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試乗レポート

更新2023.11.22

最近は軽くなりすぎた?新しいメルセデス・ベンツ E200に試乗して分かったこと

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中込 健太郎

先日、現行モデル最新のE200と時間を共にすることがありました。六本木のメルセデス・ベンツコネクションで試乗車に入ったその日に一回りはさせていただいたことはありましたが、やはりメルセデス・ベンツだと思わせられるのは、インパルスで感じる感動ばかりではないのです。ジワリとしばらく経ってから心に来るものがあるものです。今日はそんなことについて書いておきたいと思います。



ふと思った夫婦の会話と関係


唐突ですが、これは私にとって憶測の域を出ない、そこはとても弱いところだということは自分でもわかっています。ともかく、この「夫婦の会話」というもの。もちろんあることの隠語的ないい方としてそう表現することもあるのでしょうが、そうでなくともご夫婦間のコミュニケーション。上手く行っているご夫婦はここが滞りなく円滑だとされます。しかし果たしてそうでしょうか?テレビか何かでそんなことを話題にしていることがあったのでしょうか?そんなやり取りを聞いて、聞かれた人が「ええうまくいっています。」と答えたものの、テレビに出る人は表向き上手く行っていても途中でダメになってしまうことも少なくないよなあ、などと野次馬根性でそんなことが思い起こされたことがありました。



ただ、この「夫婦の会話」ご夫婦仲がよく、素敵だなあと思うご夫婦、上手くいっている(とお見受けする)ご夫婦の多くが「お互い物静か」であるように感じられることが多いと思ったのです。だから大切である、それこそが大切だ、とされるその「夫婦の会話」というもの、実態はなく、そんなことではない、いうなれば「阿吽の呼吸」がかみ合っているご夫婦が上手く行っているのだろうなあ。そんなことに思いが至ったりしたものです。



で、さらに思いを巡らせていると、その言葉がない、言葉少なであることもまたある時に強烈な力になるだろうなあということも容易に想像がつきました。要は「愛している」みたいな日本人だとあまり生活の中で乱発することのない言葉、もしそれを口にすることがあったとすれば、その時の破壊力は相当なものではないでしょうか。いう方もそうそういい慣れた言葉ではありません。加減やタイミングがぎこちないかもしれません。やけに力んでいるかもしれません。いわれる方も、何より驚いてしまうことでしょう。いうよりは勇気は要らないかもしれませんが、それでも穴があったら入りたいというような気持ちになるかもしれません。

でもそのギクシャクや、突拍子のない感じを帯びているから、その言葉の字面が持つ意味以上に意味があることなのかもしれません。とりもなおさず、そんなやり取りが日常茶飯事では生活のやすらぎなどあったものではない。ですから通常はそんなことは「言うまでもない」「言わなくても分かっている」ということで言外の夫婦愛すなわち「言葉の要らない」間柄こそが夫婦なのかもしれない。そんなことをちょうどひと月半ほど前にちょっと考えることがありました。ちなみに、だから自分には細君を迎えても夫婦が続くイメージが全くわかないのもこの辺りが原因のような気がしたわけです。まあ、思ったことはできる限り伝えようとしてしまうし。そうすればするほど、会話はどんどん畳みかけるし繰り返すに違いありませんから。



で、なんでこの話をしたかというと、新しいEクラス、まさにこの普段「言葉など要らない」夫婦間に突如投下された歯の浮くような愛の言葉のようなところがあると思うのです。今までのメルセデス・ベンツ、愛情は常にあふれていたと思います。誰よりも強く抱き、やすらぎを与え、乗る人のストレスを最小限にとどめて誰よりも遠くまで行くことができる自動車。でもことさらアピールはしなかった。それを節度としていたのでしょうか、徳の高さとしていたのでしょうか。とにかく、寡黙であり、沈黙のうちに相手を守る。それがメルセデス・ベンツのやり方だったに違いありません。



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最近のメルセデス・ベンツは軽くなった?


