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更新2017.06.24

世界的に人気ボディカラー第1位は白。理由はアップルのiPod人気?景気が上向いたから?

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海老原 昭

自動車には実に多彩なカラー設定があり、高級車ともなればカタログにない、オリジナルのカラーを設定できるケースも珍しくない。また、モデルごとにイメージカラーが設定されていたり、「フェラーリレッド」のように、メーカー、あるいは車種によって世代を超えて特定の色と強い結びつきを持っている場合もある。

しかし、いかにメーカーの持つカラーや時代の趨勢などがあっても、自動車には圧倒的な人気色がある。それは「白」「黒」「シルバー」だ。

現在の人気色は世界的に「白」




自動車用塗料メーカーである米アクサルタコーティング社が毎年発表している、自動車人気色の調査報告書によると、全世界での人気色は35%と他を引き離した白が1位を獲得。このうちパール系が11%、ソリッド系が24%だという。ちなみに、白がトップを取るのはこれが5年連続で、それまでは10年連続でシルバーが1位だったとのこと。なお、2位が黒(18%)、3位がシルバー(13%)、4位がグレー(10%)と、なんだかんだで「無難で地味」な色が人気を集めているのがわかる。

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変化しつつあるカラーへの嗜好



海外、特に欧米では従来、白は「色がない」とされ不人気で、ブルーやシルバー系が人気を集めていたのだが、最近のトレンドはこの2色が落ちて、代わりに不人気だった白と赤が上がってきている。BMWの米国デザインチームを率いるサンディ・マクギル氏によれば、この状況を変えたのはアップルのiPod人気によるところが大きいという。iPodを始めとする同社のデジタルデバイスは白を基調とするミニマルなデザインが人気を集めたが、これが自動車の色にも影響を与えているというのだ。

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実際にどこまでiPodの影響があるかはさておき、世界の傾向を見ても、白の人気が高まっていることは事実だ。ほとんどの地域で白と黒がワンツーフィニッシュを収めている。ただし例外もあり、インドではグレーが人気で、2位が白、黒は不人気で8位となっている。また、中国では2位の黒の割合が高い。このあたりは文化的なものもあるだろう。



日本では昔から白や黒が人気色として強いイメージだが、実は白をきれいに塗るのは難しく、初めてトップを取ったのは1976年(昭和51年)。意外な感じだが、それまではグレーや黄色系の色が強かったのだ。白が圧倒的なシェアを持つようになるのは、1980年代後半になってからだ。

それではなぜ白が人気なイメージだったかといえば、おそらくは上記が乗用車の数値で、商用車(社用車)が入っていないからだろう。営業車=白、というイメージを持っている人も多いのではないだろうか。商用車の場合は社の名前を引き立たせる意味もあって白地になっていることが多く、それで日本中に白い車が走っているという印象になったのだろう。

現在、白は中古車の買取時にも有利とされており、特に人気の高いパール系・メタリック系の場合はソリッド系の白/黒と比較して数万円高い買取額が示されることもあるという。白は汚れや傷が目立ちにくいという実利的な面だけでなく、無難で面白くない反面、他人と違って目立ったり、突出することを嫌う日本人好みの色といってもいいのかもしれない。

クルマがカラフルになるのは景気が上向いた証拠?



ところで、ファッションの世界と同様に、自動車の世界でも流行はある程度の周期を持っている。景気が悪くなると黒い車が売れ、景気がいいとビビッドな色の車が売れるというような俗説もあるが、実際、バブル華やかなりし80年代には「赤」が20%近い売れ行きを示している(一般社団法人 日本流行色協会・自動車色彩分科会調べ)。

たとえばCMが子供にも大ヒットした初代ホンダ・シティ(1981年)や「陸サーファー」という言葉を流行らせた5代目のマツダ・ファミリア(1980年)などは赤が印象的なクルマだし、伝説の1989年を飾るホンダNSXやアンフィニRX−7もイメージカラーが赤だった(※画像の初代NSXは最終モデル)。

最近は赤よりもブルー系のほうが人気が高かったのだが、(多少の上下はあるが)円安&株高効果もあって、景気の上昇感がある。その影響か、マツダでは「ソウルレッドプレミアムメタリック」が売れているという。今やマツダのイメージカラーともいえる色だが、マツダによれば、2015年に販売されたアテンザやCX−5では20%近くがこのカラーを選択しているというから、相当なものだ。

これ以外の車種でも、トヨタ・アクアがソリッド・メタリックともに派手なカラーリングを多数用意して好評を博していたり、軽自動車でパステルカラーが人気を集めるなど、自動車のボディ色も一時期と比べ、だいぶ多様化を見せてきた。個性を重視する時代ということなのか、はたまた本当に景気が上向いてきた証拠なのか、いずれにしても選択肢が増えるのは、ユーザーにとっても業界にとってもいいことだろう。

[ライター/海老原昭]

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