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更新2019.03.14
平成の終わりに昭和のクルマを愛でる幸せ。ノスタルジック2デイズ 2019 イベントレポート
松村 透
▲開場前から入口には長い行列が。会場内に足を踏み入れてみると、大勢のギャラリーでごった返していました
今年で11回目の開催となり、旧車好き・クルマ好きのあいだでもすっかり定着した感のあるノスタルジック2デイズ。週末の横浜みなとみらいの街中に轟く旧車サウンドを聴くたび「今年もこの時期が来たんだなー」と気分も盛りあがります。
ノスタルジック2デイズ 2019:日本車編
年々勢いが増しつつある国産旧車の人気。平成から新元号へと変わっても、その勢いは衰えないのでしょうか…。今年も、会場内に所狭しと貴重なクルマが並べられていました。なかには注目度が増したことで「いつの間にこんな価格になったんだろう」と驚いてしまうような個体も。そして、外国人のギャラリーが増えたことも印象的でした。「定年退職後に、若いときに憧れたクルマを買おう」と考えていらっしゃる方、ここ数年の動向にを要チェックです。場合によっては時期を早めた方がいいかもしれません(その際、欲しいと思っているクルマのオーナーさんに直接コンタクトを取り、動向を教えてもらった方がよさそうです。よほど失礼な対応をしない限り、喜んで情報を教えてくれるはずですから)。
▲トヨタ2000GTが放つ威光は、新元号になっても衰えを知らないでしょう
▲貴重なハンドメイドのいすゞ117クーペ。ハンドメイド・前期・後期で顔つきや全体の雰囲気が異なる点を見分けるのも楽しいものです
▲旧車とくくるべきか…。AE86こと「ハチロク」も、まだまだ現役のクルマのオーラを放っています
▲日産フェアレディZ(S30型)の人気も衰え知らず。それどころか、販売価格の上昇が著しいモデルのひとつです
▲愛知県のRX-7専門店「トータルセブン」ブースで展示されていた、マツダ サバンナRX-7(FC3S)。しかも限定モデルのアンフィニ。さらにこの個体は、カタログ非掲載色として販売された幻のホワイト。いまや超がつくほど貴重な個体をレストアしたそう。もはや文化財の域です
▲この種のイベントには欠かせない存在であるハコスカ&ケンメリGT-R。今後も海外への流出が懸念される2台だけに、資力のあるオーナーさんに維持していただきたいものです
▲スカイライン専門店としてすっかりお馴染み。岐阜県にある「R31 HOUSE」。何十年もの時間を費やし、自社で部品を製作。オーナーとその予備軍にとって、これほどありがたいことはないはず。まさにセーフティーネットであり、駆け込み寺だ
▲こちらも貴重な存在となりつつあるトヨタ ソアラ(z20)。しかも最上級モデルの3000GT リミテッド!
▲レパード専門店「カーショップフレンド」。今年もたくさんのレパードを展示。同店がこのクルマにとってのセーフティーネットになっているようですね…
▲NA1と思いきや、こちらはNA2。NSX TypeSです。しかも、珍しいパールホワイト。販売車両でした(車両本体価格は1500万円とのこと)
▲スバル アルシオーネ SVXをはじめ、さまざまな名車の専門店でもある「K・STAFF」。埼玉県川越市に店舗があるので、小江戸川越を訪れた際にはぜひ立ち寄ってみては?
ノスタルジック2デイズ 2019:輸入車編
興味の対象は日本車がメインで、輸入車はあまり…という方にとっても、ノスタルジック2デイズでは珍しいクルマを間近で観ることができます。なかには世界で1台しか存在しないような貴重なモデルから、往年名車まで。通常、この種のクルマがイベントに展示されていても、柵で囲われていることが多いのです。しかし、このイベントでは、触れられるほど近い距離で観ることができます(もちろん、触れることはNGですが…)。
ノスタルジック2デイズ 2019における日本車と輸入車の比率は8:2といったところでしょうか。ギャラリーも日本車好きが多いのか、輸入車のエリアは比較的空いていた印象。その分、ディープな方を惹きつけるようで、あちこちでマニアックな会話が聴こえてきました。実は、古い輸入車の方が部品が手に入りやすいこともしばしば(もちろんクルマにも因りますが…)。「古いクルマに乗ってみたいんだけれど、どれを選んだらよいか分からない」という方、日本車だけでなく、輸入車にも射程圏内に入れてみると思わぬ出会いがあるかもしれません。*いずれにしても、信頼できる主治医の存在が不可欠ではありますが…。
▲神奈川県にある「ヴィンテージ湘南」の販売車両であるメルセデス・ベンツEクラス(W124)。根強い人気を誇る1台だけに、どのタイミングで決断するか悩みますね…
▲今年はベントレー100周年ということで、「ワクイミュージアム」がノスタルジック2デイズに初出展。貴重なベントレーが間近で観られるとあって、多くのギャラリーの注目を集めていました
▲こちらもいまや懐かしささえ感じるフェラーリ308GTS。黒いボディカラーも似合います
