オーナーインタビュー
更新2017.05.18
ポルシェ911カレラ アニバーサリーのオーナー、森田 学(morizo)さんへインタビュー
松村 透
「クルマが人(オーナー)を選ぶ」という視点でスタートしたこのコーナー。今回のクルマも、この人のところへ嫁げばシアワセになれると分かっていたのかも…しれません。
──まずは、森田さんのお仕事について聞かせてください。
小売業の会社員です。
──輸入車に乗ろうと思ったきっかけとは?
これまでファミリーカーとして、アウディ1.8クワトロやメルセデス・ベンツA210エボリューション、ルノー・カングーに乗ってきました。自分の愛車として初の輸入車は、ロータス・エリーゼ タイプ99Tです。昔からライトウェイトスポーツカーが大好きで、ユーノス ロードスター(NA6CE)を楽しんだ後、お金を貯めて憧れのロータスを手に入れました。ちょうど大好きなドライバーであるアイルトン・セナの限定車が出ることを知り、オーダーしてから9か月掛かりましたが、ようやく手に入れることができました。その後、同じボディカラー(サフランイエロー)のロータス・エキシージに乗り換え、サーキットやツーリングで楽しみました。
──現在の愛車を手に入れるきっかけとは?
2012年の冬頃でしょうか。40才を過ぎたあたりからポルシェ911が気になりだしたのです。そのときはロードスターとしては2台目となる、M2-1028(マツダ)を手に入れて楽しんでいました。実は、ライトウェイトスポーツカーと同じくらいポルシェも大好きでして。その昔、手に入れたポルシェの本をずっと持ち続けていたのです。
▲現在の愛車であるポルシェ911を手に入れる前に所有していた、マツダのグループ会社であった「M2」が、ユーノス ロードスターをベースに1994年に300台限定で販売したコンプリートカー「M2 1028」
▲一見するとホイール以外はノーマルのような雰囲気でありながら、森田さんが"M2 1028R"と称して、厳選したパーツによって細部にわたるまでモディファイされています。さらに、この"1028R"は「コンクールコンディション」といえるほど美しい状態を保っていました
自分専用のクルマなので、2シーターも選択肢になることから、当初はポルシェ911カレラRS(964)を手に入れようと探していたのです。しかし、すでに空冷911の価格が高騰している時期に差し掛かっていました。そんなとき、あるショップにグランプリホワイトの964RS(ツーリング)の売り情報があり、これは!と思い、本気で購入するつもりで動きました。しかし、なぜか最後の最後で決断ができなかったのです…。
そんななか、いろいろ調べていくうちに、よりシンプルかつクラシックであり、子供の頃に憧れたポルシェといえばビックバンパー(930)だったよなあ…という、自分の気持ちに気付いてしまったのです。こうして自分が求めている911像が明確になったところで、初めてのポルシェ、初めての左ハンドルのマニュアル車としてベストな選択は何だろう?そう考えた結果、ポルシェをデビューするにはピッタリのモデルと(勝手に解釈して)、G50ミッションを搭載した1987年以降のモデルを探しはじめました。
▲森田さんご自身の求めている911像が定まったのち、運命的な出逢いで巡り会ったのがこのポルシェ911カレラ アニバーサリー
探す際のポイントは、ボディカラーはホワイトかシルバー系(ボディカバーを被せるので)。カレラウィング付きで、できれば弄りたくならないような限定車だったらいいかな…そんな風に考えました(このときはポルシェ911カレラ アニバーサリー の存在は知りませんでした)。
▲もともと素晴らしいコンディションだった個体を、森田さんの愛情とコーティングのスペシャルショップ「Apecs」の手により、さらに美しく磨き上げられた森田さんのポルシェ911カレラ アニバーサリー(詳細ページ)
そんなある日、私にとって大切な友人が「兵庫県に良さそうな911があるよ!」という情報を教えてくれまして。それがいまの愛車となる1988年式のポルシェ911カレラ アニバーサリー(25万台記念)だったのです!2013年の初夏に現地まで赴き、熟慮した結果(ショップのオーナーさんがとても親切で、私に十分に考える時間を与えてくれました)、これも何かの縁だろうということで購入を決めました。
──手に入れて良かった点、こだわり、苦労している点は?
