ドイツ現地レポ
更新2015.12.16
不動の人気はやはり「SUSHI」~ドイツの食事情 日本食編~
NAO
「和食が食べたい!!!」淡い出汁の味、焼き魚、おいしいお米…肉肉肉!のドイツフードに囲まれて生きていると、何度心の中で叫んだことか…これはドイツに限らず海外在住者なら必ず思うこと。日本でこんなの見たことないぞ…と創作力溢れる「なんちゃって和食」があるのも海外あるあるの一つ。筆者の住んでいるドイツ東部は在住日本人が少ないこともあって日本食を食べられる機会が本当に少なく、日本の味を恋しがる日々です。かと思えば欧州最大の日本人街、西ドイツのデュッセルドルフでは「そんな悩みないんだろうな…」と思えるほど充実した本格日本食レストランや食料品店が並んでいたりと、どれだけ日本食がドイツに浸透しているのかというのは地域によってかなり差があります。一体「日本食」はドイツではどのような地位を獲得しているのか?今回はドイツにおける日本食の存在についてご紹介します。
果たして日本食はドイツ人にウケているのか?
お寿司にしても醤油を「どっぷり」つけて食べるドイツ人。味噌汁にも醤油、白ごはんにも醤油。一時期ドイツの日本食レストランで働いていた筆者もこの光景は何度も目にし、挙句に「チリソースはないの?」と聞かれる始末。そもそも日本人には「味蕾(みらい)」という「うま味」を感じられる舌の細胞が欧米人よりも多いために、だしの味にも敏感で、お吸い物などの薄味でもおいしいと感じることができるようです。欧米人は日本人と比べると味蕾の数が少ないために同じものを食べても「味がない」と感じてしまい、ついつい塩味が強いものを好む傾向にあるようです。
しかしその割にドイツ人は栄養価にうるさい。食品成分表を眺めては「これは体にいい」「これは脂質が多いから…」などと食事内容に気を使う人が多く、さらにはヴィーガン(完全菜食主義者)や宗教上の理由で食べられるものが制限されている人も日本と比べると多いので、肉文化のドイツの中で魚や昆布だしで味を付ける「日本食」というのは彼らにとってかなり有難い存在になっているのは間違いありません。そして近年スーパーやレストランで確固たる地位を得たのは豆腐。日本では菜食主義などの認識は世界と比べると低いですが、宗教や動物愛護の点からヨーロッパは動物性食品に対してかなり敏感です。そんな中、日本の精進料理からヒントを得て大豆を加工した食品などがドイツ人の心をつかんだようです。「TOFU」とそのまま日本語読みで言いますし、肉に似せて加工しやすいこと、おいしくヘルシーであることが評価されています。
ドイツでも不動の人気「SUSHI」
世界的に日本食の名を知らしめたのはやはり寿司でしょう。ドイツも数年前に「SUSHI」(ドイツ語では「ズーシ」と読む)ブームが起き、「私、お寿司大好きよ!」と言ってくれるドイツ人が多いです。そしてホームパーティでは必ず「日本人だったら寿司を作ってくれ」と頼まれるほど「日本=SUSHI」は浸透しています。しかし日本人が握った寿司が食べられるところは案外少なく、ベトナム人や中国人が経営しているアジア料理店で販売していることがほとんど。そこで出されるお寿司は日本人からすれば「これが寿司…?!」と思ってしまうこともあるのですが(ちなみに筆者は一度レストランでスライスした豆腐のみが乗せられたにぎり寿司を出され衝撃を受けました)、お箸でお寿司を美味しそうに食べているドイツ人を見るとやはり嬉しくなってしまいます。しかしただでさえ海産物が少ないドイツでの寿司はやはり高額。スーパーで売られているパック寿司も5~7ユーロくらいの値段になってしまいます。
スーパーではわずかながらの魚加工品コーナーにお寿司が並びます。新鮮な魚が手に入りにくいので、握りよりも巻きずしが定番でネタは野菜やツナ、カニカマなどの加工品が使われていることが多いです。油も肉も使わない寿司はベジタリアンでも宗教で肉が食べられない人でも食べられるものなので日本食の中でも支持率は特に高いです。
ドイツのシーフードスナック専門店「NORDSEE」は以前より寿司を扱っていますが、こちらは新商品の太巻き寿司。大体的に宣伝しているのでドイツでいかに寿司が人気かわかりますね。
寿司だけじゃない!ドイツで広がりつつある日本食
寿司は比較的ドイツ国内様々な都市で食べることができます。ですが寿司だけでなく、ドイツ人に人気を博しているのは「ラーメン」だったり「鉄板焼き」だったり。日本人が多く住む都市に行けば、丼ものや焼き鳥など日本らしいディープなものが食べられるため、これを求めてやってくる日本ファンのドイツ人も多いです。
ラーメンはフランスからブームが始まってドイツにも最近上陸。こんな本格的なラーメンがドイツでも味わえます。
大型スーパーでは日本メーカーのインスタントラーメンを必ず見かけますが、これが日本の食べ物だと知っているドイツ人は少なそうです。
最近は日本のスナックとして「おにぎり」もブームの兆しがきており、スーパーや大学の購買などで見かけるようになりました。さらにオーガニック食品店などに行けば味噌や梅干し昆布など、日本食に欠かせない調味料や食材が販売されるようになり、健康な食事は日本食!という認識がされているようです。
ロンドンやパリと比べるとドイツでの日本食の認知度はまだ低いように思います。そしてこれはドイツに限った話ではないですが、その土地の人の舌に合うようにアレンジされてしまうのも現実。海外で限られた食材を使って「本場の味」と言うのは難しい話です。しかし近年寿司だけではなく、より様々な日本食の素晴らしさを広めようと在住日本人の方や日本企業がどんどんドイツの飲食業界に進出してきているため、これからのドイツにおける日本食の状況は更によい方向へ変わっていきそうです。日本食がさらにドイツの人々に親しまれる存在になっていってほしいですね!
