
ライフスタイル
更新2017.07.12
実は紙一重?クルマが「大好き」と「マニア」の違いに悩む
松村 透
仕事と割り切れるのが「クルマ大好き」?

前述のライターさんとは別の方で、自動車メディアにおける最新のモデルやテクノロジーに精通していても、クラシックカーの事情や車名などはさっぱり分からないということを伺ったこともありました。あくまで仕事として割り切っているのでしょうか。それとも、いつの間にか仕事して割り切るようになってしまったのか…。
週末に開催されているようなクルマ関連のイベントに、プライベートで参加したことはないそうです。イベントはあくまで取材のみ。もちろん、エンドユーザーとの接点も皆無です。オンとオフの切り替えがはっきりしています。
逆に割り切れないのが「クルママニア」?

一方で、オフィシャルな取材やプレス発表会にも参加するし、プライベートでもクルマ趣味や仲間との交流を楽しんでいる。クルマが壊れたら自分で直して、ミニカーも集めるし、国内外のネットオークションでカタログ収集に余念がない…等々、筆者を含めて、カレントライフ執筆陣はこちらのタイプが多いように思います。
単にメーカーの公表したものではなく、足で稼いだ生の情報を記事にしているように感じます。何より、クルマ愛があるかも…。そんな風に思います。その反面、どっぷりハマりすぎて、冷静さを欠くことがあるかも…。

筆者もいい年になってきたので、20代の方から進路相談を受けることもしばしばです。そのなかには思い切って、新たなキャリアへとシフトする方もいます。そのとき訪ねるようにしているのが「ライスワークとライフワーク、どちらが自分に合っていそう?」ということです。
これはあくまでも私見ですが、
■ライスワーク:
仕事はあくまでも「食う」ための手段。好きなことは趣味として楽しむ。または余暇を充実させるために仕事をする(お金を稼ぐ)
■ライフワーク:
「好きなもの」を仕事にする(あるいはしたい)パターン。そのためにはプライベートが多少なりとも犠牲になっても厭わない
これはどちらがいいとか悪いとか、そういう話しではありません。本人は好きを仕事にするか、好きなものはあくまで趣味として楽しみたいか、です。
好きなことを仕事にするということは、あまり関心がないことにもきちんと対応しなければなりませんし、えり好みもできません。納期にも追われます。クライアントの思いつき(?)に振り回されることもしばしばです。寝る時間も遊ぶ時間も飲みに行く時間も確実に削られます。それが「好きだから耐えられる」か「好きなものが嫌いになるか(またはなりたくないか)」は本人次第です。
筆者も、自動車関連以外の仕事をやっていた時期があるのですが、(当然ながら)社内でクルマ談義などできる相手はいませんでした。社会に出てから初めて「サザエさん症候群」になったのもこのときでした。そのときに「自分はライフワークの方が合っているんだな」と気づかされたのでした。
いまや自動車メーカーでディーラーに勤めるのは「お金のため?」

いつの時代も一定数の割合がいるはずだと思いますが、安定しているからという理由で自動車メーカーでディーラーに勤めるケースが増えつつあるようです。いわゆる「ライスワーク」として選んでいるケースです。セールスだけど、いまだに自分のクルマを所有したことがないという30代前後の方にお会いしたことがありますが、身銭を切らないと分からないこともあるよな…とはさすがにいえませんでした。
カレントライフでいえば、W編集長はライスワーク寄り(Webマーケティングが専門)、筆者はライフワーク寄り(単なるヘンタイ)だと思っています。こちらの暴走をW編集長が冷静にカウンターを当てている感じでしょうか…。個人的にはこれはいいコンビネーションだと思っています(W編集長どうでしょう??)。
筆者のようなライフワーク寄りな視点だと、ついついマニアックな方向にシフトしがちです。また、似たようなところで話題がループする危険性を大いにはらんでいます。その点、ライスワーク寄りなW編集長は一歩引いて見渡すことができますから、そこでバランスを取っているようなところがあります。
いろいろな考えがあると思いますが、クルマ愛があるからこそ伝えられることがあるように思うのです。