妥協をしないチョイスをされるファンが多いようだ。
ここで特に注目を集めていたクルマは、先代のクアトロポルテのオートマティックのGTS。白い外装に組み合わされるブルーの内装もさわやかな一台だ。クアトロポルテのニューモデルも登場したばかり。高年式のクルマも以前よりは流通量も豊富で選ぶ楽しみの大きいブランド、車種と言えそうだ。「写真で見るよりも繊細でダイナミックなフォルム一つとっても、相当に感じていただけるものは大きいクルマだと思います。ぜひ一度ご自身の目で、判断基準でマセラティを体感していただきたいです。」大庭さんは話す。
▲トルクコンバータータイプのGTSはひそかな人気車種。探している人は多い。内装がブルーな点も筆者としては看過できない。
展示車に込めるメッセージ:フィアット・アルファロメオ静岡・アバルト静岡
フィアット・アルファロメオとバルトのブースに展示されているクルマは、担当の方にお話を伺うと、それぞれ一台一台トピックやメッセージが込められているとのこと。
「台数も限られていますし、かなり厳選しました。」と担当者は話す。一番通路に近いところにはアバルトが置かれている。「今回会場のこの3ブランドの中では一番反響が大きいのがアバルトです。アバルトの3台は最新のモデル、希少なモデル、大人気モデルを一台ずつご用意しました。」とのこと。昨年12月に発表になったアバルト124。まだ中古車は全国でもほとんどないという。「今回せっかくのイベントなので一台下して中古車としてご紹介することにしました。」
マニュアル車はすでに3か月ほどの納期待ちを要するとのことだ。「100台限定のアバルト695トリブートフェラーリです。シリアルナンバーからすると26号車ですね。中古車情報見ても全国でもほとんどないクルマなのではないでしょうか。勿論ディーラー車ですよ!」と太鼓判を押す。もう一台は「これだけコンパクトながらトルクフルで力強い走りを見せてくれるクルマはなかなかなく、大人気ですね。ほかの2台のアバルトとは違ってポピュラーなモデルですが、それだけ多くの皆さんにお勧めしたい一台でもあるのです。」
その奥にフィアットのモデルが並ぶ。「フィアットは、一通り、今日本で販売しているラインナップを中古車でそろえてみました。500 1.2 SPORTはいまや限定車でしか見ることのできないMTモデル。その横の500Cは赤いキャンバストップのおしゃれな一台。白いボディに赤のキャンバストップが目を引きます。愛嬌だけではなく造りもよく、キャンバストップの信頼性も高く、小さいが優雅さもある一台。おかげさまで売約済みとなりました。ツインエアのパンダも中古車でご要望の多い一台。タイミングがつかめると心地いいデュアロジックとエンジンのコンビネーションはとてもいいですね。こんな雰囲気をファミリーで楽しみたいという方には500Xをご用意しております。チャイルドシートも難なく装着できる点でご好評いただいております。」そう案内してくれる横でも、愛嬌のあるフィアット・アバルトの周りには見学する来場者が絶えない。
▲ミニ5ドアが人気なのと同じ理由だろう。日本では5人乗りの愛嬌のある比較的コンパクトなクルマのリーズナブルさは光るようだ。
「アルファロメオは小さいながらクーペMiTo、ジュリエッタ、あまりにもきれいだったのでスパイダーもご紹介します。MiToはコンパクトなハッチバックタイプのボディながら、ハードトップという珍しい成り立ちの一台です。8Cコンペティツィオーネというモデルがありましたが、それの専用色アニバーサリーレッドを引き継いだ、アルファロメオのスペシャリティモデルという位置づけです。今回こうした機会に、ぜひこのクルマの個性を一人でも多くのお客様に見ていただきたいですね。ジュリエッタはスポルティーバというグレードで高級でスポーティなキャラクター。多くの方に気に入っていただける仕様ではないでしょうか。ブルーのスパイダーは絶版モデルですが屋根下保管で装備も充実、コンディションも素晴らしかったので展示しましたが、すぐに売れましたね。」
成約も出て、案内していただく間も人の絶えない大盛況のフィアット・アルファロメオ、アバルトのブースだった。
話題の絶えないメルセデスベンツ:ヤナセ
近年のAクラスをはじめとするFFモデルの人気はものすごい勢いがある。このことも積極的な輸入車ユーザーのエントリー層の取り込みに余念のない表れだろう。メルセデスベンツブースでは、人気のFFモデルの未走行車と、それにもましてお買い得感のあるハイグレードモデルの認定中古車を多数展示した。
「モデル末期に入ってきたと目されるAクラスはじめその派生車種は、やや落ち着きを見せている印象です。今はお客様の情報は早いですね。今はC、Eクラスが営業では軸になっているいんしょうでしょうか。」と会場の担当者は話す。この後Cクラスのグレード追加、かなりハイクラスではAMG GTの限定モデルなど、近々でもニューモデルが控えている。車種が多いメルセデスベンツは常に話題が絶えることがない。「車種が多い分いろいろ選んでいただけますね。今だとこの先代Eクラスの前期モデルがお買い得かもしれません。もう少しするとこの前期モデルが認定中古車から外れてしまうので、価格とのバランスで考えるとお勧めですね。」とのこと。
普段静岡ではメルセデスベンツのみを展開するが、輸入車ブランドを複数手がけるヤナセ、会場にはフォルクスワーゲン、BMWのかなり人気グレード、仕様のモデルが一緒に展示され、早速成約も出ていた。
輸入車に乗るという選択は日常にちょっとしたこだわりを
このプレミアムワールド・中古車フェアが開催された、静岡のマーケットは全体の比率だけでは測れないですね。静岡の場合、比較的平野も広がっていて、近郊から20~30キロ程度の距離をクルマで通勤する人も少なくないという環境で、クルマにこだわる人も多いのでしょう。
輸入車に乗るという選択は日常にちょっとしたこだわりを。そんな感じなのかもしれませんね。こういうところでのクルマ選びには、何か「プロ意識」のようなもの、「カッコいいだけじゃダメ」「買うからには・・・」というこだわりを感じました。
出かけてみると分かる話、ありますね。
[ライター・カメラ/中込健太郎]