●良かった点
▲プロ顔負けのロケ地チョイスと撮影テクニックを持つ森田さん。911のフォルムが夜の街に美しく浮かびあがります
正直、乗り始めた当初は動かすにもおっかなびっくりでした。多くのオーナーさんがご経験されたと思いますが、私も御多分に洩れず「ヤバイクルマにしちゃったかも…」と思ったものです(笑)。しかし、乗るたびに「なんて楽しいんだろう!!」と、みるみるこの911に魅せられていきました。ゆっくり流していても、飛ばしていても本当に楽しいクルマですね。
▲28年の時を経ているとは思えない、森田さんのポルシェ911カレラ アニバーサリーのエンジンルーム
ドアの開け閉め、そしてその手応え…。キーを左手でまっすぐ差し込み、時計回りに右に回して、独特のセルモーターの音とともにエンジンスタート…アイドリング…クラッチペダルを踏んで、ギアを1速に入れて…そんな一連の動作が、毎回毎回、本当に楽しいです。
●苦労している点
▲取材場所となったCROSSPOINT25にて、愛車を慈しむようにメンテナンスする森田さん
この「ポルシェ911カレラ アニバーサリー」は生産されてから28年前のクルマですが、いまのところ特にありません。手に入れてから2年間・約27,000km以上走りましたが、一度も不動になることはありませんでした。直近でのトラブルといえば、パワーウィンドースイッチが壊れたことと、ドライブシャフトブーツが破けたので交換(いずれも消耗品)くらいです。
●こだわり
▲運転席にはレカロのバケットシートが装着され、モディファイが進行中の模様。リアクォーターのステッカーは、森田さんがプロデュースし実現したもの
▲反対側のリアクォーターには、ポルシェ・クラシックス製のステッカーが。"911 50"にこだわる森田さんのために、友人が手に入れてくれたのだとか
▲オリジナルの状態だった頃の内装。純正ステアリングやシフトノブもリペアされ、28年前の個体とは思えない驚愕のコンディションを誇ります
3年目に突入したこともあり、せっかくの愛車なのですから、自分の好みにあわせて少しずつ手を入れてみようかな、と思っています。目指すところは、アニバーサリーらしさを残しつつも、さりげなく軽量化したクラブスポーツ的な911を目指したいと思っています。
▲いまや希少なモンティ製マフラーには"Carerra"のロゴが…。普段は見えないところでも手を抜かないのが森田さん流のモディファイ
──予算抜きで、欲しいクルマBEST3と「アガリのクルマ」は?
1.パガーニゾンダ
カーボンフェチにはたまらない究極の1台です(笑)。
2.フェラーリ288GTO
ピッコロフェラーリ好きとして、一度は所有してみたい1台です。
3.ロータスエラン26R
新品パーツで新車の26Rを作りたいと本気で思っています。
アガリの1台. 1989 スピードスター
1989年式のスピードスターで、いつか自分の理想の911を創ってみたいですね。
──森田さんにとって、愛車はどんな存在ですか?
人生(生活)において「元気や希望や出逢いをもたらすモノ」です。
これまでの愛車すべてがそうでしたが、そのクルマがあるからこそ頑張れた!とか息抜き、気分転換、無心になれる…。クルマが趣味で本当に良かったと思っています。
そして、いろいろな出逢いをもたらしてくれますよね。
▲今回、森田さんの取材場所として場所を提供していただいた、CROSSPOINT25の取材の模様はこちらです。
あの日、あのとき、他のクルマに乗っていたとしたら、おそらく一生出会うことなく終わったはずだという方との出逢いがあったように思います。それこそが「ご縁」なのかもしれません。
▲自分で愛車のメンテナンスすることができるのもCROSSPOINT25の特徴。ショップオーナーの村田氏がサポートしてくれるので安心です
こればかりは自分でも不思議だなあと思っています。お互いの愛車が変わっても、お付き合いは続いて…ということもよくありますし(笑)。もしかしたら、欲しいと思っていた念願の愛車を手にいれた喜び以上に、素晴らしい仲間との出逢い、その輪が広がってかけがえのない存在となっていく…。これこそがクルマが趣味であることの一番の醍醐味かもしれません。
▲仲間たちとのカーライフを満喫している森田さんを羨ましく眺める取材となりました
そんな素晴らしい仲間たちとクルマを趣味を共有できることが一番の喜びであり、こんな時間がいつまでも続いたらいいのにな…と、心からそう思いますね。
▲ポルシェ911カレラ アニバーサリー(930) エンジンスタート〜ブリッピング音
【オーナープロフィール】
お名前:森田 学(morizo)さん
年齢:45才
職業:会社員
愛車:ポルシェ911カレラ アニバーサリー(930)
年式:1988年式
ミッション:5MT
【取材協力】
CROSSPOINT 25
取材記事:https://www.gaisha-oh.com/soken/report-crosspoint-25/
[ライター/江上透 カメラ/江上透・森田 学(画像提供)]