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更新2019.11.24
総エントリー数323台!富士山麓に集う魅惑のポルシェたち『クラポルパ2019』
細谷明日葉
美しい富士山を背景に、延べ300台以上ものポルシェ!ポルシェ!!ポルシェ!!!
往年の356から最新の992まで、長きにわたり愛される唯一無二の世界観を堪能してまいりました。
▲なんて贅沢な景色!山麓なので寒いかな?と思い上着を持って出発しましたが杞憂でした。だって会場はポルシェ熱であふれかえっていたのですから
▲富士スピードウェイというだけで、もうゲート入場の時点から興奮度が急上昇
それではさっそく、モデル毎にご紹介してまいります!
ポルシェと言えば! 911(911・912/ナロー)編
『ナロー』の愛称で親しまれ、このモデルこそに強いこだわりをお持ちのオーナーさんも多い初代911。現在まで引き継がれる911スピリットの原点となる特別な世界観は、オーナーさんだけでなくギャラリーをも魅了します。
▲まっさらなオリジナルの外装と赤い塗装が美しいこちらの個体は、オーナーさんと同い年の54歳
▲1968年式でなんと出征証明書まであるという、国内に17台しかない希少なディーラー車なのだそう!
▲911の外装はそのままに、水平対向4気筒を採用した912。国内流通数も少ないため、なかなかレアな存在です
▲911Sタルガ。エンジン・ミッションともにナンバーマッチングしており、硬派な個体と思いきや、シートがボディカラーとコーディネートされており、ボヘミアンテイストすら感じられるオシャレな逸品
▲ナナサンカレラこと1973年式RS。以前はサーキット仕様になっていた内装を、現在のオーナーさん自ら当時品を探し出しては付け替えを楽しまれているのだとか!
※カレントライフのオーナーインタビューでもご紹介している個体です
https://current-life.com/owner/carerra-rs-kamiya/
▲こちらも同じくナナサンカレラ。所有歴は25年で、コツコツとオリジナルに戻しているのだそう
▲白いボディに真っ赤なアクセントカラーが晴天の中でひときわ映える、911Tをベースとした73RS仕様。モービルのお馬さんやホイヤーロゴもいい味出しています!
▲フォグランプがついた姿もいいですね!ステッカーやバッジ類も所属クラブ名を冠するもので見ごたえがあります
個性豊かな個体多数! 911(930)編
バンパーが大型化したルックスが特徴的な930。ビックバンパーなどと呼ばれています。70年代はアメリカ市場を視野に入れるべく、ポルシェに限らずこのような安全基準の見直しが盛んだった時期ですね。ターボモデルが誕生したことも相まったのか、スパルタンな個体が多かった印象です。
▲1977年式911S。購入後早々にサーマルリアクター問題を解消しているそう。そして特筆すべきは北米仕様として設計されたヘッドライト形状…。ポルシェ通の間では驚愕な呼び方をされているようですが、筆者の口からはちょっと申せません(お察しください)。ヘッドライトウォッシャーが付いていますね…と話をそらしてみます(笑)。いずれにしても、貴重な個体であることは確かです
▲こちらも元はビッグバンパーだった個体をナロールック(しかもワイドフェンダー)に変更、さらに3.6リッターに換装してしまった脅威の個体!どんな走りを見せるのでしょう…
▲オリーブ色のボディにベージュのホイールが、なんともレトロチックで素敵な1台。可愛い手押しグルマと演出されているところにも、オーナーさんのサービス精神が感じられますね
▲オーナーさんと同じ生まれ年の1980年式SC。コーニックブラウンという純正色で、極力オリジナルコンディションを保ちながらポルシェライフを満喫されているそうです
▲出店者ブースに展示してあったSC-RS。1989年ターボベースのレプリカとのこと。編集長が激しく反応しておりました。オリジナルのSC-RSは果たして何台日本に残っているのでしょうか…(編集長談)
▲こちらはなんとフルFRPボディを纏っている930。内装もスパルコのシートにロールケージと、今すぐにでもFSWを走れてしまいそうな1台!
※カレントライフのオーナーインタビューでもご紹介している個体です
https://current-life.com/owner/porsche911-carerra-katsuta/
▲カレラRSR3.0に変身を遂げた完璧なレーシングカー!これだけのポルシェが集結した場所でも存在感を放っていました。まさに目が覚めるような、異色の存在
▲フラットノーズ用のフロントバンパーやサイドエアロの取り入れ方が、スポーティでありながらも非常に上品です。RUFのホイールが組まれていますね
▲そしてやっぱりスピードスターは美しく、その響きもひときわスペシャル!
▲クラブスポーツという名にふさわしく、1,175kgの軽量ボディにレブリミット6,700rpm。外装もとても綺麗な状態を保たれていました
▲1989年に少量のみ生産された大変貴重なターボS。通常のターボモデルよりもさまざまな部分が強化された存在で、知る人ぞ知る左右4本出しのマフラーは必見!
