ドイツ現地レポ
更新2021.03.30
コロナ禍の今はオンラインが主流?ドイツのクルマ好きたちのオフ会事情
守屋 健
多くの自動車クラブは、今まで直接顔を合わせていたイベントをオンライン上に切り替え、「オンラインマーケットプレイス」や「オンライントークミーティング」など、様々なイベントを企画し、運営を続けています。とはいえ、新型コロナが沈静化した際には、再びリアルイベントが続々と開催されるようになるでしょう。
今回のドイツ現地レポは「ドイツでもオフ会的な集まりはあるのか?」というテーマでお届けしたいと思います。結論を先に言ってしまうともちろん「ある」のですが、その様子は日本と少しずつ違いがあるようで……筆者の目から見た、ドイツにおけるクルマ好きのオフ会を紹介していきたいと思います。
■ドイツでのオフ会は「自動車クラブ主催」がメイン
まずは簡単に「オフ会」を定義しておきましょう。オンライン上で繋がった人々がオフラインにて、つまり実際に対面で会うイベントが「オフ会」です。自動車好きが集まるオフ会の場合、それぞれが自動車を持ち寄って情報交換をしたり、大きな会場を貸し切ってイベントを企画したり、そこでの繋がりが発展して飲み会がメインになったりと、開催方法についてはそれぞれのオフ会で大きく異なります。
日本では大きなオーナーズクラブが開催する大規模なオフ会から、SNS上の「今そこにいるなら俺も合流するよ」といったやりとりから始まる突発的な小規模オフ会まで、集まる方法も規模も本当にさまざまですが、ドイツではどのような方法で開催されているのでしょうか。
ドイツでは自動車クラブが企画する各種イベントが、いわゆる日本のオフ会に該当しているといえるでしょう。
■格式あるクラブのオフ会は、日をまたぐのが当たり前?
ドイツの大きな自動車クラブの多くは歴史が古く、創設が1900年代初頭にさかのぼるクラブも珍しくはありません。まだ自動車が一般的な乗り物ではなく、特権階級だけがクルマを所持していた時代から、そのまま現在まで存続しているクラブが数多く残っているのです。そうしたクラブの多くは、現在ではクラシックカークラブに姿を変えています。
大きく、そして格式高いクラシックカークラブが企画するイベントは、いまだに当時の雰囲気を色濃く受け継いでいます。日をまたいで開催されるイベントが多く、
・イースターに合わせた春のツーリング
・バーベキューやピクニックを楽しむ夏のツーリング
・秋の真面目なレーシング・ラリーイベント
・家族そろってディナーを楽しむ、新年のレセプション
といった年間スケジュールで、高級ホテルに連泊しながらクラブの人々とゆったり過ごす贅沢な内容となっています。こうしたイベントの日程は年単位で決められ、前年のうちに発表されることも少なくありません。また上記以外にも、春から夏にかけては日帰りや1泊2日の小規模ツーリングが数多く開催されます。
こうした格式あるクラブの公式ウェブサイトには、年会費が明記されていないことも少なくありません。各イベント参加費も含め、いったい年間いくらくらいかかるのでしょうか……
■オフ会の開催場所は駐車場ではなく草地?
もちろん、もっと気軽な自動車クラブは数多く存在します。数の面でいうと、上記のような格式あるクラブはごく一部。車種であったり、年代であったり、クルマの生産国であったり、サーキットやオフロードなど走りの志向であったり、そうした好きなものでゆるく繋がった自動車クラブの方が一般的であるといえるでしょう。
こういったクラブのオフ会は、フェイスブックグループなどで告知され、週末に集うのが一般的な流れです。開催場所として選ばれるのは、多くの場合どこかの草地、農場、休耕地になります。
ドイツは日本ほど人口集中しておらず、また国土のほとんどが平坦であるため、街と街の間には「何もない空き地」がまだ数多く残っているのです。こうした場所を利用すれば、周囲にも迷惑はかかりませんし、なによりお金もそれほどかかりません(もちろん大前提として、その土地の持ち主との相談は欠かせません)。その点については、オフ会の開催場所でたびたび問題となる日本と大きな違いがあるといえるでしょう。
■活発化するオンラインでの交流
SNS上での突発的な小規模オフ会も、走り好きの若者を中心に開催されているようです。しかし現在(2021年2月2日時点)は新型コロナ対策で接触制限が厳しくなっているため、大規模・小規模問わずオフ会の開催は実質不可能となっています。
多くの自動車クラブはオンラインでミーティングを開いており、参加者の募集も打ち切りにしたりはせず、むしろ「ぜひこの機会にお話しだけでも参加してください。そしてコロナが沈静化したあかつきには、みなさんでお会いしましょう」とオープンに呼びかけているところが多く見受けられます。また、パーツやクルマを売買できる、自動車クラブ運営の「オンラインマーケットプレイス」もかなり盛況のようです。
今はまだ、じっと耐えるとき。再びリアルで会えることを信じて待つことしかできませんが、こうしたオンラインミーティングがドイツのクルマ好きにとっても心のよりどころとなっているのでしょう。筆者自身も、この状況が一刻も早く過ぎることを願わずにはいられません。
[ライター/守屋健]