ドイツ現地レポ
更新2023.11.22
希少なPUCH(プフ)製造!Hナンバーのゲレンデヴァーゲンをドイツで見て
中込 健太郎
ゲレンデヴァーゲンを意味するメルセデス・ベンツGクラス、もともとはNATO軍が依頼して作ったクルマながら、いまどきなかなかこういう雰囲気のクルマがないので、かえって根強い人気がありますね。例えば都内だとGクラス(「必要ないでしょ!」という突っ込みは、それ自体が意味ないでしょうね。なにしろそのスタイルに感化されて皆さんお乗りな訳で・・・)をよく見ますね。
最近はラインナップの中心がV8モデルだったりすることもあり、誤解されることもあるようですが、このクルマはそもそも高級車というわけではありません。ですから、乗り心地も乗用車仕様のものでさえ、このクルマよりいいモデルはもっと他にたくさんありますし、そういうものを求めるべきではないのですね。
今回このコーナーではしばしばご紹介している、ドイツの旧車保護のための優遇ナンバー分類「Hナンバー」のついたクルマです。このゲレンデヴァーゲンの写真が届きました。しかし「あれ?」と思われる方がいらっしゃるかもしれません。エンブレムがスリーポインテッドスターではないのです。実はこのクルマ、そもそも製造がメルセデス・ベンツの工場ではなく、NATOから開発を依頼されてからパートナーシップを組み、設立された「シュタイア・ダイムラー・プフ」で造られているのです。
この会社は、現在もGクラスを生産している現在の「マグナシュタイア社」というオーストリアの会社の前身です。さまざまなメーカーのクルマの製造も請け負っているのですが、そんな関係もあり、オーストリアでの販売ブランドはメルセデス・ベンツではなく、この「PUCH(プフ)」になります。その初期の機械式トランスファーを持ち、軍用を民生用に転向させたW460というタイプのものかと思われます。この300GD、ディーゼルモデルと標準設定のマニュアルトランスミッションの組み合わせ。赤いボディはなんだか愛嬌がありますが、このクルマもその屈強さ、そして悪路に限らず走破完遂能力は世界屈指。侮れませんね。
NATO軍との契約が切れたいまなお現役モデルでありますが、これまで生産されたモデルをこうして目の当たりにできるのは、やはり平和を噛み締め、そのことに感謝しなくてはならないでしょう。車重がかなりあるため、いまでは大きなエンジンのみのこのクルマ、サイズ的には日本で言うところの5ナンバーサイズのボディなのです。
いまのように大きなフェンダーを持たない頃は日本にも5ナンバー登録のゲレンデヴァーゲンが輸入されたこともありました。このクルマの機能美はまさにエバーグリーン。このシンプルさはまた何物にも代え難い魅力を感じるのは気のせいでしょうか?いつまでも平和が続き、ゲレンデヴァーゲンが戦地ではなく私たちの手中にいて、いつまでも走り続けてほしいものですね。
[ライター/CL編集部・中込健太郎 カメラ/ドイツ駐在員]
最近はラインナップの中心がV8モデルだったりすることもあり、誤解されることもあるようですが、このクルマはそもそも高級車というわけではありません。ですから、乗り心地も乗用車仕様のものでさえ、このクルマよりいいモデルはもっと他にたくさんありますし、そういうものを求めるべきではないのですね。
今回このコーナーではしばしばご紹介している、ドイツの旧車保護のための優遇ナンバー分類「Hナンバー」のついたクルマです。このゲレンデヴァーゲンの写真が届きました。しかし「あれ?」と思われる方がいらっしゃるかもしれません。エンブレムがスリーポインテッドスターではないのです。実はこのクルマ、そもそも製造がメルセデス・ベンツの工場ではなく、NATOから開発を依頼されてからパートナーシップを組み、設立された「シュタイア・ダイムラー・プフ」で造られているのです。
この会社は、現在もGクラスを生産している現在の「マグナシュタイア社」というオーストリアの会社の前身です。さまざまなメーカーのクルマの製造も請け負っているのですが、そんな関係もあり、オーストリアでの販売ブランドはメルセデス・ベンツではなく、この「PUCH(プフ)」になります。その初期の機械式トランスファーを持ち、軍用を民生用に転向させたW460というタイプのものかと思われます。この300GD、ディーゼルモデルと標準設定のマニュアルトランスミッションの組み合わせ。赤いボディはなんだか愛嬌がありますが、このクルマもその屈強さ、そして悪路に限らず走破完遂能力は世界屈指。侮れませんね。
NATO軍との契約が切れたいまなお現役モデルでありますが、これまで生産されたモデルをこうして目の当たりにできるのは、やはり平和を噛み締め、そのことに感謝しなくてはならないでしょう。車重がかなりあるため、いまでは大きなエンジンのみのこのクルマ、サイズ的には日本で言うところの5ナンバーサイズのボディなのです。
いまのように大きなフェンダーを持たない頃は日本にも5ナンバー登録のゲレンデヴァーゲンが輸入されたこともありました。このクルマの機能美はまさにエバーグリーン。このシンプルさはまた何物にも代え難い魅力を感じるのは気のせいでしょうか?いつまでも平和が続き、ゲレンデヴァーゲンが戦地ではなく私たちの手中にいて、いつまでも走り続けてほしいものですね。
[ライター/CL編集部・中込健太郎 カメラ/ドイツ駐在員]