ライフスタイル
更新2020.08.21
愛車の主治医を差し置いて、セカンドオピニオンは必要か否か
松村 透
それぞれの専門分野(点検整備全般、コーティング、セキュリティ…等々)の方々にお会いした際、雑談のときに話しを伺ってみたところ、総じて「自分のことを信頼してほしい」と語っていたことが印象でした。それくらい、正直ベースで伝えていることが信じてもらえないケースが増えているのだとか。良心的なショップだけでなく、なかにはいい加減な対応をしてくるところも正直あるでしょう。そこでオーナー氏が、以前から気になっている他のショップなどに「セカンドオピニオン的に」クルマを預けることになります。こういう情報って、狭い世界だけに、不思議と耳に入ってくるのだそうです。
果たして、愛車の主治医を差し置いて、セカンドオピニオンは必要なのでしょうか?※いろいろな事情や考え方があるので、一概にはいえないことを前提のうえで…です
セカンドオピニオン的に、主治医以外のところで相談をする
オーナーの大切な愛車を預かるショップの側からすると、決して持ち主を騙すようなことはしないし、メンテナンスに掛けられる予算に限度があることも充分に分かっている。そのなかでベストな提案をしているつもりなので、本当に信頼してほしいと。それでも信頼してもらえないとしたら…。
普段はぶっきらぼうだったり、言葉少なでも、心のなかでは案外(実はかなり)傷つくそうです。腕や技術の前に、一人の人間です。職人気質の方であれば、自分の知識や技術に自信を持っていることも少なくないので、なおさらです。
複数の主治医を掛け持ちする
例えば、車検はここのショップに。通常のメンテナンスはこちらのショップに…といった具合に、用途や予算に応じて、主治医を使い分ける方もいるそうです。コンディション維持という「目的」は同じであっても、メンテナンスの仕方や考え方などの「手段」が異なることもあるため、やむを得ず想定外な請求をすることになったり、クルマそのもののコンディションを把握できなくなったりと、このケースではあまりよい結果にならないようです。
いくつもの主治医をハシゴする
もっともよくないケースがこれで、クルマを預ける先々でクレームをつけたり、トラブルを起こしたりを繰り返すパターンです。オーナー自身が思っている以上に狭い世界であることも少なくありません。仮に要注意人物というレッテルを張られてしまったら、それこそ面倒を見てくれる主治医がいなくなってしまうことも…。
オーナーと主治医。それぞれの相性もある
オーナーと主治医、双方の我が強い(笑)キャラクターの場合、ウマが合えば最高ですが、一歩間違えれば水と油という関係にもなりかねません。こういう場合は、仲間に主治医を紹介してもらうパターンがいちばんスムーズではないかと考えます。
実は筆者も、ある主治医にお願いしていることがあり、年単位で待っている状況です。その状況を多少なりとも知っている周囲の友人や知人が、心配して声を掛けてくれます。
もちろん、1日でも早く完成してほしい気持ちは正直あります。そこで、こちらが感情的になって急かしたとしても、決してよい結果にならないことは(数々の失敗から)学んでいるつもりです。「果報は寝て待て」くらいの心境でいます。これは結果論ですが、その主治医の方と話す機会が何度もあり、日々の生活や情報収集では決して得られない貴重なノウハウを教えていただきました。その時間は、筆者にとってプライスレスな体験だと思っています。
これほどインターネットが普及しても、確かな情報を得る手段として口コミは有効でないかと考えます。オーナーと主治医のウマが合うのであれば、仮にモヤモヤしていることがあるとしたら、腹を割って話してみるのもいいかもしれません。そこからさらに信頼関係が深まる可能性(もちろんその逆のケースもありますが)を秘めていると思うのです。
[ライター/江上透]