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ドイツ現地レポ

更新2021.10.28

歴史と過去へのリスペクト。ドイツのクラシックカークラブ「ノルトヴァール・クラシックガレージ」訪問記

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守屋 健

みなさん、こんにちは!今回のドイツ現地レポは、前回に引き続きスチューデントさんの案内で、ドイツのクラシックカークラブ「ノルトヴァール・クラシックガレージ」を訪問した様子をレポートします。コロナ禍でクラブ活動が思うように進まない中、快く取材に応じていただきました。


その規模の大きなこと!活動場所として使用しているホールにも長い歴史があり、古くからあるものを大切にする文化が根付いているのだな、と改めて感じました。


代表者の方の貴重なインタビューもあります。ぜひ最後までご覧ください。


■もともとはプロイセン王国時代に建てられた軍事施設!



▲ノルトヴァール・クラシックガレージの外観

今回訪れたのは、ザクセン・アーンハルト州シュテンダールにある「ノルトヴァール・クラシックガレージ」です。オールドタイマー、ヤングタイマーの愛好家を対象としたVerein(フェアアイン、ドイツ語で協会・クラブ・団体の意味)で、650平方メートルもの大きなホールを所有し、ホールを利用したさまざまなミーティングや懇親会、各種イベントを開催しています。



▲スチューデントさんとトレスケンさん。これでもクルマは少ない方とのこと

ホールの横の部分には、2輪車を中心に収納しているスペースや、参考文献が数多く集められている部屋もありました。将来的にはこうした場所を利用して、若い世代がクラブメンバーの指導のもと車両を修復するワークショップなどを開催する予定だそうです。


ちなみに、クラブ員の多くは暖かく天気の良い季節にしかクラシックカーを運転しない人が多く、すでに晩秋となった今は完全なオフシーズン。多くのクルマはすでに「それぞれのオーナーの自宅に戻っている」とのことでしたが、それでもホールには貴重なクルマたちがいくつか残っていました。



▲貴重な二輪車の数々

レンガ造りの巨大なホールは、1800年代後半、まだプロイセン王国だったころから使用されている建物で、当初は軍事施設だったそうです。1904年に市の持ち物になり、2008年まではスポーツ用のホールとして使われていました。その後、2012年からこのクラブが運営することになり、来年2022年には設立から10周年を迎えるそうです。



▲11メートルものタイル画。その前にたたずむのはフランスの名車・サルムソン!

壁に掲げられた印象的な横幅11メートルもの大きなタイル画は、1975年に550枚ものタイルを使用して作られたものです。こちらはもともと別の場所に掲げられていたのを移してきたもの。もとの建物が取り壊さることになったときに、有志の方が無傷ですべて回収し、2013年にこちらに復元したそうです。どの部分を見ても、深い歴史と過去へのリスペクトを感じられるものばかりですね。


外車王バナー外車王バナー旧車王バナー旧車王バナー

■クラブの代表者にインタビュー


ここからは、クラブの代表であるミヒャエル・トレスケンさんへのインタビューをお届けします。ファーストネームの「ミヒャエル」は、前回インタビューしたスチューデントさんと偶然にも一致!



▲ミーティングに使われるスペースの上には…


▲クルマのフレームが!

――クラブ設立のきっかけはなんですか?
「オールドタイマー仲間が増えたことと、このホールが使えるようになったからですね。オールドタイマー仲間には、自宅に十分な大きさのガレージが持てない人もいるので、大きなスペースが使えるというのは魅力でした」


――普段はどのような活動を行っていますか?
「クルマの収集や修復、ADAC(ドイツ自動車連盟。日本のJAFに相当する組織)主催のイベントへの参加…それから、シュテンダールでのクラシックカーミーティングや、ラリーイベントの企画・開催なども行っています。ラリーイベントは大きな楽しみのひとつですね。テーマを決めて…例えば『ビスマルクゆかりの地を巡る』などのラリー企画を行っています」



▲トレスケンさんの愛車、1934年製オペル・1.3リッター

――トレスケンさんの愛車を教えてください
「1934年製のオペル・1.3リッター、タイプ1937です。可能な限りオリジナル状態を維持していて、特に内装はほぼ当時の状態を残しています。この個体は第2次世界大戦前の雰囲気をよく残しているので、映画の撮影に使われたこともあるのですよ」



▲オリジナル状態を残すインテリア。エンジンは快調そのもの

――クラブ会員の年齢層や職業を教えてください
「40代から80代くらいでしょうか。職業は本当に様々で、手工業者、各種職人、地下工事業者の方、もちろんサラリーマンの方もいます。でも皆さん、自分で直すのが好きなので、クルマも半分くらい壊れているものを買って、半分は自分で修理する、という人が多い印象ですね」



▲参考文献が集められた部屋。ほとんどが寄付で集まったとのこと!

――参加資格はありますか?
「特にありませんが、念のため最初の一年間の試用期間としています。また、入会金と月々の会費をお願いしていますね(入会金は100ユーロ、月の会費は25ユーロ)」



▲エンジンのカットモデルも自作!子どもたちとのワークショップで大活躍

――コロナ禍で困ったことはありますか?
「みんなで気楽に集まれなくなったのは本当に困りました。また、建物やクルマの管理も大変で…。最近は感染者数が減ってきたので、また以前のようにイベント等が楽しめるようになったら、と思っています」



▲ホールの隅っこにメッサーシュミットがぽつんと。給油機もいい雰囲気

――ドイツのクラシックカーで人気のあるモデルはなんですか?
「フォルクスワーゲンのケーファー(ドイツ語でカブトムシの意味。いわゆるタイプ1のこと)ですね。Hナンバー登録車数がドイツ国内でもっとも多い車種です。二輪車で言えばジムソン(Simson)でしょうか。このクラブでも乗っている人が多いです」



▲意外なほど窓が大きく、ホールには光が多く差し込みます

――これからクラシックカーに乗ってみたいと思っている人におすすめのモデルはありますか?
「トラバントと、やはりVWのケーファー(タイプ1)ですね。トラバントは構造が単純なのがいいところですね。ケーファーは値段もそんなに高くなく、部品も簡単に手に入ります。ケーファーを修理できる工場はたくさんありますし、また愛好家も多いので、困ったときにお互いに助け合うことができます。はじめてのクラシックカーとしておすすめですね」


■取材を終えて



▲代表者のトレスケンさん

ホールをていねいに案内しながら、たくさんの興味深い話を聞かせてくださったトレスケンさん。彼の愛車のオペルはとにかく抜群のコンディションで、エンジンも一発で始動、その後も非常に静かにアイドリングしているのが印象的でした。


古いものに敬意を表し、かつ今の若い世代にも技術を受け継いでいこうという姿勢にとても感銘を受けた今回の取材。早くコロナ禍が収束して、以前のようなラリーイベントの開催や、気軽なミーティングができるように祈っています。トレスケンさん、スチューデントさん、貴重な機会をありがとうございました。それでは、また次回の記事でお会いしましょう!

●Nordwall Classic Garage e.V.公式サイト
https://www.nordwall-classic.de/


[ライター・カメラ/守屋健]

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