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更新2018.09.12

平成最後の夏はここで締めくくり!日本海クラシックカーレビュー2018

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鈴木 修一郎

今年も、日本海クラシックカーレビューの季節がやってきました。クラシックカーオーナーの中には「糸魚川(日本海CCR)に行かないと夏が終わらない」という人もいると聞きます。しかし、先日の記事でも触れましたが、現在諸事情で筆者のセリカLBは長期修理中に入っているため、今回はエントリーの応募自体が叶わなかったのですが、地元の中古車チェーン店が展開している激安レンタカーサービスのマンスリープランで借りたeKワゴンで見学だけは行く事にしました。

今回はryoさんがナローポルシェのナビ参加でレポートを担当されるということで、こちらでは個人的な視点で何を見ていたのかをお送りしようと思います。

日本海クラシックカーレビュー


今年は、糸魚川市内での宿が取れなかったため、白馬高原の「おはよう」というペンションに宿を取りました。駐車場にはルーチェロータリーセダンが止まっており、他に糸魚川に向かう宿泊客がいるのかと思っていたら、なんとペンションオーナーの友人の方で、翌日のイベントには参加とのこと。じつは、よくよく話を聞くとペンションのオーナーの方もカリーナに始まり、BMWやメルセデスベンツを30台以上乗り継いだという筋金入りのカーマニアでした。


▲ラウンジにはモデルカーが沢山


▲オーナーの愛車のEクラス、他にもGクラスやSLも所有しているとのこと

別に「クルマ好きのオーナーのペンション」というのを狙って予約したのではなく、ペンションの雰囲気と宿泊料金(失礼)だけで選んだのですが…。やはり、クルマ好き同士というのはなんとなく惹かれあうものがあるのかもしれません。



例によって駐車場から、なにしろ糸魚川市の人口を上回る来場者が来るだけあって、駐車場を探すにも一苦労。フォッサマグナミュージアムのふもとの臨時駐車スペースに空きを見つけることが出来ましたが、会場から一番離れた場所にもさっそくVWタイプ1が止まっていました。



そのすぐ近くには純正ホイールキャップのフルオリジナルのトヨタスポーツ800、参加の競争率の高いイベントだけに来場者が乗り付けたクルマも侮れません、過去にトヨタ2000GTが普通に駐車場に止まっていたのを見たこともあります。



前日はつい暖房を使いたくなるくらいの寒さと雨だったのですが、イベント当日は冷涼な土地とは思えないくらいの暑さでした。

イベントの様子はryoさんのレポートにお任せして、こちらはクラシックカー好きの(個人的な嗜好も含めた)視点でお送りしたいと思います。

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クラシックカーイベントといえば…その1:エンジンルーム


クラシックカーに限らず、クルマのイベントでは「エンジンルームをお披露目する」というのがお約束です。とくにクラシックカーの場合、アルミ製ヘッドカバーやキャブレターなどのダイキャストパーツやロッドやワイヤーなどのメカニカルな可動部分が多く、「エンジンルームの見栄え」に関しては今のクルマにはない魅力があるのではないでしょうか。



1957年型MG-Aのエンジンルーム。MGがチューンしたオースティンの1500ccOHVエンジンとSUキャブレター。嘘か真か日産がオースティンのライセンス生産をしていた関係で昔の日産車とイギリス車には互換性があり(実際、RB型エンジンくらいまでの日産車のオイルエレメントのネジはイギリスインチです。)エンジンが破損したMGがダットサンのエンジンに載せ替えられてしまった、というケースがあるという話を聞いたことがあります。

キャブレターから伸びているホースに断熱材が巻かれているのは、おそらくパーコレーション対策と思われます。こういった配管の取り回しや電装系に時折そのクルマのオーナー独自の試行錯誤が垣間見える事があります。



1962年型ロータスエリートS2のエンジンルーム。やはり日本海CCRとあって、エントリー車両はコンディションもハイレベルなものが多くエンジンルームも綺麗に仕上げられているものばかりです。「コーリン・チャップマン」のエンブレムの付いたヘッドカバーに、太いラジエターのリターンパイプ、インマニの真上を通っているのはガソリンの気化熱によるアイシングを防止する、気化熱でクーラントを冷却するといった機能を期待してるのではないでしょうか。

よく、昔のクルマのアップデートで発電機を今時のICオルタネーター(交流発電式)に換装することで電装系トラブルを回避するというのが常套手段ですが、このクルマはあえてダイナモ(直流発電)のままのあたり、オリジナルコンディションへの強いこだわりが感じられます。



1970年ロータスヨーロッパS2。クーペながらルーフラインがテールエンドまでほぼ一直線のため、通称「ブレッドバン(パン屋の配達バン)」と呼ばれたと言われています。

それゆえに、ミッドシップレイアウトのエンジンから後ろに、思った以上に大きなラゲッジスペースが確保されています。荷物をたくさん載せる事ができる事で、長距離グランドツアラーという用途を視野にいれていたのでしょう。

