更新2025.02.28
プラレール号の記録簿 vol.10:旧車におけるマストといえば・・・駐車場でしょ(その1)
松村 透
旧車およびネオクラシックカーを所有するにはさまざまな制約や難題と向き合う必要があります。挙げればキリがありません。
そのなかで避けて通れないのが「屋根付き駐車場」問題。それはプラレール号とて例外ではありませんでした。
■プラレール号とて避けて通れない「屋根付き駐車場」問題
初代プラレール号を所有していたとき(実はいまの愛車プラレール号2世なのです)、勢いだけで購入してしまったので、置き場所のことをあまり考えていなかったのです。青空駐車にボディカバーを被せて駐車していると・・・。夏場は湿気がこもります。問題は雨が降ったとき。やんだあとにボディカバーをはがしてみると、塗装に細かなクラックが。これが日に日に広がっていったのです。確実に朽ちていく初代プラレール号を見るのが辛い日々でしたが、維持するのが精一杯で屋根付きの駐車場なんて夢のまた夢。
結局、所有すること自体がストレスになってしまい、短期間で手放すこととなったのです。自分の未熟さゆえに初代プラレール号が痛んでしまった・・・。同じテツは2度と踏むまい。このとき固く心に誓ったことはいうまでもありません。
■とはいえ、プラレール号を契約したとき、駐車場は白紙状態でした
実はプラレール号を契約したときはドンガラ状態で、完成時期も未定。乗れるようになるまで年単位で掛かることは確実といった状況(実際にそうなりました)。そこで、当時の自宅駐車場(※青空駐車)で車庫証明を取り、完成が近づいてからカーポートを追加するなり、別の場所を探せばいいやとのんびり考えていたわけです。
ただし、当時住んでいた自宅はいわゆる「旗竿地」であり、クルマが駐車できるスペース(2.5メートル分)しか道路に面していない立地。自宅駐車場に停められるクルマは縦に2台分。せめて1台分のアコーディオンガレージを作れないかと試してみましたが、2.5メートルでは幅が狭すぎて設置するできず断念。かといって母屋を壊してガレージを増築するのも立地上不可。どうしても自宅駐車場にプラレール号を停めたいのであれば、片側支持のカーポート+ボディカバーが限度ということが明確になってきました。
■破格値で借りられる屋根付き駐車場を発見
プラレールを手に入れた2012年頃といえば、今ほど賃貸ガレージハウスが普及していなかった時代。見つけたとしても家賃は10万円を軽くオーバー(現在もそうですね)。駐車場として考えるとこれはさすがに非現実的ということで却下。そこで自宅近隣でシャッター付きのガレージを探すと、月に3万円前後の物件がほとんど。しかも数が少ない。この3万円という賃料、東京都内23区であればこれくらいの駐車場代でも驚かないと思いますが、青空駐車なら1万円以下の物件もゴロゴロあるような郊外ではかなり贅沢な部類に入ります。クルマに興味がない人からすれば理解不可能な出費です(趣味の世界なんてそんなもんですね)。
そんなある日、友人が月に1万円で屋根付きのガレージであることはもちろん、セキュリティも完璧という物件を見つけたからどう?との連絡が。ただし、場所は神奈川県内某所にある倉庫街の一角。実際に現地に行ってみると、たしかに雨風対策やセキュリティ面ではこれ以上ないくらいの好条件。何しろ某企業の巨大倉庫の一角なので、開いているときは常に守衛さんがいて、出入りもセキュリティチェックがあるような環境です。ただし、クルマの出し入れは午前9時〜午後5時まで。しかも住まいからは2時間以上。気軽に行ける距離と時間ではありませんが、コンディション維持を優先。プラレール号が完成したらここに駐車させてもらうことで話がまとまり掛けたのですが・・・。
■いよいよプラレール号が完成。ふたたび駐車場問題に直面
いよいよプラレール号が完成間近・・・というタイミングで、神奈川の屋根付きガレージの営業終了が決定したとの知らせが。結局、ここには1度も入庫しないままクローズとなってしまったのです。それでも何度か足を運んでいたこともあって、管理人の方とはいまでも連絡を取り合う関係にあります。ガレージの奥にはとんでもないクルマが潜んでいて、パレットを操作して目の前に持ってきてくださったこともありました。借りることは叶わなかったけれど、人のつながりができたことは大きな収穫だったといえます。
そしてプラレール号の置き場所問題。予算と立地が折り合うような場所がなかなか見つからず・・・。そうこうしているうちにプラレール号が完成し、いよいよ置き場所の確保が喫緊の課題となってしまったのです。これはまずい。しかし、結局希望する条件で駐車場は見つからず。そこでやむを得ず、プラレール号の完成後は主治医のところにそのまま居候させてもらうこととなったのです。しかも、タダで。ありがたいやら申し訳ないやら・・・。
■清水ダイブでビルトインガレージの家を建てるという暴挙に
実は、プラレール号が完成した年に、ほぼ同じタイミングで結婚して子どもが産まれるといったライフステージに大きな変化があり、当時住んでいた自宅が手狭になっていました。幸い、結婚する前にプラレール号を所有していたこともあり、クルマには1ミリも興味がない妻も「古いクルマだからそれなりに気を使う必要がある」ことに理解を示してくれたのです。これはチャンスとばかりにある提案をしてみました。「ビルトインガレージ付きの家にしない?」と。
「アンタなにいってんのよ」といわれるかと思いきや、それまで住んでいた家がそこそこ古く、季節によっては日当たりが悪いこともあり・・・。意外にもokが出ました。ここで一挙に夢の「ビルトインガレージ付きの家」が手に入る・・・かと思いきや、現実はそう甘くありません。何より筆者は当時フリーランス。いわゆる個人事業主です。この現実が重くのし掛かってきたのです・・・(つづく)。
[画像・Adobe Stock・ライター・撮影/松村透(株式会社キズナノート)]