ライフスタイル
更新2016.08.09
初代ロードスターのレストアおよびパーツ供給を検討中という、マツダの心意気に思うこと
松村 透
8月7日まで幕張メッセで開催されていたオートモビル カウンシル2016において、初代ロードスター(以下、ユーノス・ロードスター)のレストアおよびパーツ供給を検討中との発表がありました。
日本だけでなく、世界中のユーノス・ロードスターオーナーがこの報道に驚き、歓喜しているはずです。筆者の友人であるロードスターオーナーたちも同様です。
筆者も数年前までユーノス・ロードスターのオーナーであり、パーツの欠品に悩まされていました。いわゆる「新品が出ない部品」はオークションで落札したり、街の中古パーツ専門店で手に入れました。それでも、RX-7カブリオレ(FC3C)に乗る親友からは「FCカブリオレなんてもっと大変だ。ロードスターはまだ恵まれている方だぞ」といわれてしまいました。
日本車の旧車オーナー氏に取材するたびに、誰もが口を揃えて「パーツの欠品に悩まされている」と仰います。好きだから原型を留めて維持するという行為が、もはや愛情を超えて使命や義務の領域に入っているといっても過言ではないほどです。
※ホンダNSX(初代)にはリフレッシュプランがありますが、Webサイトによると現在は休止中。10月1日より新たなプランやメニューが用意され、受付を再開するようです。
「こんなのお金持ちの道楽じゃん」と皮肉る方もいますが、多くの場合、オーナー氏がここに至る(つまりお金持ちになる)までの過程を見過ごしているようです。実際には、憧れのクルマを現実のものにしようと、寝食を惜しんで努力した結果、ようやく手に入れることができた方ばかりです。決して楽して買えるものではないのです。
さて、今回のマツダの発表がメーカーとしてアナウンスものであり、現在は検討中であったとしても、実現の可能性はかなり高いのではないでしょうか。もちろん「商売として成立する」と判断したからこそ、今回の発表に踏み切った側面は考えられます。
しかし、メーカーとして発表した以上「大変だからやっぱり志半ばで止めました」とは、よほどの事情がない限りはいえないはずです。ユーザーにとっては大歓迎なことではありますが、メーカー(マツダ)にとっては大英断だったと推察します。まさに「心意気」です。それはなぜか?
欠品している部品は再生産することになるわけですから、サプライヤーとの調整も必要でしょう。無事に再生産された部品をストックしておく場所も確保しなければなりませんし、メーカーやディーラーなど、オンラインで繋がっているシステムの調整も行うはずです。社内のイントラネットでアナウンスしたり、諸々の注意事項をまとめて伝えたり…等々。
つまり「非常に手間の掛かる」案件であることは間違いないのです。それでいて、商売としたら非常に狭く、ごく限られたユーザーに向けて行うサービスですから、個人的にはGOサインを出したくても、いち企業人としては泣く泣くNOという場面が過去に何度もあったように思うのです。
以前、神奈川県相模原市にあるフェアレディZ(Z32)専門店であるZone(ゼットワン)さんを取材したとき、本来ならメーカーが行うレベルのレストア作業や部品のストックなど「Z32を1台でも多く保存したい」一心で活動している光景を目の当たりにしました。
メーカーが動いてくれないからショップが「駆け込み寺」となり、特定のモデルの保存に努めているのです。ユーノス ・ロードスターやZ32など、熱心なファンが多いクルマは幸せでしょう。過去には(おそらくはこれから先も)そこまでの大きな支持を得られず、絶滅していったクルマがたくさんあるはずです。
ロードスターの部品が再生産されることになり、同じ品番でも当時とは素材や質感が微妙に異なる場合があるかもしれません。現に、日本ですでに展開されている「ポルシェ クラシック」でもこの現象が起こっています。それは当時の素材が手に入らなかったり、コスト面でサプライヤーとの折り合いがつかないものとなっていたり…と、理由はさまざまです。
