ライフスタイル
更新2017.12.29
「いつか」は20年経っても訪れないが「さよなら」は明日やってくる
松村 透
先日、仕事のあとに居酒屋さんで久しぶりに飲んでいたときのことです。スーツをきちっと着こなした会社員風の男性2人が隣の席に座りました。年齢は30代前半くらいでしょうか。いまどきのオフィスカジュアルではなく、スーツです。割とかちっとした職業の方たちかもしれません。
双方ともテーブル席なので、それぞれの会話も何となく聞こえてきます。
こちらはクルマ好きの友人と飲んでいるので、当然ながら不毛(?)なクルマ談義をやっているわけです。隣の席の会話につられた経験ってありませんか?見事にこの会社員風の男性2人も、こちらの不毛トークにつられてクルマ談義をはじめました。
男性A「いつかはベンツ乗ってみたいよな」
男性B「いま、売れてるらしいよ」
男性A「BMWの方が世間受けはいいのかな」
男性B「欲しいの買えばいいんじゃない?」
会話の雰囲気(すみません。聞き耳を立ててしまいました)からすると、熱狂的なカーマニアではなさそうでした。飲み屋での他愛のない会話だと知りながら、「えーっとですね…」と、会話に参加したいのをぐっと堪え、友人との不毛な会話を続けました。
友人A「サマージャンボあたったら何買うの?」
江上「うーん、とりあえずディーノでも欲しいよね(あっさり)」
飲み屋での会話です。ご勘弁ください。「とりあえずビール」と「とりあえずディーノ」が一緒くたになっていますね。もし、筆者がディーノに乗っていたらサマージャンボ宝くじが当たったと思い、暖かい眼で見守ってください。
やがて、隣の男性会社員たちは会計を済ませて店を出て行きました。彼にはいつかベンツを買うときが訪れるでしょうか…。
以前「ポルシェ・ショック」で本当に人生が変わるのかという記事で書いたことがあるのですが、筆者がポルシェに触れるきっかけとなった地元の酒屋の社長さんの体調が思わしくなく、非常に厳しい状況にあります。
先日お会いしたときは、筆者が訪ねてきてテンションが上がったからと、久しぶりに愛車であるポルシェ911カレラS(997)のエンジンを掛けていました。体力的にクルマを動かすことができないため、ガレージのなかでタイヤの変形防止のために数メートル移動したのみ。それでも満足そうでした。社長さん自身が自覚しているかは分かりませんが、(ご家族の話だと)もしかしたら、これが愛車との最後の触れ合いになるかもしれません。
▲記事を書くための資料としてお借りしているポルシェのカタログ。いまとなってはかなり貴重
筆者も気づけばアラフォー世代。20年前に遡れば成人式のころだし、20年後を見据えれば還暦を過ぎています。
最近気づいたことがあります。
「いつか」は20年経っても訪れないが「さよなら」は明日やってくる。
前述の会社員風の方のように、いつかベンツに乗りたい。いつかベンツが欲しい‥では、その機会は永遠に訪れないような気がするのです。本当に欲しいクルマがあるとしたら、それが何とか手の届く範疇にあるとしたら…。何年、何十年掛かっても諦めずに気持ちを持ち続けてください。筆者にとって、もはやディーノは手の届く存在ではありません。こうやって諦めてしまうと、もう永遠に手が届かないように思うのです。
その反面、なぜか筆者の周りには、20代前半で太刀打ちできないくらいクルマ好きの若者がいます。そして「必ずスーパーカー買いますよ!」と宣言してくれます。「いつか」ではなく「必ず」といい切る熱量があるので、あらゆる努力を重ねて本当に手に入れてしまうような気がします。
そして、念願叶って欲しいクルマを手に入れることができても、明日突然乗れなくなる可能性だってあるのです。それは本当に突然やってきます。もし手元にしばらく動かしていないクルマがあったら、たまにはエンジンでも掛けて、近所を一回りでもしてみてください。
双方ともテーブル席なので、それぞれの会話も何となく聞こえてきます。
こちらはクルマ好きの友人と飲んでいるので、当然ながら不毛(?)なクルマ談義をやっているわけです。隣の席の会話につられた経験ってありませんか?見事にこの会社員風の男性2人も、こちらの不毛トークにつられてクルマ談義をはじめました。
男性A「いつかはベンツ乗ってみたいよな」
男性B「いま、売れてるらしいよ」
男性A「BMWの方が世間受けはいいのかな」
男性B「欲しいの買えばいいんじゃない?」
会話の雰囲気(すみません。聞き耳を立ててしまいました)からすると、熱狂的なカーマニアではなさそうでした。飲み屋での他愛のない会話だと知りながら、「えーっとですね…」と、会話に参加したいのをぐっと堪え、友人との不毛な会話を続けました。
友人A「サマージャンボあたったら何買うの?」
江上「うーん、とりあえずディーノでも欲しいよね(あっさり)」
飲み屋での会話です。ご勘弁ください。「とりあえずビール」と「とりあえずディーノ」が一緒くたになっていますね。もし、筆者がディーノに乗っていたらサマージャンボ宝くじが当たったと思い、暖かい眼で見守ってください。
やがて、隣の男性会社員たちは会計を済ませて店を出て行きました。彼にはいつかベンツを買うときが訪れるでしょうか…。
以前「ポルシェ・ショック」で本当に人生が変わるのかという記事で書いたことがあるのですが、筆者がポルシェに触れるきっかけとなった地元の酒屋の社長さんの体調が思わしくなく、非常に厳しい状況にあります。
先日お会いしたときは、筆者が訪ねてきてテンションが上がったからと、久しぶりに愛車であるポルシェ911カレラS(997)のエンジンを掛けていました。体力的にクルマを動かすことができないため、ガレージのなかでタイヤの変形防止のために数メートル移動したのみ。それでも満足そうでした。社長さん自身が自覚しているかは分かりませんが、(ご家族の話だと)もしかしたら、これが愛車との最後の触れ合いになるかもしれません。
▲記事を書くための資料としてお借りしているポルシェのカタログ。いまとなってはかなり貴重
筆者も気づけばアラフォー世代。20年前に遡れば成人式のころだし、20年後を見据えれば還暦を過ぎています。
最近気づいたことがあります。
「いつか」は20年経っても訪れないが「さよなら」は明日やってくる。
前述の会社員風の方のように、いつかベンツに乗りたい。いつかベンツが欲しい‥では、その機会は永遠に訪れないような気がするのです。本当に欲しいクルマがあるとしたら、それが何とか手の届く範疇にあるとしたら…。何年、何十年掛かっても諦めずに気持ちを持ち続けてください。筆者にとって、もはやディーノは手の届く存在ではありません。こうやって諦めてしまうと、もう永遠に手が届かないように思うのです。
その反面、なぜか筆者の周りには、20代前半で太刀打ちできないくらいクルマ好きの若者がいます。そして「必ずスーパーカー買いますよ!」と宣言してくれます。「いつか」ではなく「必ず」といい切る熱量があるので、あらゆる努力を重ねて本当に手に入れてしまうような気がします。
そして、念願叶って欲しいクルマを手に入れることができても、明日突然乗れなくなる可能性だってあるのです。それは本当に突然やってきます。もし手元にしばらく動かしていないクルマがあったら、たまにはエンジンでも掛けて、近所を一回りでもしてみてください。