更新2022.03.29
JLRが廃バッテリー利用の蓄電システム開発、「Iペース」から二次利用
外車王SOKEN編集部
英高級車メーカーのジャガーランドローバー(JLR)は15日、完全電気自動車(BEV)のジャガー「Iペース」の使用済みバッテリーを使った蓄電システムを開発したと発表した。イタリアの電源ソリューション開発大手プラマックと共同開発した「オフグリッド・バッテリーエネルギー貯蔵システム」(ESS)と呼ばれるもので、システムへの充電は太陽光発電の電力を使う。主電源への接続が制限される地域や状況での活用が期待される。
同システムは容量が最大125キロワット時(KWh)。これは一般的な家族世帯の1週間分の電力を供給できる量という。定格発電量は22kWACで、汎用性の高いタイプ2の充電コネクタを装備している。使用するリチウムイオンバッテリーは「Iペース」の試作車やテスト車から取り出したもので、部材の85%を直接利用し、残りはサプライチェーン向けに再利用する。
JLRはESSをフォーミュラEチーム「ジャガーTCSレーシング」の診断機材の電源やピットガレージの補助電源として活用しているほか、南アフリカのヨハネスブルクにある同社のエクスペリエンスセンターにも導入している。
同社は2039年までに排出量ゼロの達成を目指しており、今回の取り組みを循環型経済モデル創出のステップとして位置付けている。今後は二次利用(セカンドライフ)にとどまらない廃バッテリーの再利用法を開拓していく方針だ。
同社によると、エネルギー貯蔵システムへの廃バッテリーの供給規模は2030年までに年200ギガワット時(GWh)を超え、市場規模は300億ドルに達すると見込まれている。
[画像/Jaguar Land Rover 提供元/FBC Business Consulting GmbH]