▲こちらは岡山の「OLD BOY」が展示していたディーノ246GTS。ショールームには他にも複数のディーノがある模様
▲「OLD BOY」は、他にもレストアされた「ナローポルシェ」を2台展示していました。これほどきれいな個体を間近で観られる機会はなかなかありません
▲他にもさまざまな輸入車が。ジャガーもありましたが、全体的にはドイツ車が多かったように思います
▲特別展示車両として注目されていたレーザー&ミザール。いずれも世界に1台しか存在しない貴重なクルマ。しかも2台並べて展示するのは世界初(!)とのことだ
ノスタルジック2デイズ 2019:盛り上がりに期待したい!部品編
旧車・絶版車の生命線ともいえる部品の供給。しかし、多くの旧車乗りが「欠品」「廃盤」といった壁にぶち当たります。最近でこそスカイラインGT-Rやユーノスロードスターの部品再生産のアナウンスがありましたが、これはまだまだ特殊なケース。かといってエンドユーザーが自ら造るには難しい部品も数多くあります。特にゴム類などは、実車に装着していれば劣化が進みますし、長期保存していても劣化していくもの。民間の企業のお陰で再生産されるモデルもちらほら…。ユーザーとしては何ともありがたい話しだけに、今後の動向に注目です。
▲埼玉県所沢市にある「THサービス」は、トヨタ セリカ リフトバックの製造廃止部品のリプロダクション品を販売。その他、各種トヨタ車の部品販売も行っているのだとか
▲会場内には、じっくり見れば見るほど掘り出しモノや貴重な一品が見つかる。迷っていたら他に誰かが買ってしまうぞ!
ノスタルジック2デイズ 2019:自動車メーカー編
今年はメーカーとして出展していたのはマツダとトヨタ MEGA WEB。特にマツダは、昨年同様、ユーノスロードスターのレストアプロジェクトをしっかりアピールしてきました。さまざまな考えがあると思いますが、日本車メーカーでいちばん旧車・絶版車オーナーとの距離が近いのがマツダではないかと思います。レストアの費用や条件などで賛否があるようですが、まずはメーカーが過去のクルマに目を向け、再生していこうと舵を切ったことを賞賛してもいいはず。誤解を恐れずにいえば、「一定の条件を満たし、相応の待ち時間とお金を払えば、限りなく新車に近いユーノスロードスターが手に入る」時代が再び訪れたのですから…。
▲展示車両は直接触れられるだけでなく、シートに座ることもできた。当時の記憶が甦ってきた人も多かったはず。マツダの粋な計らいともいえる
ノスタルジック2デイズ 2019:展示・販売ブース編
ノスタルジック2デイズの名物ともいえる展示・販売ブースコーナー。カタログやミニカー、カー用品、ファッション、雑貨等々。ありとあらゆるグッズが展示・販売されている一角。筆者も、毎年とても楽しみにしています。この一角に来ると仕事を忘れそうになるので、筆者にとってもキケン地帯(?)であります。来年訪れる方は覚悟してください(笑)。過去4年間はどんなに欲しいモノがあってもぐっと堪え(衝動買いしないよう、現金もいつも以上に少なめ、カードも持参しないようにしています)ていたのですが、MINICHAMPS製の1/43 ポルシェ959(黒)が2000円と破格だったため、迷いに迷って購入してしまいました…。確か、このミニカーは保有していたはずですが、これは「閲覧用」ということで仕事部屋に置いています。
▲展示・販売ブースコーナーはご覧のとおり。そういえば、中込氏や山本氏をはじめ、CL CARS執筆陣が会場内にいたはずなのに、今年は会えず…
▲2000円(しかも税込み!)という破格値に惹かれて衝動買いしてしまったポルシェ959。確か、家の押し入れにあったような…
ノスタルジック2デイズ 2019:まとめ編
平成最後の開催となったノスタルジック2デイズ 2019。まもなく、31年間続いた平成が終わりを告げようとしているのに、それより前の時代に造られたクルマを愛でるイベント。しかも、年々盛りあがっている…。取材中、ふと冷静になって立ち止まると、不思議な光景のように思えてきました。
小さい頃に見た絵本では、21世紀にはクルマが空を飛び、ロボットが歩いていました。ところが実際に21世紀が訪れてみると、キャブレターの音が支持されたり、いまだにSL(蒸気機関車)が全国各地で走っていたり…。実物大のガンダムがお台場に立ちましたが、歩くことはできません。かつてはノイズが一切混じらないCDのデジタル音源に感動したものですが、最近では「アナログレコードの音」が再認識されているようです。今後、ますます電気自動車や自動運転機能を備えたクルマが普及していくものと思われますが、よほどの法改正がない限り「パワーウインドウ、パワステ、エアコンなし、3ペダルMT車」が息絶えることはないように思えてきますし、またそうであって欲しいものです。
新元号に変わってからは初めての開催となる来年のノスタルジック2デイズ 2020は、2020年2月22日(土)23日(日)とのことです。いまからスケジュールを押さえておきましょう!
[ライター・撮影/江上透]