更新2023.06.17
意外?それとも納得?歴代ポルシェ911の中でもっとも人気のモデルとは
高岡 ケン
ポルシェといえば、真っ先に911を思い浮かぶ人も多いだろう。
50年以上にわたり、スポーツカーの歴史を牽引してきたクルマであり、これほどまでにファンを魅了し続けてきたクルマは他にはない。
多くのスポーツカーファンにとって、少なくとも人生で一度は所有、または運転することを夢見たことがあるのではないだろうか。
ポルシェ911は、1963年の誕生以来、8世代にわたって親しまれてきた。
今回はポルシェが誕生した国ドイツで、もっとも人気のある911はどのモデルか。またこれほど多くの人に愛される人気の理由とは何か?
ドイツにおいて現地調査を行ってみた。
■ポルシェ911の歴史
ポルシェ911は、もともとポルシェ356の後継車として開発されたモデルである。
1963年にフランクフルトIAAにてタイプ901として発表された。
しかし、901という名はすでにプジョーにて商標登録されていたため、1964年の市場導入の際に名称が911へと変更された。
当初のモデルは2リッターの空冷6気筒ボクサーエンジンを搭載し、最高出力は130馬力、最高時速は210km/hを発揮した。
初代911は発売当初から多くのファンを魅了した。
それから10年の時を経て、ポルシェのエンジニアは911を徹底的に見直した。
1973年には、当時の米国の最新衝突試験条件を満たす革新的な安全装備とハイパフォーマンスなエンジンスペック搭載した、いわゆる「Gモデル」が発表された。
Gモデルは他のどの世代の911よりも長く、1974年から1989年まで製造され、ロングセラーモデルとなった。
911の歴史における大きな転換点は1997年から2005年にかけて生産された996モデルであろう。
これまで空冷式のエンジンを採用してきた911にとって初となる水冷式ボクサーエンジンが搭載された。
2017年5月には911の総生産台数が100万台を突破し、記念すべき100万台目911はポルシェミュージアムに展示されている。
■販売台数から紐解く、ポルシェ911の人気モデル
911は1963年から現在に至るまで8世代のモデルが存在する。
・911オリジナル(1963年〜1973年)・・・81,032台
・911Gモデル(1974年〜1989年)・・・193,605台
・964(1989年〜1993年)・・・63,753台
・993(1993年〜1998年)・・・68,839台
・996(1998年〜2006年)・・・185,843台
・997(2004年〜2013年)・・・218,443台
・991(2013年〜2019年)・・・233,540台
・992(2018年〜生産中)
最新モデルの992は現在も新規生産中であり、今後の販売台数にも注目していきたい。
結果的にもっとも売れたポルシェ911は、2013年〜2019年にかけて生産された第7世代の991という結果になった。
■もっとも売れなかったモデルが価値がある?
上記の販売台数を見てのとおり、もっともも売れなかった911は第3世代の964となっている。
しかし、ヨーロッパ最大規模のカーコミュニティサイトにて非常興味深い記事を発見した。
「どのポルシェ911が最高ですか?」というアンケートを行った結果、964と答えた人が一番多かったのだ。
第2位に997、第3位に993という結果となっている。
ではなぜ売れなかったはずのモデルが現在では人気を博しているのか?
その理由は間違いなく、生産台数の少なさにあるだろう。
964や993といったモデルはそれぞれ6万台ほどしか生産されておらず、生産終了から30年近く経過している。
加えて空冷エンジンを搭載した最後のモデルとなるため、コレクターの間では非常に人気のモデルとなっている。
現在、状態良い964で市場に出回っている車両は非常に高価であり、その希少価値の高さから1000万円を超えている状況だ。
おそらくこれらのモデルは時が経つにつれ、ますます入手が困難になるため市場価値がさらに高くなることも考えられるだろう。
■まとめ
ポルシェ911の歴史が幕を開けて、現在60年が経過しようとしている。
半世紀以上にも及ぶ長い歴史の中で、これほどまでに愛され続けてきたスポーツカーが他にあるだろうか。
1963年の発売以来、その遺伝子、比類のないデザイン、リアのボクサーエンジンを8世代にも渡って保持してきた。
ポルシェ911がこれまで100万台以上も販売され、世界一のスポーツカーとなったのも不思議ではない。
つまり、60年の時が経とうとも、変わらないデザインが人気の秘訣ではないだろうか。
[撮影・ライター/高岡ケン]