ドイツ現地レポ
更新2017.02.23
ポルシェ911で教習可!? 日本とは違うドイツの自動車教習所事情
NAO
しかし免許を持っていない、切り替え有効期間を過ぎてからドイツで免許が必要になってしまった!といった時にはドイツで教習所に通わねばなりません。今回は日本とは少し違ったドイツの自動車教習所についてご紹介します。
教習所えらび:全国で17000件、日本の約10倍
ドイツの自動車教習所は1つの街の中でもかなりの数があります。日本のように広い敷地があるわけではなく、パン屋さんや洋服屋さんの間にあったりと、パッと見は分からないかもしれません。ドイツの教習所は個人でやっている場合がほとんどで、そこには教習車数台と小さな教室兼オフィスのみ。日本とは違って教習所内の練習はなく、初日から路上実習に出されます。
数が多いのもあり、教習所選びはなかなか大変なもの。先生の評判や料金、集中コースの有無・・・私たちのような外国人の場合、英語でも対応してもらえるのかというのも重要。
学科と実習:プランは自由に組み込める
▲教習所側もいろいろとウリを出していて、「うちはミニクーパーで運転できます!」など様々。驚いたのは筆者の住む地域にある教習所の「ポルシェ911で教習可」というすさまじいプラン
教習所によってやり方は様々ですが、基本教科書は自分で購入せねばならず値段は結構高め。そのため学生当時の私の周りはWEB版テキストをみんなで割り勘購入→シェアし合って使っている子が多かった記憶がありますね…。受講時間数は日本ほど多くはありません。
実習日等は直接先生に電話してアポを取るのが普通。受講時間前後に他の実習生がいる場合はその生徒、または教官が自宅まで運転して来るパターンが多いです。それぞれの習熟度によってその日やるテーマや実習時間も変わってきます。早い人では6時間の実習だけで免許を取った人もいたとか。
学科教習を全て終えると、卒業試験前に学科試験と救護演習を受けるよう言われます。学科筆記試験はこれっきりで、教習所ではなくDEKRAなどの車検場で受験します。救護演習はその街の赤十字センター等で受講が可能で、その際に視力検査などをします。
卒業検定:チャンスは3回。6回落ちると…
▲ドイツの教習車。一見わからないがサイドミラー上にもう1つミラーがある
先生にもう卒業試験受けてもいいころだと判断されると、免許センターで受験予約を取ります。当日は先生と免許センターの担当者(試験官)が同乗し街中を走行。助手席のブレーキペダルには白い布が巻かれ、それを一度でも先生が踏むと即失格となります。無事合格すると、その場で試験官から紙製の免許証が貰え、正式な免許証カードは後日郵送で届きます。
日本では卒検や仮免試験に何度も何度も落ちてやっと受かった!なんて話をたまに聞きますがドイツでは3回不合格だった場合、最低3か月待たないと再試はできません。その後もう一度チャンスをもらいますが、そこでまた3回、つまり計6回落ちると一生ドイツで免許を手にすることはできません。
ドイツのこの「3回ルール」は教習所だけでなく大学などでも同様で、3回真剣にチャレンジしても合格しなかった場合はそこで「適性がない」とみなされ、さっと切り捨てられてしまう厳しい世界なのです…。
運転免許の期限は?教習のコストは?
無事運転免許を交付されたら、気になるのが更新期限。ドイツはつい数年前までは終身免許で、顔写真も免許交付時からずっと変わりませんでした。現在は更新制になりましたがそれでも15年更新というから驚きですね。
教習所にかかる費用は、それぞれですが平均15~20万円ほど。日本のように全込のパックプランなどは珍しく、それぞれ学科、実習1コマいくらと決まっていて教習所最終日に今までかかった受講時間で計算されます。ちなみにドイツではMT車がほとんどで、教習所でAT免許選択となるとやや割高となります。
日本と比べると、教習所以外にも様々な機関に行って受講や手続きをしなければならなかったり、初日からいきなり公道やアウトバーンを走らされるドイツ。全く運転したことない人からするとドイツでの教習はなかなかヘビーなものかもしれませんね。