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ライフスタイル

更新2024.11.28

プラレール号の記録簿 vol.6:主治医の存在

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松村 透

旧車を所有するうえで、多くの人にとって欠かせないのが主治医の存在。オーナー以上にクルマのコンディションを熟知し、壊したら直してくれて、交換時期が近い部品のアドバイスをしてくれたり・・・、と、何かと頼りになる(いてくれないと困る)存在です。



プラレール号にとって、現オーナーの愛情以上に重要であり、不可欠なのが、確かな腕を持つ主治医の技術かもしれません。


■主治医がいなければ間違いなくプラレール号は誕生しなかった



もともと、エンジンレス&内外装ともにボロボロだったプラレール号。それをどうにか無理やり頼み込んで現在のプラレール号に仕上げてくれた(※くださったというべきかもしれない)のが、ショップのFさんと主治医でもあるKさん。


「空冷ポルシェなんてよく買えたね」なんていわれたりしますが、何のことはありません。空冷ポルシェバブルが起こる直前に手に入れたこと、そして何より虎の子の貯金を切り崩して(しかも72回ローンを組んで)プラレール号を手に入れているから、というのがコトの真相です。当時は独身だったし、会社員だったので清水ダイブ(72回ローン)ができたということもありますが、当時は何とか手が届く相場だったことも功を奏しました。


エンジンレス&内装ボロボロということは、つまりは「レストアベース」のコンディションを意味します。プラレール号を手に入れたのは2012年の6月、ショップのFさんには「あと1年遅かったら(空冷ポルシェバブルで)無理だったと思うよ」というくらいかなり無理して手に入れています。そんな自らの経験もあり「欲しいと思ったときに動いておかないと手に入らなくなる」と声を大にしていえるのです。


ちなみに、プラレール号(・・・のベースとなった個体)は、カーセンサーやGoo-netなどの中古車検索サイトにも載りませんでした。エンスーの杜やヤフオクにも載っていません。ダイレクトにお話をいただいています。中古車検索サイトや個人売買になる前に次のオーナーが決まってしまうケースがあります。


どうしても手に入れたいクルマがあり、信頼できる専門店や主治医との付き合いがすでにあるとしたら、希望する仕様を伝え、即断即決できる準備だけしておいてください。下手に動かず、あとは「果報は寝て待て」の状態もありだと思います。で、忘れた頃にふと現れるんです。「ビビビ」ってくる個体が。ちょっと精神論が入っていますが、ホントです。


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■育ての親では分からないことは生みの親(主治医)に聞くしかない



かなり無理して手に入れたプラレール号(のベース車)ですが、エンジンレスゆえにクルマが完成しなければ走ることもできません。実際に完成するまでそれなりに待ちました。その後、完成してしばらくは主治医のところに置かせてもらっていたので、プラレール号に乗るときは「通い夫」状態。手に入れて10数年経ちますが、ようやく少しずつ馴染んできたと思えるようになったのはここ1、2年のことです。


プラレールの「生みの親」が主治医なら、筆者は「育ての親」みたいなものでしょうか。プラレールに触れていると、ときどき「これ修理した方がいいかな」と思うようなできごとに遭遇します。先日もメカポンで気になる箇所があり、動画や静止画で主治医のLINEに送り「たぶん大丈夫だと思うけど、気になるなら見せに来て」ということでお邪魔してきました。


主治医のところまではクルマで30分くらい。プラレール号の生みの親である主治医にお墨付きがもらえるとホッとします。忙しい合間をぬって、ありがたいやら申し訳ないやら・・・。


■個人的に「愛車のセカンドオピニオン」は反対



車検はA店、修理や普段のメンテナンスはB店といった具合に、オーナーによっては複数の主治医を使い分ける人がいます。あるいは、A店の整備が不安だからB店に。またはその逆など「愛車のセカンドオピニオン」を行うオーナーさんもいます。


ただ、個人的には「愛車のセカンドオピニオン」は反対です。その理由として、特殊なクルマであればあるほど、メンテナンスする人によって方法が異なります。それぞれの主治医が、これまでのノウハウを活かして「この方法がベスト」と判断して作業するわけです。それなのに、オーナーが不信感を持ってどうすんだということです。


事実、セカンドオピニオンは双方の主治医にとって迷惑なハナシです。エンジンや足回りなど「セカンドオピニオン先」の主治医がどういじったのかを理解するところからはじまり、自分なりにokかNGかの判断を下します。謎解きが終わり、ここからようやく自分なりの方法でメンテナンスを行います。その「謎解き」の時間も馬鹿にならないのです。


「愛車のセカンドオピニオン」の目的には、費用を抑えたいとか、主治医が得意分野(と思われる作業領域)に振り分けているとか、理由はさまざまです。多くの場合、双方の主治医が「めんどくさいなー」あるいは「信用してもらえていないのかなー」と思っている確率が高いです。


どちらかに決めるか、まったく別の主治医に変えるか、いずれにしてもどこかのタイミングでリセットした方がいいと思います。ただし、主治医同士の「横のつながり」がある場合も考えられるので、オーナーの行動は想像以上に筒抜けである可能性が高いです。それだけかなり慎重な行動が求められます。


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■「主治医がいなくなる=愛車との別れ」は同義かもしれない



筆者の親しいクルマ好きの方がいます。仮にAさんとします。クラシックカーから現代のクルマまで複数の愛車を所有し、そのうちの数台を1人の主治医に託していました。ところが、あるとき主治医の方が不慮の事故で急逝してしまったのです。


主治医のメンテナンスに全幅の信頼を置いていたAさん。突然のできごとに大きなショックを受けるとともに、突然、「愛車のメンテナンスは今後どうすればいいのか?」という問題に直面することとなりました。


愛車のなかには特殊なモデルも含まれており、ツテをたどったとしても新しい主治医を見つけるのはかなり困難だった模様です。


悩んだすえ、愛車を手放すことにしたそうです。絶妙なバランスで仕上げてきた愛車を手放すことになったAさんの心情は察するにあまりあります。


「簡単に諦めず、他の主治医を探せばいいじゃん」という人がいるかもしれません。現代のクルマのように、コンピューターで管理できるとしたらそれでいいかもしれません。しかし、古いクルマは基本的にアナログ。電子とは無縁のクルマばかりです。今回、Aさんが手放した愛車もそんな1台。「好きだから、別れる」決断をしたのです。


このとき気づいたのです。「主治医がいなくなる=愛車との別れ」は同義かもしれないということを。起こってほしくないし、ましてや考えたくもないけれど、いざ自分に起こったときにどうするのか・・・。すぐには答えが出ませんでした。そしていまだに答えは出ていなかったので思考を集中させて考えてみました。少なくとも、やはり手放すという選択肢はあり得ない、これがたったいま出た答えです。


[ライター・撮影/松村透(株式会社キズナノート)]

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