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オーナーインタビュー

更新2022.10.30

日本に1台のみ!?ようやく安住の地を見つけた、2009年式ジネッタ ファービオGTS

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松村 透

日本に1台!?ようやく安住の地を見つけた、2009年式ジネッタ ファービオGTS


この仕事を続けていると、珍しいクルマとそのオーナーさんから貴重な体験談を伺う機会に恵まれます。


今回も、おそらくは日本で1台しか存在しないといわれる超レアなクルマを取材してきました。


そのクルマとは「ジネッタ ファービオGTS」。


「あー!あのクルマね」


記事を読みながらそうツッコミを入れたそこのアナタ!


かなりのクルマ通とお見受けします。


── オーナー紹介&どんな仕事をされているのですか?



▲オーナーの秋谷雅彦さんと愛車である2009年式ジネッタ ファービオGTS

自動車の販売および修理業を営んでいます。2004年4月に開業したので、今年で18年です。


日本車がメインで、多少は輸入車も入庫してきます。ドイツ車が多いですね。


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── 立ち上げようと思ったきっかけを教えてください



▲リアガラスは日本仕様にのみ設定されたもののようだ

20代前半の頃はモーターを設計する会社で働いていました。あるとき通っているクルマ屋さんにスカウトされて転職。もともとクルマが好きだったので、この会社で12年修行して、33才のときに独立したんです。


もともといつかは独立しようと決めていたのですが、現在の場所で開業するまでに数年間の紆余曲折があり・・・。ようやく形になったのが33才だった…ということだと思います。


── ジネッタ ファービオGTSを手に入れたきっかけを教えてください



▲フロントのエンブレムはジネッタに交換されている

地元の先輩でジネッタG4やG12に乗っていたりして、以前から存在は知っていました。あるとき「G40」というモデルが発売されたと知り、どうにか手に入れられないかと探したら1ロット=14台しかオーダーが入らず、この時点で完売。その後、国内に1台だけ「G40」の売りモノがあることを聞きつけたんですが、まだナンバーがない個体で、しかもいつ取得できるか分からないといわれ…。


そんなとき、知り合いを通じて「G60」を売りたがっている人がいると知り、翌日には現車確認をして購入する意思を前オーナーさんに伝えました。ただ、売るには「条件」があって…。


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──「条件」とは?



▲ホワイトレザーが目を惹くレカロシートはノンオリジナルだが、このクルマの雰囲気にマッチしている

輸入されたのはこの1台のみなので、取り扱いディーラーがないこと、最終的にオーナー自身が面倒を診られる人でなければ維持が困難であること、そして車両保険に入れないこと…これらの条件を理解したうえでないと乗れないクルマなんです。前オーナーさんもその点をとても気にしていましたね。



▲このドアの厚さ!カーボン製なので、思いのほか軽い

そもそも、総生産台数が50台にも満たないようなんです。リアウインドウは本来はアクリル製なのに、日本仕様のみ(つまりこの個体)はガラス製なんだそうです。



▲カーボン製のカバーの下に3L V6エンジンが収まっている

リアガラスだけ50枚製造したらしく、潤沢に在庫があるみたいです。そもそも、日本で型式認証を得る場合、50台(つまり50回)衝突実験をする必要があるそうです。総生産台数と同じか、それ以上の台数のテストをクリアしないとだめなんだとか。


── 現在の走行距離はどれくらいですか?



▲スピードメーターはマイル表示。ここにもジネッタのロゴが見える

オドメーター上では5000kmくらいです。もともとはファービオGTSとして生産されているクルマなんですが、過去のオーナーさんがあらゆる箇所をジネッタ仕様に変更している(ファービオ社は2010年にジネッタに買収されている)ので、メーターも交換されている可能性がありますね。


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── 秋谷さんが何オーナー目なのかご存知ですか?



▲近づいて見てみると、その美しいフォルムに魅了されてしまった

法人オーナーと個人オーナーを合わせると、私が5オーナー目みたいです。


── 手に入れて何年目ですか?



▲天井もシートと同色のレザーに張り替えられている

2018年5月に手に入れてから2回車検を通したし、4年目です。


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── 車検のときに苦労したことはありましたか?



▲ヘッドライトベゼルもカーボン製

これが意外とないんですよ。ヘッドライトのカバーがアクリル製なので、それを外すくらいです。


── メンテナンスされるうえで苦労されている点はありますか?



▲コーションプレートには「FABIO」の文字が確認できる(各種打刻は消してあります)

故障している箇所はすべて自分で直しました。


ホイールのペイントや、室内のタッチパネルの修理など・・・ここから上のパネルは作動するけれど、それ以外は動かなかったり。


ダメ元で分解したら日本製の部品が使われていたり・・・タッチパネルを検索したら秋葉原のジャンク屋で売られていたモノが使えたり。いろいろ苦労したけれど、タッチパネルも直ってエアコンが使えるようになったんですね。前オーナーさんも驚いたみたいです。あちこちに修理依頼をしても断られて、私が手に入れたあともたぶん直せないと思っていたみたいで。



▲貴重な取扱説明書。秋谷さんが難儀したというタッチパネルにメモが…

調べれば調べるほど「部品の寄せ集め」なんですよ(笑)。このクルマって。だから意外となんとかなってしまうことも少なくないんです。


このクルマ、フォードの「ST220」に搭載されている、3リッターV6エンジンが使われているらしく、そのままだと格好悪いかなと思ってステンレス製のタコ足とクラッチをヨーロッパから輸入して装着してあります。あと、フライホイールを軽量タイプに交換すれば「ヒュンヒュン」にまわるようになるんじゃないかとにらんでいます。


