カーゼニ
更新2018.03.19
海軍カレーマニアに捧ぐ。歴史と軍事好きなら必ず楽しめる「呉観光案内」
伊達軍曹
デミオに乗って(?)呉のまちをめぐろう!
や、というのはもちろん冗談で、呉はホントいい所だと思ったので、CL読者諸兄にもその魅力をお伝えしたいと真剣に思った次第です。で、貴殿が呉まで新幹線で行くか、飛行機+その他の交通機関で行くかはわかりませんが、まぁ気がラクなのは新幹線でしょうか。ちなみにわたしは品川駅から新幹線で呉駅まで行きました。
んで、今回のわたくしはメディア向けのツアーだったので貸し切りの観光バスで移動したわけですが、通常はレンタカーを借りるのがいいでしょう。呉の中心市街地はコンパクトなんで徒歩で十分っつーか徒歩がいちばんですが、中心地以外の周辺エリアに見どころがたくさんあるんで、四輪自動車は絶対にあったほうがいい。
駅前に3軒ぐらいあるレンタカー屋さんでは、できれば現行デミオか何かを借りたいですね。広島市内の人と呉の人では微妙にメンタリティが違う可能性はありますが、呉もマツダ車が多いです。郷に入れば郷に従えということで、ここはやはりマツダ車でキメたい。宗教上の理由で(※東京ヤクルトスワローズ教に入信しているため)マツダ車は買わないわたしですが、次、呉に行ったらデミオを借りると思います。
旧呉鎮守府庁舎そのままの海自庁舎、そして謎多き地下壕
平日に行かれる人もいるでしょうが、多くの場合は土日がらみなはず。であるならば欠かせないのが「海上自衛隊呉地方総監部第一庁舎の見学」です。要事前申請ではあるのですが、日曜日であればここが一般公開されています。
ここの何がステキかといえば、この庁舎は実は「呉鎮守府庁舎」そのものである……ということです。軍事モノがお好きな人も多そうなCLですから、過剰な説明は不要でしょう。鎮守府というのは明治政府が横須賀と呉、佐世保、舞鶴の計4箇所に設置した旧日本海軍の本拠地です。
明治22年に呉鎮守府が開庁したときの初代庁舎は震災で半壊しちゃったのですが(それでも、そちらもいまだ現役で海自に使われています)、こちらは明治40年に竣工された2代目庁舎。昭和20年7月の米軍による空襲でドームを消失し、そして戦後は進駐した英連邦軍に昭和31年まで使用された……という歴史がある建造物です。そんな歴史のあれこれを想いながら眺めるこの庁舎の味わいは格別です。
そして不定期ではあるのですが、庁舎の裏手にある「旧地下作戦室(旧呉鎮守府司令部作戦地下壕)」の見学が可能な日曜日もあります。
これは米軍による空襲の被害を避けるため昭和17年秋頃に設計着手となり、昭和18年夏頃着工、そして昭和20年4月頃に完成したと言われている地下壕です。
「と言われている」というのは、資料がいっさい残ってないからです。敗戦と同時に機密資料はほぼすべて焼却処分になったため、この地下壕についての詳しいことは誰にもわからないんです。海自さんも「詳しいことは不明」と言っていて、どこに通じているのかわからない崩落部分があったり、錆びついていて開けることができない扉もあったりで、全容は不明なのですよ。扉、もはや文化財みたいなモノですからぶっ壊すわけにもいきませんしね。
この壕に関して戦後唯一見つかった書類が、軍人さんではなく軍属さんが残した手記。その手記に書かれている壕内の様子をもとに、「たぶん、こうだったんだろう」と諸々が推測されているという次第です。事前申請のうえぜひ見学に行き、ドッカンドッカン空襲されながら呉の参謀たちは何を思ったのか……という感じで想いを馳せてください。押忍。
こんな近くにそうりゅう型潜水艦が……!
その次にデミオで向かいたいのが(いや、別にデミオじゃなくてもいいんですが)、「歴史の見える丘」ですね。
そこの公園内にあるいくつかのモニュメントは正直さほど興味がわきませんでしたが、そこから斜め左下に見える「ジャパンマリンユナイテッド呉事業所」の大屋根は必見です。そこはまさに「大和」が建造された呉海軍工廠造船部造船船渠があったところで、大和が造られたときの船渠(ドック)はさすがに埋まってますが、大屋根はまさに大和を造った際の大屋根そのままです。大艦巨砲主義はどうかと思いますが、亡くなった数千人の無念を思うと確実に涙が出ます。合掌。
そうこうするうちに夕刻となったならば、デミオを駆って「アレイからすこじま」へ向かいましょう。ここは日本で唯一、超絶間近で海自の潜水艦が見られる公園です。最新のそうりゅう型とかも普通に泊ってるため「防衛機密的にどうなんだ……?」とも思いますが、夕刻のここの風景は本当に荘厳かつ幻想的です。そして日没とともに行われる「降旗」の儀式もぜひご覧になってください。グッとくること必至です。
歴史と「軍関係」に興味ありな人ならハマるはず!
その他、有名すぎるほど有名ですが「大和ミュージアム」はやはり必見ですし(わたしは大和そのものには特に思い入れはないのですが、この博物館が丁寧に収集した大量の実物資料は必見です。涙が出ます)、超旧型の退役艦ですが、いちおう潜水艦の内部に入るというレアな体験ができる「海上自衛隊呉資料館(てつのくじら館)」も絶対に行ったほうがいいでしょう。
前回の原稿でわたくしが大ボラをかました呉湾の「艦船めぐり」も超絶オススメであり、呉鎮守府の司令長官庁舎だった「入船山公園」も外せません。さらには市内30軒の飲食店が海自とコラボして展開している「呉海自カレー」は、各艦で食べられているカレーと本気で同じ味らしいので(艦長や士官による味の抜き打ち検査があるとのこと)、海軍カレーマニア(?)は食うしかありません。
またそのほか、ありがちな「再開発」の波が及んでいない中心市街地も、ホテルにレンタカーを置いたうえで散策したほうがいいですし(1コ80円のフライケーキ、マジでおいしゅうございました)、見どころはまだまだたくさんの呉なんですが、これ以上クルマと直接は関係ない話をダラダラ続けると、今度はCL編集部から不幸の手紙が届きそうですので、このぐらいにしておきます。
とにかく、歴史と軍事、そして明治から昭和初期の町並みに興味がある人なら(そして映画『この世界の片隅に』がお好きな人なら)必ずや楽しめるはずの呉ですので、土日とかを利用してぜひ行ってみてくださいね。押忍。
[ライター/伊達軍曹]