最近のメルセデス・ベンツは軽くなっちゃった、と何か残念そうにする古くからの自動車愛好家、メルセデス・ベンツファンは少なくないでしょう。確かに軽やか。でもそれだけではないのが今どきのメルセデス・ベンツのように思うのです。先代モデルの頃からその軽やかさは印象的でした。しかし、それにまして今回のものは少し華やかに上質になった印象があります。

Sクラスに寄ったというか。Sクラスでもああは華はなかったですね、もともとは。今のSクラスはどこか華やかだったころのフランス車のイメージすら感じるのです。Eクラスもぐっと大きくなったボディ、よりカジュアルにデザインされた内外装もあいまって、ゆったりしている以上に、寄り添う感じが先代にもまして濃くなっているように感じます。



乗ってしまうと自然とレーンをキープ。もちろんはみ出しそうになれば、たちまちアラートが出ますし、街中を走るだけで最新のメルセデス・ベンツが持つ自動車としての愛を強く感じることができるでしょう。加えて大きな交差点である程度の速度を帯びたまま曲がった際のシュアな感じ、意図したところでピタッと止まることができるブレーキはすっと停止の直前に抜いてやることで、ドイツ車の頑迷なところはかなり影を潜め、国産高級車の方が柔らかいタッチである部分でも、もはや不満に感じることは少なくなっています。

昔からのキャラクターはそのまま進化している。そういってもいいでしょう。でも、「旧来のメルセデスが、寄り添っている。」これはやはり愛だと言ってもいいのではないか。そんな風に感じるのです。



もしお父様やパートナー、一家の主が新しいメルセデス・ベンツEクラスを買って来たら、それはその人の皆さんに対する愛だといっていいでしょう。普段は無口でも、皆さんの事を想っている証拠。昔ながらのメルセデス・ベンツが持っていた愛をもって、家族への愛情を示そうとしているのかもしれません。しかし、そのクルマでドライブに出かけたとき、もしかすると、え?これがメルセデス?そう思うかもしれません。

滑るように走ります。滑空と言ってもいいでしょう。そしてさらりと障害物を回避できます。もう5メートルまで10センチないほどにも大きいボディだとは思えない身軽さです。ヴェルディの歌劇リゴレットに有名なアリアがありますね。「La donna e mobile」風の中の羽のように女心は変わってしまうもの、とマントヴァ公が歌うこのアリア。まあオペラではよくあることですが「お前が言うな!」という内容のアリアですが、この歌が口をついて出てきます。とにかく軽やかなのです。

今までのメルセデスのように、操安性と、最高水準の安全性だけで愛情を表現していたのとはかなり違います。艶やかではないかもしれません。しかし晴れやかなのです。何?この感じ!メルセデスなのに心躍る感じは!もしかしたら困惑するかもしれません。2000ccエンジンは184馬力を発生。十分なパワーですが、それをシリアスにさせないのは優秀な9速ATの功労を労わないわけにはいかないでしょう。でも、メルセデスだから「安全だが鈍重な感じ(筆者に言わせればそれもラテンのクルマに対するかつてのメディアのブランディングに近い論調によるところが大きいとは思いますが。)」などというのはもはやいつの話かというレベルの軽やかさが魅力です。



次の10年の乗用車の方向性なのかもしれない


動かざること山のごとし、ではもはやない。次の10年の乗用車の方向性自体がもしかしたらこういう感じなのかもしれません。こんな歯の浮くようなセリフ、聞きたくない。そんな風に感じたら、それはやはり、メルセデス・ベンツに心を奪われてしまったということなのかもしれません。朴訥だとあなたが思っていた人に意外な一面があって括目したことがある。そんな経験はないでしょうか?新しいE200アヴァンギャルドに乗って何かそのようなことを感じたのです。是非皆さんも、まずはこの一番小さなガソリンエンジンからお試しを。

[ライター・画像/中込健太郎]

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