マニアとしては思うところがあるかもしれませんが、まずはマツダの心意気に対して寛大な気持ちで接していきたいものです。そして、この動きが他の日本車メーカーを刺激し、パーツの再生産やレストアへの対応が少しでも拡散することを祈るばかりです。
日本だけでなく、世界中のユーノス・ロードスターオーナーがこの報道に驚き、歓喜しているはずです。筆者の友人であるロードスターオーナーたちも同様です。
筆者も数年前までユーノス・ロードスターのオーナーであり、パーツの欠品に悩まされていました。いわゆる「新品が出ない部品」はオークションで落札したり、街の中古パーツ専門店で手に入れました。それでも、RX-7カブリオレ(FC3C)に乗る親友からは「FCカブリオレなんてもっと大変だ。ロードスターはまだ恵まれている方だぞ」といわれてしまいました。
日本車の旧車オーナー氏に取材するたびに、誰もが口を揃えて「パーツの欠品に悩まされている」と仰います。好きだから原型を留めて維持するという行為が、もはや愛情を超えて使命や義務の領域に入っているといっても過言ではないほどです。
※ホンダNSX(初代)にはリフレッシュプランがありますが、Webサイトによると現在は休止中。10月1日より新たなプランやメニューが用意され、受付を再開するようです。
「こんなのお金持ちの道楽じゃん」と皮肉る方もいますが、多くの場合、オーナー氏がここに至る(つまりお金持ちになる)までの過程を見過ごしているようです。実際には、憧れのクルマを現実のものにしようと、寝食を惜しんで努力した結果、ようやく手に入れることができた方ばかりです。決して楽して買えるものではないのです。
さて、今回のマツダの発表がメーカーとしてアナウンスものであり、現在は検討中であったとしても、実現の可能性はかなり高いのではないでしょうか。もちろん「商売として成立する」と判断したからこそ、今回の発表に踏み切った側面は考えられます。
しかし、メーカーとして発表した以上「大変だからやっぱり志半ばで止めました」とは、よほどの事情がない限りはいえないはずです。ユーザーにとっては大歓迎なことではありますが、メーカー(マツダ)にとっては大英断だったと推察します。まさに「心意気」です。それはなぜか?
欠品している部品は再生産することになるわけですから、サプライヤーとの調整も必要でしょう。無事に再生産された部品をストックしておく場所も確保しなければなりませんし、メーカーやディーラーなど、オンラインで繋がっているシステムの調整も行うはずです。社内のイントラネットでアナウンスしたり、諸々の注意事項をまとめて伝えたり…等々。
つまり「非常に手間の掛かる」案件であることは間違いないのです。それでいて、商売としたら非常に狭く、ごく限られたユーザーに向けて行うサービスですから、個人的にはGOサインを出したくても、いち企業人としては泣く泣くNOという場面が過去に何度もあったように思うのです。
以前、神奈川県相模原市にあるフェアレディZ(Z32)専門店であるZone(ゼットワン)さんを取材したとき、本来ならメーカーが行うレベルのレストア作業や部品のストックなど「Z32を1台でも多く保存したい」一心で活動している光景を目の当たりにしました。
メーカーが動いてくれないからショップが「駆け込み寺」となり、特定のモデルの保存に努めているのです。ユーノス ・ロードスターやZ32など、熱心なファンが多いクルマは幸せでしょう。過去には(おそらくはこれから先も)そこまでの大きな支持を得られず、絶滅していったクルマがたくさんあるはずです。
ロードスターの部品が再生産されることになり、同じ品番でも当時とは素材や質感が微妙に異なる場合があるかもしれません。現に、日本ですでに展開されている「ポルシェ クラシック」でもこの現象が起こっています。それは当時の素材が手に入らなかったり、コスト面でサプライヤーとの折り合いがつかないものとなっていたり…と、理由はさまざまです。
マニアとしては思うところがあるかもしれませんが、まずはマツダの心意気に対して寛大な気持ちで接していきたいものです。そして、この動きが他の日本車メーカーを刺激し、パーツの再生産やレストアへの対応が少しでも拡散することを祈るばかりです。