更新2023.08.06
初開催は2007年!主催者が語る「エキサイティングポルシェ(EXCITING PORSCHE)」を続ける理由とは?
松村 透
ポルシェに関連するイベントとしてすっかり定着したエキサイティングポルシェ(EXCITING PORSCHE/略称:EXP)。秋の横浜赤レンガ倉庫に150台ものポルシェがずらりと並ぶ光景は実に壮観といえます。
今年のエキサイティングポルシェは11月12日(日)に開催が決まりました。間もなくエントリーが開始されるとのことで、エキサイティングポルシェの主催者である石田学さんにこのイベントが実現するまでの経緯、嬉しかったこと、辛かったこと、ポルシェに対する想いなど、じっくりと伺いました。
本題に入るまえに最初にひとこと、いわせてください。
好きでなきゃここまでできないし、続けられないと思います・・・。
── エキサイティングポルシェ(旧エキサイティングポルシェミーティング)がはじまったのは何年ですか?
2007年(平成19年)です。
── エキサイティングポルシェ(旧エキサイティングポルシェミーティング)を開催しようと思ったきっかけを教えてください
初回開催からさかのぼること2年ほどまえ、2005年(平成17年)頃のことでした。
たまたま犬の散歩で横浜赤レンガ倉庫を歩いていたら、ロールスロイスのオーナーさんがクラブミーティングをやっていたんです。クラブ名は「Rolls-Royce and Bentley Owners’ Club of Japan」だったと思います。偶然、知り合いの方が参加していて、「赤レンガ倉庫にクルマを並べられるんだよ」という話を聞かせてもらった瞬間に「これがポルシェでできたら素敵かも!」と閃いたのがそもそもきっかけです。
そこから紆余曲折があったものの、赤レンガ倉庫を借りられそうだという目処がたったのが2007年の春頃。そこから準備して11月に開催できたんですね。
── エキサイティングポルシェ(旧EPM)のコンセプトを教えてください
イベントがはじまった当初は、ネットやSNSなどで知り合った人たちがリアルに出会える場になればいいなと思って「EXCITING PORSCHE MEETNG(EPM)」という名称にしたんです。ネットでも情報交換ができますが、やはりリアルに会って、しかも実車を前にして話せますから。
5年前に"エキサイティングポルシェ(EXCITING PORSCHE)"に改称したんですが、参加者の皆さんの大切な愛車、自慢の愛車をお披露目する場だと考えています。
── 横浜赤レンガ倉庫を会場に選んだ理由は?
「ポルシェマニア」と呼ばれる方たちとギャラリーの方たちとの距離が近いことです。エキサイティングポルシェが開催されていることを知らずに赤レンガ倉庫に来て、「ポルシェがたくさん並んでいる」と驚かれるようです。
遠方からいらっしゃるオーナーさんのなかには横浜観光を兼ねているようです。赤レンガ倉庫に愛車を置いて、近隣のショッピングモールや観光スポットに行く方もいらっしゃいますね。
── 横浜赤レンガ倉庫で開催するのはかなりハードルが高いと思うのですが・・・
受付はイベント当日の1年前からで、企画書を作成し、運営会社に送付、審査のうえ承認されると仮予約となります。毎回、必ず審査があり、そのたびに承認してもらえるという保証はありません。もしかしたら、今年が最後となる可能性もゼロじゃないんです。
── 今年が最後になる可能性もゼロじゃないわけですね
そうなんです。何らかの事故やトラブル、例えば参加者のポルシェと来場者の方が接触して事故を起こしてしまったら……。来年の審査に影響する可能性はあります。あと、イベント終了後に「原状復帰」という行程があり、赤レンガ倉庫の建物を破損させたり、オイル漏れなどで地面を汚したままにして返却しても来年の審査に影響する可能性があります。
幸い、多くの参加者の皆さまにご協力のお陰で継続できていますが、事故やトラブル、器物の破損などが原因で来年以降、エキサイティングポルシェが開催できなくなるかもしれない……ということは知っておいていただけると大変助かります。
── 毎年11月第2日曜日に開催されますが、いつ頃から準備を始めるのですか?
イベント開催の翌日からです(笑)。ひとまず来年の11月第2日曜日のスケジュールを押さえることからはじまります。
── 実際に何人くらいのスタッフで運営しているのですか?
コアメンバーは私ともう1人の方で、公式サイトやSNSの管理・運営は私が1人で行っています。あと、イベント当日は、早朝からボランティアスタッフの皆さんにご協力いただいています。
17時にイベントが終了したあとに片付けを開始します。最後に床面の汚れなどを全部チェックして、会場の担当者の人に報告。その後、会場に残っていた来場者の方やスタッフの皆さんとかを見送って、私が出るのが19時を過ぎたぐらいです。
── EPMからエキサイティングポルシェに変更した理由は?