▲ナロー調にモディファイされたカレラ3.2。黄色いヘッドライトにゴールドホイール、ちょっと変わったエンジンフードがとっても目立っておりました
参加台数ダントツ! 911(964)編
販売期間こそ短かったものの、ちょうど日本がバブル時代だった影響か、今でもたびたび見かける964。装備面がグッと現代的になりつつも、空冷の味をも楽しめる…それに加えて従来モデルを踏襲した911らしい前向きな丸目。おいしさいっぱいで人気が高いのも頷けます。RUFコンバージョンの参加があったのも見どころです!
▲漫画『彼女のカレラ』でおなじみ、ルビーストーンレッドのカレラRS。新車で購入後、サーキット向けにマター製ロールバーを装着している以外はほぼオリジナルの状態で、オーナーさんいわく“人生の相棒”!
▲特別展示枠として登場していた、カレラ4をベースとする日本で唯一のシンガーポルシェ!4リッターエンジンにゲトラグ製6速ミッションを積んだその外装は、気品漂うモーブ色
▲同じく特別展示車両のRSR3.8。レース仕様でシートは1座、フロアむき出し、自然吸気で350ps以上を叩き出すハイスペックマシン!
▲スペシャルシャーシ仕様という点が非常に気になるカレラ2。1993年に納車されたワンオーナーカーです
▲ボディとホイールのマリタイムブルーがさわやかな、RUFコンバージョンの964RCT
▲こちらもRUFコンバージョン。オーナーさんのご厚意で内装も見せていただいたところ、ステアリングやペダル類もコツコツとRUF製を集めたそうです。ASM YOKOHAMAモデルのレカロシート・RUBYの赤ステッチも車体と合いますね
▲限定車であるターボS。385psを誇る希少車で、クレーマーレーシングジャパンにてメンテしている個体だそう。アップの写真、まばゆいばかりに輝くキラキラフレーク塗装がおわかりいただけるでしょうか?
▲RSにさらにNGT(グループNのGTクラスの意)が付いた964。車内を見ると実にスパルタン。ステアリング頭頂部に黄色いマーキングが付いているのもレーシーです
▲カーボン製のフロントリップスポイラーがカッコいい1992年式ターボ
▲ちょうど同系色をワンショットに収めることができました。豊富なカラーバリエーションもポルシェの魅力のひとつですね
空冷最後の砦?!911(993)編
依然として空冷人気の高い911。その一番最後のモデルである993は、ポルシェマニアの中でも特別な思い入れがあることでしょう。世代としては“クラシック”と呼ぶにはあともう一息な感じもしますが、当時すでに水冷が当たり前だった背景からすれば、じゅうぶんにクラシカルと捉えることができそうです。
▲特別展示枠に飾られていたテクニカルメイトワンオフ仕様の993。詳細を掴むことは叶いませんでしたが、見た限りでもかなりエアロダイナミクスに力を入れていることがわかります
▲美しいアヴェンチュリーグリーンメタリックの個体は、お父様から引き継がれ、親子2世代で楽しまれているそう。フロントバンパーとリアフェンダーに散らばる“走りの勲章”が力強さを物語っているようです。ポルシェミュージアムで購入されたと思しき同型のミニカーも愛らしい演出
愛され続ける元祖ポルシェ! 356編
最後の空冷モデルまでをご覧いただいたところで、いったん911から離れ時代をさかのぼってみましょう。キュートな356は同じモディファイが2つとなく、オーナーさんの持ち味が生かされていている印象を受けました。
▲ポップなデカール使いで360°どこから見ても楽しい356C
▲ジェントルなグリーンが映えるこちら、オーナーさんと同い年の1953年式ですが、長らくアメリカにあったのち、日本にやってきたのだそう
▲ベルトの雰囲気がボディカラーとマッチしている356A。リアグリルのバッジの数がスゴイです!
▲アウトロー仕様とされたスピードスター、こんなオシャレなオープンカーでドライブしたらさぞ気持ちよさそう!
▲356カレラGTスタイルに仕上げられた356A。去年めでたく迎えたポルシェ70周年のステッカーが
▲ミッレミリアに参加されていると思しきスピードスター。ということは、内外ともにほぼオリジナルを保たれている証でもありますね
▲真っ赤でキュートな356C。積載しているトランクが“グローブトロッター”製なところが何とも粋!
▲特別展示車両にも356の姿がありました。かつてフランス人ドライバーがワンオフで作成したモデルをザガートが9台限定でレプリカ製作。日本にあるのはこの個体のみなのだとか。550スパイダーを彷彿とさせるレーシーでスマートな珠玉の逸品
まだまだありますレアクラシック! 914・928・944・968編
911以外のモデルを一同見ることができるのも、こういったイベントならではの醍醐味!ポルシェ=RRのイメージが強いのですが、通称“ワーゲンポルシェ”の914や、水冷FRなど、数々誕生した多彩なクラシック~ネオクラにも注目です。
▲こんなにたくさんの914が勢ぞろい!!!
