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ドイツ現地レポ

更新2019.08.29

張り紙をして路上に「展示」?ドイツでのクルマの個人売買、その意外な方法とは

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守屋 健

みなさんが中古車を探すとき、最初に何を見ますか?インターネットの中古車情報サイト、雑誌、それとも中古車販売店の店頭でしょうか?日本ではこの3つの方法が一般的だと思いますが、ドイツにおいては日本では見られない、もう一つの方法があります。今回は「ドイツのクルマの個人売買、その意外な方法」について、紹介していきます!

意外なほどアナログな国、ドイツ




筆者の住むドイツの首都ベルリンは、海外旅行に慣れた人ほど驚く、ひとつの大きな特徴があります。それは、「クレジットカード不可、現金のみ」という店が非常に多い、ということ。スウェーデンやフィンランドといった、「クレジットカード決済しかできない店が多い」という国とは対照的に、ベルリンは現在でも「カードお断り」の店が幅を利かせていて、手持ちの現金がないとかなり不便な街となっているのです。

カード決済以外にも、ドイツに住んでいて「えっ?みんなここをこんなに活用するの?」と驚いたのが、スーパーマーケットにある掲示板。「数学の家庭教師を探しています」「中古のピアノ、売ります」「当方ベビーシッターの経験あり。時間の都合はそちらに合わせます」「引っ越しをするので不用品が大量に出ます、詳しくは電話ください」「安い自転車探しています。古くても乗れば問題ありません」「土曜日の夜に合唱を楽しみませんか?」などなど、地元の人々が所狭しと手書きのメモを貼り、しかも活発に連絡を取り合っている様子が伺えます。ドイツはヨーロッパを代表する先進国でありながら、こうしたアナログな一面も併せ持っているのです。

ドイツでも、もちろん中古車情報サイトや中古車雑誌はありますし、さらに言えば「中古車の個人売買専門サイト」もあるくらいなのですが、先ほどの「スーパーマーケットの掲示板」の延長で、クルマの個人売買が「張り紙をしたクルマを、地元の路上にそのまま置いておく」という、極めてアナログな方法でも行われています。

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かなり強気な値段設定?




ガソリンスタンドにやってきました。ガソリンスタンドの前の公道は、特に駐車禁止ではなく、クルマを置いていても問題ない道路です。ここに何台かクルマが置かれていますが、なんとこれらは全て「個人売買で売りたいクルマ」!さっそく張り紙を見ていきましょう。





ブラックが精悍な2000年式BMW・320Ci。3オーナー、革内装、エアコン、冬タイヤ、車検は2021年7月まで、走行距離12万2,000キロで7,000ユーロ(約83万円)、と書かれています。かなり走行距離が伸びていますが強気の値段。張り紙には個人名は書かれておらず、電話番号のみが書かれています。





1999年式フォード・フォーカス1.6。オールシーズンタイヤ、自転車スタンド、2オーナー、エアコン、車検は2020年9月まで、走行距離4万2,700キロで2,200ユーロ(約26万円)。年式が古いわりには、走行距離はあまり伸びていませんね。





2010年式ルノー・クリオ。日本名は「ルーテシア」で知られていますね。フロントシートヒーター、レザーステアリング、チャイルドシート、エアコン、アルミホイール、冬用タイヤなどが書かれていて、走行距離9万キロで3,950ユーロ(約47万円)。





最後の1台は、2007年式ボルボ・XC90。7人乗り、185psのディーゼル、ナビ、レザーステアリング、オールシーズンタイヤ、走行距離10万3,000キロで9,900ユーロ(約117万円)と、こちらもかなり強気な値段設定です。「頼りになる無事故のセカンドカーで、2007年からのワンオーナー車。もっぱら旅行用のクルマとして使用。整備記録簿あり。冷やかしお断り」などと書いてあります。

ドイツならではの、ユニークな「個人売買の展示方法」



張り紙をしたクルマは、ずっとここに置いてあるわけではなく、現オーナーが必要な時は運転している様子で、街中では「売ります」の張り紙を付けたまま走っているクルマを見かけることも。また、こうした個人売買のクルマは、幹線道路沿いのガソリンスタンド前に置かれている場合が多く、少しでも人目に付きやすい場所に「展示」しておこう、という現オーナーの思いが伺えます。ガソリンスタンドにガソリンを入れに来た家族連れが、こうしたクルマを前に相談する、というのも一般的に見られる光景です。

残念ながら、日本では駐車が自由にできて、かつ人目に付く場所や道路がほとんど存在しないため、全く同じ方法でクルマの個人売買を行うのは現実的ではありません。また、知らない人同士が気軽に電話で連絡を取り合って物を売買するという文化自体が日本にはあまりないため、そういった意味でもドイツならではの、非常にユニークな個人売買のやり方といえるでしょう。

[ライター・カメラ/守屋健]

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