メンテナンス
更新2020.09.26
最新の錆取りケミカル剤を用いて「旧車の都市伝説」について検証してみた
ユダ会長
以前、ガソリンタンクのなかから出てきた「謎の物体」を紹介していたのだが、それについての内容であった。
「フィアット500の燃料タンクから出てきたのは魚釣り用の、鉛のおもりだと思います。昭和の時代、有鉛ガソリンが廃止されて無鉛ガソリンに替わったとき、有鉛仕様の外車オーナーなどが、ガソリンタンクに鉛のおもりを入れて、鉛が溶けることに期待するという風習があったようです。また、有鉛ガソリン規制以前にも、おもりを入れると「オクタン価」が上がるという都市伝説があり、実際に入れていた友人もいました(愛知県○○さん)」
このお便りをSNSで紹介したところ、まさにオジサン入れ食い状態。
コメントが延々と続いて止まらないのである。。
基本的に旧車都市伝説のネタとスネークマンショーのネタには異常なまでに反応が良いようだ(笑)。
ガソリンタンクに入っていた物体は何だったのか?
結論から先にお伝えしておくと、この物体の正体は未だに謎のままである。
錆だらけのガソリンタンクをオーバーホールしようと思ったらなかからカラカラと音がする。
なかなか出てこないのでマグネットを突っ込んでみても付かない。やっと出てきた物体は何やら石のような結晶のような?
「Old-Timer」の編集長氏曰く、
「当時、投入されていたのは15号という60グラムぐらいの鉛の玉では?そういえば、モータロイという金属錠剤もありましたし、あながちインチキではないかも。ただ、バルブシートリセッションは防止できても、オクタン価には関係ないかと」
磁気に反応しないところからも鉛の可能性が無いとは言えない。
しかし、長年ガソリンタンクのなかで転がっていたからと言って、このような結晶のような物体に化石化?していくものであろうか?
謎は深まるばかりだ。
錆取りのケミカルは、ガソリンタンク内の錆を落とすことができるのか?
そんなこともあり、せっかくガソリンタンクを外したので、今まであまり使ったことのなかった錆取りのケミカルが実際はいかなるものなのか?色々と試して結果を見てみることにした。売れている商品に今どき「都市伝説」はないだろうが…。
そういえば、昔はスパークプラグにキャップを被せるだけで「パワー5%アップ!」「燃費10%アップ」「始動時間は1/2」「スパークボリューム5倍以上」なんて夢のような商品がバカ売れしていたが、現在ではまったく見なくなったなぁ。
まずはガソリンタンクの錆取りで定番商品の「花咲かG」。
バイク乗りなど、かなり昔から愛用されている商品だ。錆取りだけでなくコーティングも行い、サビの発生を防ぐすぐれものである。
水での希釈は最大で20倍とのことなので、10倍の希釈でタンクの半分くらいまで入れてみた。タンクの中身は3日おきに角度を変えて全体的にまんべんなく浸かるようにした。またFUELメーターのセンサー(フロート等)も錆だらけだったので、こちらも同じ希釈の液体につけてみた。
1週間ほど置いて、しっかりと水洗いしてみた結果、センサーは、かなり錆が落ちて動作も問題なさそうだ。あれだけ酷いサビも綺麗に取り除くことができた。ガソリンタンクは見えない部分もあるが、まだ少しサビが残っているところもある。完璧に取るのは(当然かもしれないが)難しいようだ。
そして想定内ではあったが、やはり錆がひどく、タンクに穴が開くという事態に突入してしまった。
ここは錆のケミカルとは関係ないが耐油、耐水の金属パテ「デブコン AQ」で埋めることにした。
タンクには圧がかからないので、耐油であれば問題ないと思われる。1週間ほど乾かして完全に硬化させてから表面を削って整えた。
その後、塗装してから試しにガソリンを入れてみたが、1ヶ月位置いても漏れはないので問題はなさそうだ。
最新の錆取りケミカルを体験してみる
ホームセンターでも見かけるようになった錆取りケミカルで(主に塗料)はメキメキと知名度を伸ばしている「BAN-ZI」。
HCC95クラブ内でも使っている人が多く、評判も良いようだ。
最近「BAN-ZI」さんが商品スポンサーについてくれたので、いろんな商品を試す機会を作ることができるようになった。「BAN-ZI」さんの商品の最大の魅力は、塗料も基本的に水性なので水で希釈できる。ブラシ等の掃除も楽になるのは嬉しい限り。
また簡単に説明すると進行する赤サビを進行しない黒サビに転換させるので錆の上に直接塗れる塗料なのである。錆を取る工程を抜けるのであれば革新的である。また水性であれば錆への浸透性も良いはずだ。
現在レストア中のFIAT500で早速使ってみることに。エアクリーナーやガソリンタンクのカバーなど錆だらけのパーツを塗って試してみることにした。
下塗りに黒錆に変換するサビキラープロを塗装してから「超防錆サビキラー」で塗装するのだが、果たして効果はあるのであろうか?
肝心な結果は…。
今すぐに分かるはずもなく。こちらは機会があればいずれどれくらいの効果があったのか?ここで紹介できればと思っている。
しかし、これでは読者も著者も納得がいかないのは当たり前。目で見える効果を見てみたい。そこで先日、水没して錆だらけになった工具で試してみることにした。
「サビハイダー」は、水の20倍の希釈で錆を取るケミカルとのことだ。また、錆を取った後にコーティングされ防錆効果も望めるというスグレモノでもある。
以前、他のケミカルで試したが、思ったほどの効果がなかったので、あまり期待していなかったのもあるが今回はどうだろう?
24時間以上は推奨されていないのだが、少し長めに漬けてみた(ホントは推奨されてません!)。1日半経過した状態でここまで液体が錆で濁ってきた。これは期待ができそうだ。
水洗いした後、ウエスで拭いただけだが、ここまで錆がなくなり綺麗な状態になった。ラチェット類は一度ばらして潤滑油で洗ったほうが良さそうだが普通に使えそうだ。
まとめ:最近のケミカル類に触れてみて思うこと
結論からいうと、最近のケミカル類は、サビ取りがそうであように「ずいぶん進化している」ということを実体験できた。昔のような都市伝説的なケミカルでは断じてないのである。
また最近のケミカルは、これまでは「手間」だった作業の短縮にも力を入れている。ワックスなどは良い例で、最近はスプレー式がメインとなり、拭き取るだけの簡単なものが多い。その効果だが、実際にはかなりあるようだ。しかしオジサンには、どうしても固形のワックスの方が「掛けた気になる」ので満足感(自己満足)はあるのだが(笑)。
そうそう。
この実験を行っている間に鎌倉観光に行ったのだが、そこで気になるものを発見した。タイガーアイ(仕事順調・万事金運)だ。
これ、タンクから出てきた結晶みたいなのにソックリなんだけど??
まさか…。
こっちの都市伝説を期待してタンクに入れていたのか??さらに謎は深まるばかりなのであった…。
[ライター・撮影/ユダ会長]