
ドイツピックス
更新2017.04.12
エンツォが遺した究極のマシン、フェラーリF40に迫る!

NAO
「キングオブ・フェラーリ」の名を持つフェラーリF40

だからと言って今焦って見込み違いの買い方をする前に、コンディションをチェックして然るべき値段で購入しましょう。今回は専門家のアドバイスを基にフェラーリF40の購入時の目の付け方をご紹介します。
まずはフェラーリF40の名前の由来とは?
冒頭にあるように、フェラーリF40の名前の由来はいわずもがな「フェラーリ40周年」モデルです。また、創設者であるエンツォ・フェラーリを喜ばせようとして造られたといわれるモデルだといわれています。
フェラーリF40が正式発表されたのは1987年7月21日、エンツォ・フェラーリが死去したのは1988年8月14日。結果として、エンツォ・フェラーリ自ら発案し、生前最後のモデルがこのフェラーリF40となりました。気づけばもう、30年近く前のできごとなのです。
まずはフェラーリF40のボディーをチェック
工場出荷の時点で、加工のクオリティに関しては特別なものでもありませんでした。オリジナルのものを見れば確実ですが、多くの部分において当時開発されたばかりのカーボン・ケブラーの複合素材が使われています。そして多くのオーナーが購入後に新しくボディーを塗りなおしていると思われますが、ただ単に塗り直しただけなのか、事故損傷の修理跡をカバーしたのかはしっかり見ておきたいところです。
そしてアメリカ仕様のF40モデルには発泡ゴムタンクが備わっているのですが、これは10年ごとに新しく交換する必要があります。中古車で購入する場合、すべてのクルマにおいて言えることですが、以前から内部まできちんとメンテナンスされていたかをチェックする必要があります。その他に考えられる破損の恐れは、シートカバーが擦り切れていないか、モーター部の耐熱板が壊れていないか、スライド式ウィンドウが壊れていないかなどの点が挙げられます。
フェラーリF40のテクニカルな部分も忘れずに
フェラーリF40の場合、表示されているキロメーター数と実際の走行距離が異なる場合があります。そのため、メーターの数字を鵜呑みにせず、定期的なオイル交換と最後にタイミングベルトを交換した日を照らし合わせて、自らメンテナンス記録を取っておき、手元に残しておいた方がよいでしょう。
F40は燃料部系が弱く、オイル漏れが多いという話しもよく聞きます。特に、初期のF40においては、高温状態のタービンがすぐに止まることで、冷却オイルがターボ部分にまで逆流してしまい、ターボチャージャーが壊れてしまうという例が多いようです。そして、下部のサスペンションフォークは、前後ともに工場出荷時の仕様に応じて交換されていなければなりません。オプション仕様のアクティブサスペンションを使用している場合は、オイル漏れする可能性が非常に高くなります。そして、シリンダーヘッドとバルブカバーからタイミングベルトにオイルが流れ出ることもあり、走行距離の少ないF40だと、クラッチレリーズシリンダーのオイル漏れと同様よくあるトラブルです。燃料系のトラブルはターボ車両にとっては命取りです。実際燃料やオイル漏れが原因で火災が起きているケースも多いため、ここは注意しておきたいところです。
フェラーリF40の前期型/後期型の違いは?
結果として1998年から数年間にわたり生産されたF40には、さまざま差異があります。一番の大きな変更点は1990年後期モデルから採用されたキャタライザーでしょう。エアクリーナーの形状変更および塗装がブラックからシルバーへ。ウエストゲートにはダクトが、エンジンフードには断熱材が備えられました。フューエルメーターの仕様変更やオイルキャップの形状変更、カウル下部の塗装がブラックになるなど、変更は細部に及びました。
また、1992年モデルからはカラーコードが変更となり、それまでのフェラーリレッドとは発色が異なります。ボディカラーは基本的にレッドのみ。わずかながらイエローのF40が造られたという節もあります。ブラックやその他の塗装はオールペイントなのです。
日本に正規輸入されたフェラーリF40の台数は?