果たして日本食はドイツ人にウケているのか?
お寿司にしても醤油を「どっぷり」つけて食べるドイツ人。味噌汁にも醤油、白ごはんにも醤油。一時期ドイツの日本食レストランで働いていた筆者もこの光景は何度も目にし、挙句に「チリソースはないの?」と聞かれる始末。そもそも日本人には「味蕾(みらい)」という「うま味」を感じられる舌の細胞が欧米人よりも多いために、だしの味にも敏感で、お吸い物などの薄味でもおいしいと感じることができるようです。欧米人は日本人と比べると味蕾の数が少ないために同じものを食べても「味がない」と感じてしまい、ついつい塩味が強いものを好む傾向にあるようです。
しかしその割にドイツ人は栄養価にうるさい。食品成分表を眺めては「これは体にいい」「これは脂質が多いから…」などと食事内容に気を使う人が多く、さらにはヴィーガン(完全菜食主義者)や宗教上の理由で食べられるものが制限されている人も日本と比べると多いので、肉文化のドイツの中で魚や昆布だしで味を付ける「日本食」というのは彼らにとってかなり有難い存在になっているのは間違いありません。そして近年スーパーやレストランで確固たる地位を得たのは豆腐。日本では菜食主義などの認識は世界と比べると低いですが、宗教や動物愛護の点からヨーロッパは動物性食品に対してかなり敏感です。そんな中、日本の精進料理からヒントを得て大豆を加工した食品などがドイツ人の心をつかんだようです。「TOFU」とそのまま日本語読みで言いますし、肉に似せて加工しやすいこと、おいしくヘルシーであることが評価されています。
ドイツでも不動の人気「SUSHI」
世界的に日本食の名を知らしめたのはやはり寿司でしょう。ドイツも数年前に「SUSHI」(ドイツ語では「ズーシ」と読む)ブームが起き、「私、お寿司大好きよ!」と言ってくれるドイツ人が多いです。そしてホームパーティでは必ず「日本人だったら寿司を作ってくれ」と頼まれるほど「日本=SUSHI」は浸透しています。しかし日本人が握った寿司が食べられるところは案外少なく、ベトナム人や中国人が経営しているアジア料理店で販売していることがほとんど。そこで出されるお寿司は日本人からすれば「これが寿司…?!」と思ってしまうこともあるのですが(ちなみに筆者は一度レストランでスライスした豆腐のみが乗せられたにぎり寿司を出され衝撃を受けました)、お箸でお寿司を美味しそうに食べているドイツ人を見るとやはり嬉しくなってしまいます。しかしただでさえ海産物が少ないドイツでの寿司はやはり高額。スーパーで売られているパック寿司も5~7ユーロくらいの値段になってしまいます。
スーパーではわずかながらの魚加工品コーナーにお寿司が並びます。新鮮な魚が手に入りにくいので、握りよりも巻きずしが定番でネタは野菜やツナ、カニカマなどの加工品が使われていることが多いです。油も肉も使わない寿司はベジタリアンでも宗教で肉が食べられない人でも食べられるものなので日本食の中でも支持率は特に高いです。
ドイツのシーフードスナック専門店「NORDSEE」は以前より寿司を扱っていますが、こちらは新商品の太巻き寿司。大体的に宣伝しているのでドイツでいかに寿司が人気かわかりますね。
寿司だけじゃない!ドイツで広がりつつある日本食
寿司は比較的ドイツ国内様々な都市で食べることができます。ですが寿司だけでなく、ドイツ人に人気を博しているのは「ラーメン」だったり「鉄板焼き」だったり。日本人が多く住む都市に行けば、丼ものや焼き鳥など日本らしいディープなものが食べられるため、これを求めてやってくる日本ファンのドイツ人も多いです。
ラーメンはフランスからブームが始まってドイツにも最近上陸。こんな本格的なラーメンがドイツでも味わえます。
大型スーパーでは日本メーカーのインスタントラーメンを必ず見かけますが、これが日本の食べ物だと知っているドイツ人は少なそうです。
最近は日本のスナックとして「おにぎり」もブームの兆しがきており、スーパーや大学の購買などで見かけるようになりました。さらにオーガニック食品店などに行けば味噌や梅干し昆布など、日本食に欠かせない調味料や食材が販売されるようになり、健康な食事は日本食!という認識がされているようです。
ロンドンやパリと比べるとドイツでの日本食の認知度はまだ低いように思います。そしてこれはドイツに限った話ではないですが、その土地の人の舌に合うようにアレンジされてしまうのも現実。海外で限られた食材を使って「本場の味」と言うのは難しい話です。しかし近年寿司だけではなく、より様々な日本食の素晴らしさを広めようと在住日本人の方や日本企業がどんどんドイツの飲食業界に進出してきているため、これからのドイツにおける日本食の状況は更によい方向へ変わっていきそうです。日本食がさらにドイツの人々に親しまれる存在になっていってほしいですね!