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更新2023.11.22

コレクションはさまざまなことを教えてくれる。堺市所蔵のクラシックBMW

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中込 健太郎

不定期ながら時々公開される、ドイコレクションのクラシックBMWが公開されるというので、見に行ってきました。今ではドイツのBMW、日本では、国産車に勝るとも劣らないほどの存在感を見せていますね。場合に寄っては、国産車よりもポピュラーというモデル、それくらいたくさん走っている地域もあることでしょう。しかしながら、各メーカーがオールドタイマーへ注力する動きなどを見せる中、メーカーとして、この日本においてそうしたモデルを含めての取り組みというのは、残念ながらまだまだ見えてこないと言わざるを得ません。

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しかし、このドイコレクション、現在は堺市が管理していますが、「カメラのドイ」の創業者土居君雄氏がコレクションした大変貴重にして、しっかりとベクトル、文脈を感じ取ることができるコレクションなのです。土居氏が亡くなられたあと、奥様がかつて暮らした堺市にということで寄付されたとのこと。これまでにも何度となく公開はされてきましたが、事前申し込み〜抽選という流れでした。この時は二日間、当日受付で誰でも見学可能。もちろん無料という大盤振る舞い。今これだけポピュラーになったBMW、日本人として目を向けるべきコレクションがここにあるといってもいいでしょう。泉北ニュータウンの高台にある堺市の竹城台倉庫にお邪魔してきました。

プレミアムというけれど…これがルーツか?


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プレミアムとはずいぶん安易に言われるようになったけれど、BMWなどもそれに該当するのではないでしょうか。しかしそれの定義、実態とは何か?と言われるとなかなか説明が難しいというもの。実はここに来ると、今のシリーズ構成になる前のモデルからのコレクションがかなり多く、他の博物館でもなかなかお目にかかれないような車も多数存在します。

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▲「5」ではない(笑)

そのプレミアムの根拠の一部でもあるでしょうし、珍しいコレクションの核となるのが、ドイツの高級車メーカーにして後にBMWに買収される「ハンス・グラース」のクルマたちでしょう。クリーンなフォルムは一見あっさりした印象も受けるものの、ピエトロ・フルアのデザインをまとったその出で立ちはイタリア車のようでもあります。「5」をひっくり返したようなグラースのマークはどこか愛嬌すら感じさせますね。ドイコレクションでメーカーとしての「BMW周辺」以上に、このピエトロ・フルアが重要なキーワードになっているといってもよいでしょう。

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「コレクションに必要なこと」までも教えてくれるコレクション


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われわれにはなかなかクラシックカーをコレクションするということは叶わない夢でしょう。ここのコレクションを見ていると、その結果だけを見て歩く博物館とはひと味違った印象も感じることができるのではないでしょうか。ここに治められているもののコンディション自体は「ミント」(平たくいうと最高の状態)というものばかりではありません。修復途中のものも少なくないのです。

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しかし、これを集めた人がどういうところに傾倒し、心酔し、これを集めたのかがわかる上に、このコレクションがこの状態に至った経緯を考えると、その難しさ、それに要する(経済的にも、関わる人たちの心身的にも)体力は不可欠だ、ということを目の当たりにできます。その意味でも、堺市が好きな人に見てもらうばかりでなく、一人でも多くの人にこの存在を知ってもらい、親しんでもらい、こういうコレクションを身近に感じてもらうことで、もちろん自動車文化というものへの理解を深めることにもなるでしょうし、それ以上に自動車趣味の枠を超えた機会として、地方自治体・公共団体などがわりと気軽に口にする文化事業の難しさを市民と一緒に学ぶという側面もあるように思うのです。そして、文化の難しさ、難しいが故に尊い価値。そういうものをこのコレクションは教えてくれているように思うのです。

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名阪国道経由で比較的行きやすいです。また機会があれば下に紹介する堺市のサイトでぜひチェックしてみてください。時々公開していますので。
http://www.city.sakai.lg.jp/kanko/bunka/histriccar/

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かといって追い出される訳でもなく。じっくり見られますよ。

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ついつい笑顔になってしまいますよね。一部記念撮影できるクルマもありますよ。

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以前来たときとは顔ぶれも配置もかわっていました。何度でも来る価値ありますよ。

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一台だけクワトロポルテも。たしかににてますね。

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一応BMWのマークはつけていますが、グラース2600V8クーペ。BMWよりも高めに設定されていた価格にも関わらず、BMW自身のモデルが霞んで、売れなくなることを恐れ、早々廃版になったそうです。

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▲ピエトロ・フルアのマークも

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▲内装などもまるでイタリア車ですね

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▲同じクルマ?右は2000C(AT)、左は2000CS(MT)

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▲微妙に違う。この内装を見て…

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最新のこのクルマの内装に通じる造形を感じてしまいました。

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i3,i8も参考で展示されていたり。こういうのも大事ですね。ぜひこのようなイベントが近くでやっていたら出掛けてみてください。

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[ライター・画像/中込健太郎]

※当記事は過去公開した記事の再編集版です

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