諸説あるようですが、日本に正規輸入されたフェラーリF40の数は59台。1台はかつて松田コレクションに収蔵されていたコンペティツィオーネも含まれます。並行輸入車を含めると優に100台は生息していたといわれているF40。クラッシュした個体や海外へと流失していった個体など、その数は減る一方です。
その後のF50、エンツォ・フェラーリ、そしてラ・フェラーリがそうであるように、F40もまた選ばれた顧客のみが正規ディーラーで手にすることができる特別なモデルであることに変わりはありません。
フェラーリF40の価格は?
良い状態のフェラーリF40なら価格は約980000ユーロ(約1億3400万円)。最新のオークションの結果に基づいての算出ですが、更に価格上昇していく可能性があるとのことです。今後、あと4台のF40が売りに出されるそうですが、どのような状態であるかはまだ明らかにされていないので、価格も未だ謎のままです。
日本で売られていたフェラーリF40の最高額は?
いまでは車両本体価格が数億円というスーパーカーも珍しくありませんが、日本におけるフェラーリF40の車両本体価格は4500万円(正規ディーラー車)でした。バブル景気の象徴のような扱いを受けることになってしまったF40ですが、投機目的で欲するユーザーが急増。それに伴い、F40をはじめとする各フェラーリの価格も上昇していきます。
ピーク時にはテスタロッサの新車が5000万円(ディーラー車のほぼ倍)、F40に至っては2億5千万円(ディーラー車の5倍以上)もの価格で売りに出されていました。その後、バブルの崩壊や一連の高騰相場の沈静化でテスタロッサの中古が500万円台、F40が3000万円くらいで購入できた時代も「確かに」ありました。その後のV字回復ならぬV字高騰をただただ呆然と眺めているしかできないことを歯がゆく思う方も多いのではないでしょうか。
フェラーリF40の要チェックポイント
1.事故時の傷(塗装で隠れている場合がある)
2.ゴムタンクの劣化
3.メンテナンスの怠り
4.下部サスペンションフォークの損傷
5.ターボの故障
6.耐熱板の故障
7.クラッチレリーズシリンダーのオイル漏れ
8.ブレーキロックのひび割れ
9.サスペンションの閉まり
10.アクティブサスペンションのオイル漏れ
1987年から5年間で1331台生産されたフェラーリF40。最近は財産や投資として買うより、実際に走行するために購入する人が増えているのだそうです。そのためにも一貫して、最高のコンディションでなければありません。購入する前に、車両の状態をよくチェックしておきましょう。F40を乗りこなしたいのならば、膨大な維持費がかかってしまうのは言うまでもありませんが、それ以上にF40を所有する喜びの方が大きいことは間違いありません。
出典・参照元:http://www.auto-motor-und-sport.de/
さて、そんなフェラーリF40の珍しい動画がありましたので、最後にここでご紹介します。
ドバイの街中に佇む、ブルーのフェラーリF40
ドバイの街中に停車しているフェラーリの車列。リバティウォークが手掛けたと思われる、フェラーリ458の姿も見られます。
カメラマンの男性が、気になるクルマを解説つきで撮影していきます。歩みを進めていく先に見えたクルマは…?ブルーにペイントされたフェラーリF40を見つけるなり、テンションアップ!後ろに停まっている458スペチアーレと同系色のため、注目度抜群です。
イエローやブラック、ホワイト、ブルーメタリックなどにペイント(もしくはラッピング)されたF40は存在しているようですが、それにしてもこの色にペイント(ラッピング?)するとは思い切りましたね…。
世界に1台?マットアーミーグリーンに塗られたフェラーリF40
Youtubeで動画検索をしていると、ときどき「!?」なものに遭遇します。今回見つけた動画は、アーミーグリーン(マットカラー)に塗られたフェラーリF40です。日本でも、イエローやホワイト、ブラックに塗られたF40は見かけますが、さすがにこの色は存在しないのではないでしょうか?
アメリカ仕様のF40でしょうか?ホイールやブレーキ周りは交換されていますが、マフラーや内装はノーマルのままのようです。走り去る姿を携帯で撮る光景は万国共通ですね。
[ライター/NAO・CL編集部]