まずEPM第1回から10回目までは"EXCITING PORSCHE MEETNG(EPM)"というイベント名でした。Mはミーティングの頭文字なんですね。「M」があるかないかの違いなんですけどね。
11回目からミーティングを外して"EXCITING PORSCHE"に変更したのは、単なるミーティングにとどまらず、ショー的な要素を取り入れたかったんです。大々的に告知したわけではないので、いまも"EPM"と認識している方も多いかもしれませんね(苦笑)。実は"EXCITING PORSCHE(エキサイティングポルシェ)"が現在の正式名なんです。
── エキサイティングポルシェにエントリーするポルシェで比率が高いモデルは?
やはり911が多いですね。なかでも空冷エンジンの911が多いように思われがちですが、最近は911だけでなく、ボクスターやケイマンなども含めると水冷モデルと同じくらいの割合なんです。
モデル別でいうと964や993あたりが最大勢力ですね。
── 過去のエントリーカーでもっとも驚いたモデルは?
ポルシェ962Cですね。ロスマンズカラーとブラックのシュパンポルシェです。
── ぜひエントリーして欲しいというモデルを聞かせてください
356ですね。ナローポルシェは増えてきたので、356オーナーの皆さん、お待ちしております!あと、550スパイダーのオーナーさんもこれまでエントリーがなかったので、ぜひお待ちしております!
── これまでで辛かったエピソードがあったら聞かせてください
正直、参加者の方から怒られたこともありましたね。理不尽なことをいわれてグッと堪えたこともありましたよ。ただ、ルールを守っていただくためには毅然とした態度を取らざるを得ない場面ってあるんです。事故やトラブルが原因で、来年からエキサイティングポルシェが開催されないという事態は避けたいですから。
── これまでで特に嬉しい・思い出に残るエピソードを聞かせてください
イベント終了後、参加者の皆さんが帰路につくときに「また来年も来ますよ!」っていってくださることに尽きます。このひとことで辛かったこと、大変だったことすべての苦労が報われます。
── 石田さんに伺います。昨今の空冷バブルについて思うところは?
私自身、1984年式の911カレラを所有していますが、少し前まで「頑張れば手が届く」だったはずの空冷911が、ずいぶん遠い存在になってしまった気がしています。
── 今後のポルシェはどうなっていく、またはどうなっていって欲しいと思いますか?
あらゆる自動車メーカーが電気自動車へとシフトしている印象を受けますが、個人的には「EVにシフトすることは果たしてエコなんだろうか?」と感じることも事実です。ポルシェに関していえば、eフューエルの生産にも乗り出していますし、EV化と平行して内燃機関が生き残る手段を模索していってほしいなと思います。
── 募集開始はいつ頃ですか?今年のテーマやエントリー可能なポルシェは?
第1回目の受付は8/20(日)に100台程度を、第2回受付9/24(日)に残りの台数を募集します。
昨年の募集が午前0時から開始して、翌朝9時くらいにはエントリー締め切りになってしまったんです。お仕事の都合や、翌朝にエントリーしようと思っていたらすでに募集締め切りになっていた方もいらっしゃったと思います。そこで今回はエントリーを2回に分けて行います。
── どんな方に観て(来場して)いただきたいですか?
ポルシェについてあまりご存知でない方、購入を検討していらっしゃる方、現時点でクルマを探していらっしゃる方には特にお越しいただきたいです。会場内でしたら、クラシックから最新モデルまで、さまざまなポルシェが一堂に会します。気になるモデルのオーナーさんに話し掛ければ、きっといろいろと教えてくれるはずです。
── エントリーした方にイベント当日「これだけは知っておいて」欲しいことはありますか?
エントリーする方に改めてお願いしたいことは「来年以降もエキサイティングポルシェが継続できるよう、運営サイドが定めたルールを守っていただければ・・・」です。また、ギャラリーの方にお願いしたいのは、会場内の駐車禁止エリアにクルマを停めている方がいらっしゃるようなので、コインパーキングなどを利用してくださいと、この場を借りてお伝えいたします。
── 開催を心待ちにしているポルシェファンおよびオーナーへメッセージを!
エントリーした方、皆さまが主役のイベントです。今年も皆さまとお会いできることを心待ちにしています。私自身、エキサイティングポルシェはライフワークのようなものなので、体力が続く限り続けたいと思っています!
── 取材後記
冒頭に記したとおり「好きでなきゃここまでできないし、続けられない」。
イベントに参加した方たちが「今日は楽しかった!いい一日だった」と思えるのも、その影で石田さんをはじめとするスタッフの皆さんの影の努力があってこそ。
毎回、事故やトラブルがなく、無事にエキサイティングポルシェ終わるのはあくまでも「結果論」であって、実は『簡単なようでものすごく難しい(大変)』だということを改めて実感しました。
今年はもちろんのこと、来年以降も エキサイティングポルシェが開催できるよう「トラブルや事故、あとは施設の破損や汚れ」にも気を配ることを肝に銘じる必要がありそうです。
タイトルにもある、主催者の石田さんが「エキサイティングポルシェ(EXCITING PORSCHE)」を続ける理由とは?
ポルシェが好きで、もはやライフワークといえるほど、石田さんご自身にとって大切な存在だからなのです!
[ライター・撮影/松村透]