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── 手に入れて良かった点・苦労している点



▲車高はそれほど低くない

●よかった点


電子制御の介入がないこと、クルマが軽いことに尽きますね。


乾燥重量は1トンだそうです。車検証上は1.2トンとなっていますね。現代のスポーツカーって、電子制御が介入したり、ゴルフバッグが何セット載せられるとか・・・個人的にはその種の安全で快適なクルマには魅力を感じないんです。



▲フルカーボン製のボディだけに、トランクの内側もカーボン製

ボディが軽くて、ミッドシップ、パワーのあるエンジン。フロントに上手く加重をかけてあげないと、フル加速のときにスピンしそうになるほどです。このクルマなんてABSやトラクションコントロールシステムも装備されていないし、それがある種の怖さと、自分がコントロールしているという感覚がこのクルマを操るうえでの楽しさであり、魅力ですね。


もしかしたら、いまの旧車ブームも似たようなものかもしれませんよね。性能面では現代のクルマにはかなわないけれど、操る楽しさは圧倒的に勝っていますから。



▲室内はいたってシンプル

●苦労している点


しいていえば、何でも自分でやらなければならないことでしょうか。エンジンを降ろしてオーバーホールとか、そろそろ体力的にしんどくなってきましたね(苦笑)。


── 運転が難しそうなイメージがあります



▲ドアオープナーまわり

MTを運転できる方であれば、街乗りなら乗れると思います。クルマが軽いので、アクセル全開したらスピンしそうになるので、攻めるような走りをするときは要注意でしょうね。初代トヨタMR2もトリッキーな挙動を示しましたよね。1トンそこそこのボディに3リッターエンジンじゃなくて、1.6Lくらいにしておけばもう少し違った味付けになったと思います。


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── 車高が低い印象ですが、気を遣いますか?



▲APロッキード社製のブレーキキャリパーが確認できる

それが意外と大丈夫なんです。乗り心地も非常にしなやかですし。カーボン製のボディというともう少し突き上げがあるのかなと思われるかもしれません。もちろん、まったくないというわけではありませんが、衝撃はボディ全体でうまくいなしている印象がありますね。


── 予算抜きで今後欲しいクルマとアガリの1台はありますか?



▲シルバーの部分がドアオープナーなのだ!

●今後欲しいクルマ


以前はポルシェ911だと思っていたけれど、水冷エンジンになってからは(自分としては)違うかなと。AE86に搭載されている4AGみたいに4気筒ツインカムエンジンを搭載しているクルマかな。


●アガリのいクルマ


うーん、このジネッタかもしれないですね。


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── ジネッタは「アガリの1台」ですか?



この手のクルマは「お金がたまって余裕ができたら」…とか、そういう機会が訪れたときに手に入れればいいとずっと思ってきたんです。チャンスがあればいつか乗れるだろうって、常にそういう風に思ってやり過ごしてきたんだです。


私自身、30代・40代を経て50代になったわけですが、少しずつ自分自身の衰えを感じる場面が増えてきたんです。今乗っておかないと、乗れないって思うようになりました。このジネッタにしても「このチャンスを逃したら次の機会きっともうないな」って、直観的に思ったんですね。



▲リアのタイヤサイズは285/35 ZR19と、まさにスーパーカーサイズ!

ジネッタに乗ることは、若さを保つ秘訣なのかもしれませんよ。


── 取材後記



おそらくは日本に1台しかないジネッタ ファービオGTSの取材を快く引き受けてくださった秋谷さん。ハイパワー&ハイパフォーマンスである最新モデルには興味がなく、ドライバーの操作に忠実に応えてくれるジネッタ ファービオGTSに魅力を感じていらっしゃる姿が印象的でした。


嫁ぎ先によっては「手に負えないクルマ」として放置され、修理不能なくらいコンディションが悪化していた可能性があったはずです。しかし、オーナー兼主治医である秋谷さんのところにいれば安心です。



▲日本に1台というこのマシンの後ろ姿が観られたら、その日は相当ラッキーかも・・・

生産台数およそ50台というジネッタ ファービオのなかでも、かなり幸せな人生(車生?)を送っていることは間違いなさそうです。


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── オーナープロフィール



・お名前:秋谷雅彦さん
・ご年齢:52才
・ご職業:自動車の販売および修理業
・現在の愛車:2009年式ジネッタ ファービオGTS


── 取材協力:伊勢崎市境赤レンガ倉庫



●伊勢崎市境赤レンガ倉庫について


(以下、ホームページより抜粋)
境赤レンガ倉庫は、大正8年(1919年)に繭の保管庫として建設された、レンガ造りの倉庫で、平成12年に旧境町が取得しました。平成23年の東日本大震災の後、屋根の葺き替え工事を実施しましたが、建物全体の補強工事は行っていませんでした。


その後、地元の皆さんからの要望もあり、平成26年には活用計画を作成し、赤レンガ倉庫活用検討会議を開始。地元の代表の方々からの声を活かしながら、平成28年12月に整備を開始、鉄骨による耐震補強と天井裏の小屋組みやレンガ壁との調和を優先した仕上げによる改修を行いました。


平成29年11月に整備が完了し、イベントホールやギャラリー機能を備えた市民の交流や地域活性化のための施設として生まれ変わりました。また夜間には幻想的なライトアップで建物を演出します。


・住所:群馬県伊勢崎市境765番地1
・TEL:0270-61-8737
・FAX:0270-61-8737
・駐車場台数:16台
・利用可能時間:9:00~21:00
・休業日:火曜日(祝日の場合は開館し、翌水曜日休館)・年末年始
・アクセス:北関東自動車道 伊勢崎ICより車で約17分
・URL:https://www.city.isesaki.lg.jp/kanko/kanko/spot/7717.html


[ライター・撮影/松村透]

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