▲911Tと同じ6気筒エンジンを搭載した914-6は、特別展示コーナーにてお披露目。オプション設定とされていた大きなフェンダーが特徴的
▲希少な928がここまで並ぶ光景は滅多にお目にかかれないでしょう!重量配分を50:50に近付けた、まさにFRスポーツとして理想的なレイアウトになっています
▲944S2。オーナーさんのコメントにも「絶滅危惧種」と書かれていましたが、確かにそうかも…。希少なおクルマ、ぜひとも末永く可愛がってあげてくださいね!
▲1991年式で最終型の944S2。リアパーセルには数々のポルシェメダルや、ハゼットのフェンダーカバーが!ポルシェ工具と言えばハゼットなので、このような演出はついニヤニヤしてしまいます(工具好きなもので)
▲最後のFRポルシェとされる968。ワンオーナーで、オーナーさん自ら「日本で一番長く968に乗っています」とアピール。この方以上に968に精通した者はいないでしょう!
▲これまたレアなカブリオレモデルの968。フロントに装着されているカバーは飛び石対策でしょうか。このマスク姿でひときわ目立っておりました
進化は現在進行形! 911(996/997/991/992)・ボクスター・カレラGT編
再び911に戻り、今度は水冷となった新たな時代の幕開けを感じてみたいと思います。『クラシックポルシェパーティ』というだけあって、近年モデルの参加は少なくはあるのですが、GT2RSやボクスターの希少モデル、伝説のじゃじゃ馬カレラGTなど、驚かされる存在との出逢いが数多くありましたのでまとめてご紹介。
▲赤い内装に合わせて赤いレカロのシートを入れている996カレラ4S。サーキット走行向けにモディファイしつつも、外装はノーマルの良さを生かしているようです
▲ザンジバルレッドというガン〇ムっぽい名前のボディが美しい996GT3
▲GT3RSと言えばこのツートンなイメージが強い997。さすがスパルタンなルックスです
▲こちらは991型のGT3RS。997と酷似したルックスでありながら、ウィンカーなどの細部にはよりエッジが効いて、より今っぽい風合いに
▲イベントスポンサーの区画に展示されていた991GT2RS!一言「は、激しい…」
▲今年リリースされた世界限定1948台の911スピードスター。この生産台数は1948年に生産された356スピードスターへのオマージュであるがため。おそらくこれが991型の最終モデルとなるのでしょうか?
▲そして場内歴代911の中で最新鋭なのはこちら!992カレラ4Sカブリオレ。長い歴史なだけあって、その起源と最新型を一度に見られるというのは非常に感慨深いものがありますね…
▲ボクスター部門では987から、日本に37台しか上陸していない希少なRS60スパイダーが、なんと2台仲良く並んでお目見えです!(右の個体の助手席には、ドライブ好きなわんちゃんが噛んだあとがあるそうで、そんな可愛らしいエピソードもオーナーさんの歴史の1ページになっているのだとか)
▲プロドライバーをも悩ませるとウワサのカレラGT…!!後付けのタルガのエンブレムに“あえて”感たっぷりなこだわりが感じられます
まとめ~素晴らしきポルシェワールド~
数多くの車両の中から50台あまりをご紹介してまいりましたが、オリジナルを保った個体・モディファイされた個体、どちらもオーナーさんならではの意気込みが感じられました。愛されているクルマって、1つとして同じモノはないのですね!
そしてまた、これほどの台数をすべて見て回っていると、ドイツ車・ポルシェのモノづくりの真摯さがビリビリと伝わってくるものです。
素晴らしい天候とロケーションで、こんなにもたくさんのポルシェたちにお目にかかることができた『クラシックポルシェパーティ2019』、実にディープでハッピーな1日となりました!
EV化が進む世の中ではありますが、古いモノを大切に乗り継いでいくハートにも、ぜひ温情をかけてくれたらなと願ってやみません。『クラシクポルシェ』編集部のみなさま、来年の開催も楽しみにいたしております!
(あっ、そういえば924のお姿を見かけませんでしたので、オーナーさまいらっしゃいましたら来年はぜひ。叶うならば959も…)
▲場内はマーブルチョコみたいでとってもにぎやか
▲同系色が並ぶと綺麗なグラデーションのできあがり
▲人気コンテスト受賞車両に添えられたお花とカード
▲物販コーナーもオシャレ
▲海外メディアも取材に来ていたようです
▲半濁点がヘッドライトになっているイベントロゴにご注目!
[ライター・カメラ/細谷 明日葉]