コラム
更新2020.08.21
なぜいま高値に?ポルシェ996型の相場が値上がり傾向の理由
松村 透
引き合いが増えている=相場が上がっているということです。
空冷ポルシェ911の高騰は何度もカレントライフでもお伝えしていますし、他の媒体などでも取りあげられています。その空冷911の相場が一段落ついたタイミングと入れ替わるように、ポルシェ911/996型(以下ポルシェ996型)の人気が高まっているからです。
そこで、以下の仮説を立ててみました。
ポルシェ996型が値上がり傾向についての仮説(2016年4月現在)
●ポルシェ996型が現役当時に憧れていたユーザーが購入するべく動き始めた
●空冷モデルが高くなりすぎ、年式や程度と照らし合わせても割安感がある
●空冷911同様、海外からの引き合いが増えた?
このあたりでしょうか。
では、どのあたりのモデルが人気があるのでしょうか?
やはりというか、GT3やGT2のスペシャルモデルがもっとも人気があり、カレラ4Sやターボがそれに続きます。964、993時代よりもさらに希少価値が高まった「MTのカレラ」は、群を抜いて人気があるわけではないようです。この種のクルマを好む人は、購入検討段階からGT3などのスペシャルモデル狙いなのだと思われます。
そこで、カレント自動車A氏の協力を基に、最新996人気モデルベスト5を挙げてみました。
1.ポルシェ996型GT3(前期)
通常、後に出たモデルの方が人気がある傾向ですが、GT3に関しては別です。限定モデルとして発売されるも即完売。追加生産されるほど高い人気を誇りました。メルセデス・ベンツ500E同様、前期モデルの人気が高いようです
2.ポルシェ996型GT3(後期)
PCCBなど、現代の911に通じる装備が選択できるようになったのも996GT3後期から。ちなみに、GT3後期はカタログモデルとなりました。見た目や走りなど、自身の好みを見極めて手に入れたいところです
3.ポルシェ996型GT2
一時期は中古車の売り物件を見掛けたものですが、最近は明らかに数が減りました。オーナーが手放さないという理由もありますが、GT2は海外に流れている個体が多いようです。GT2にも後期モデルが存在しますが、超がつくほどレアなモデル
4.ポルシェ996型カレラ4S
ワイドボディの魅力的なフォルムと、お洒落な内外装の色で仕立てられた個体が多いのもカレラ4Sの特徴です。素のカレラより価格は高くなりますが「どうせ買うならば…」という心理が働くのでしょうか。996が現役の当時からカレラ4Sは人気があり、その傾向は変わりません
5.ポルシェ996型ターボ
996の後継モデルにあたる997カレラが手に届く方であれば、996ターボも視野に入ってきます。MT/ティプトロニックの割合では、ティプトロニックの方が圧倒的に多いのはいうまでもありません。希少なMT車に人気が集中するの仕方ないとしても、ティプトロニックにも需要があるのが、996からの新傾向かもしれません
人気ランキングでいえば「いままでと変わらないじゃん」。そんな声が聞こえてきそうです。
傾向は変わらないとしても、ポルシェ996型の日本内外の需要は数年前より確実に増えています。需要に対する供給が追い付かなければ、相場が上がっていく道理です。
カレント自動車のA氏曰く「海外から引き合いがあるのはGT2のみです。歴代911シリーズのなかではあまり評価されていない996ですが、乗ってみたら、結構良いじゃん、やっぱりポルシェだ!しかも空冷911よりも安価で手に入るぞ!」…ということで注目されているのではないでしょうか?との見解でした。
空冷911はいまだに高値。997も予算的に厳しい…。それならば996にしよう。このように、消去法的な選択でポルシェ996型を選ぶ時期は過ぎたようです。予算の届く範囲で本当に欲しい911を選び、もしそれが996型だとしたら早めに動き、良い個体と巡り会ってください(A氏曰く…と記事で伝えてくださいとのことでした)。
繰り返しになりますが、空冷911の相場が一段落ついたことは、購入を諦めていた方には朗報かもしれません。
[ライター/江上 透]