このくらいの年式になると、発電機も現代のクルマの様なオルタネーター式(交流発電)に移行してゆきます。



1965年型シボレーコルベアコルサクーペ。自動車のマーケティング、品質管理、製造者責任の業務にかかわったことのある方なら、避けては通れぬクルマでしょう。ポルシェ911を彷彿とされる、空冷水平対向6気筒エンジンを車体後部に搭載。当時、ゆっくりだが確実に北米でシェアを侵食しつつあった欧州や日本の小型車に対抗するため、スペース効率に優れたリアエンジン方式を採用したアメリカ製コンパクトカーではあったものの、アメリカ基準でコンパクトとは言っても、VWやダットサンよりははるかに大柄な車体に6気筒エンジンという組み合わせは、当時のタイヤやサスペンション性能では十分なスタビリティを確保できなかったと言われます。そしてラルフ・ネーダー弁護士に設計上、操縦安定性に問題のあるのではないかという指摘をうけ、サスペンション形式や重量バランスによると思われる事故の続発により、サスペンション設計の見直しを受けるも1969年に生産中止となります。



1932年型ロールスロイスファンタムⅡ。先日のノリタケの森クラシックカーフェスティバルにも来ていたファンタムⅡもエントリーしていましたが、戦前型のロールスロイスにいたってはエンジンフードを開けるだけで人だかりができて、これ以上近づいて写真を撮る事すら難しい状態でした。



先ほどまでのMGやロータスのエンジンルームとは対照的に、オイル滲みやくすみが浮き上がっていますが、戦前型のクルマであってもコンクールコンディションなどお構いなしに日常的に走りこむ事が可能という、これこそ「最低100万マイルはオーバーホール不要」果ては「エンジンの寿命までオーナーの寿命が持たない」と言われるロールスロイスの証かもしれません。

クラシックカーイベントといえば…その2:ナンバープレート


クラシックカーイベントといえば、分類番号が一桁、二桁の古いナンバープレートを楽しみにしている方も多い事かと思います。原則「フルオリジナルコンディション」が参加条件の日本海CCRでは必然的に新車当時からのナンバープレートを掲げているクルマも多くなります。



クラシックカーイベントではいつも人気者のトヨタ2000GT、希少性ゆえに新車当時から大切にされている個体も多く、新車当時のナンバーを継続している個体と遭遇する確率も必然的に高くなります。

土地柄、裕福な人が多いと見える品川ナンバー管轄には新車当時のナンバープレートを継続しているトヨタ2000GTも多いようで、「品川5」のトヨタ2000GTを見かける機会が多いように感じます。またよく見ると「品川」のフォントも現在の物とは違う事がわかるかと思います。



ひらがなのフォントがまるで筆文字の様な管轄地域なしの「5」ナンバーの昭和13年(1938)ダットサンフェートン。このナンバープレートは昭和30年から払い出された書式で、さまざまな変遷を経て現在の書式の原型ができたのですが、昭和36年まで一貫して東京のみ地名が入らないという書式をとっていたとのことです。



昭和44年(1969)型セドリック130型。某国産クラシックカー専門誌でマニアックな読者を沸かせたセドリック。ひらがなの「た」は1970年代半ばまでは官公庁の公用車に振り当てられたもので、当初は公用車が民間に払い下げになる場合、ナンバープレートは引き継げなかったのですが、1970年代半ばにその規則が撤廃となり、元官公庁ナンバーのまま引き継げたまま払い下げられたという非常に珍しいケースです。もちろん、ごく限られたタイミングで可能だった引継ぎのため、ひらがなが「た」の一桁ナンバーの現存車は非常に希少であることが伺えます。

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希望ナンバー編


平成10年に3桁ナンバーが導入されたのに伴い、日本でも登録番号を選ぶことができる希望ナンバー制が導入され、クルマが好きな人なら車名や型式、年式にちなんだ数字で登録する人も増えました。



1967年ポルシェ912。希望ナンバーが導入されるという一報を聞いたときは真っ先に「半分はポルシェみたいなクルマのオーナーのためにある制度だよなぁ」と思ったものです。



昭和44年(1969)型いすゞ117クーペ(ハンドメイドモデル)。希望ナンバー導入以前から「できる事なら・117番のナンバープレートが欲しい」という話をよく聞くクルマでした。実際、希望ナンバー導入前に陸運支局の窓口に貼り付いて「・117」番が払い出されるまで待つのを試みた人は相当数いたようで、筆者も希望ナンバーが導入される10年以上前に「・117」番の117クーペを見かけたことがあります。



昭和48年(1973)型マツダルーチェロータリーセダンGR。筆者と同じペンションに泊まっていた方のルーチェです。こちらは年式をナンバープレートに選んだパターン。マツダ車の場合、RXシリーズの2、3、7やロータリーエンジンの12(A12型)、13(B13型)で登録するパターンもあります。

希望ナンバーかと思ったら…



昭和42年(1967)型トヨタ1600GT5。一見「1600GTだから1600番なのか」で済ましてしまいそうなナンバープレートですが、よく見ると一桁ナンバーです。50年前にオーナー、もしくはディーラーのセールスマンが陸運支局の窓口で1600番が出るまで粘り続けたのでしょう。その執念たるや、その後のオーナーがこのナンバーを抹消するのを躊躇させるには十分だったようです。

今回は趣向をかえて、クルマではなくエンジンルームやナンバープレートの視点でお送りしました。クラシックカーイベントに行き慣れて、ある程度クラシックカーに対する知識の蓄積が出来たら、装備品やナンバープレートの違いなどに注目するとさらに深くクラシックカーイベントを楽しめるかもしれません。

ペンションおはよう
〒399-9301 長野県北安曇郡白馬村みそら野
TEL:0261-72-7368
FAX:0261-72-8987
ohayo@hakuba.ne.jp
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[ライター・画像/鈴木 修一郎]

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