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コラム

更新2019.01.11

若い人や子供たちにクルマへの興味を失わせないため、大人ができる「たった3つ」のこと

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糸井 賢一

さて前回、「若者のクルマ離れという言葉は現状、的外れだが、将来はわからない。今後もクルマ趣味界隈が存在し続けるには、やはり若い人や子供たちの参加は不可欠だから、なにか自分にできる手立てを考えよう!」といった内容で話を締めました。今回は、その続きになります。

クルマを「好き」になってもらうのは、押しつけず、自然になってもらうのが理想的



▲子供向け作品と現実車両とのコラボレート。奥ではRCを子供たちにPR中

若い人や子供たちがクルマを好きになる、あるいは興味を抱くきっかけは、「実車を見て」、「実車に乗って」の他に、「クルマや乗り物に関する書籍や映像、玩具、ゲームに触れて」も多いと思います。とくに「クルマや乗り物に敬意を持った人」が手がけた作品は、多くの若い人や子供たちを引き込むだけでなく、クルマ好きでいるための「心の種火」を長く炊き続けてくれます。これらの作品を継続的に出し続けてくれるメーカーさんは、実は自動車業界やクルマ趣味界隈の維持に最も貢献している、縁の下の功労者ではないかと思っています。

一方、個人でできることは限られています。多感な年頃は押しつけや差し出がましいまねに敏感で、そう感じた対象にはかえって反発するものです。消極的ではありますが、乗っているクルマを綺麗にし、危険な運転や迷惑な運転はしないという当たり前の行為を続け、若い人や子供たちに格好悪いところを見せないことが、個人で行える「できること」ではないでしょうか。

最初に「クルマは危険で迷惑」といったネガティブな印象を抱いてしまったら、もう「好き」になってもらえないかもしれません。

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個人的でできることは、いつまでもクルマが好きでもらえるようフォローを続けること


クルマに興味を持ってくれた若い人や子供たち。そのままクルマが好きな大人になってもらうには、「興味」や「好き」という気持ちの維持を手助けする、あるいは他の事柄に興味が移っても、心のどこかでくすぶり続けてもらえるようフォローを続けることが大切なのだと考えます。

「興味」や「好き」という気持ちを持ち続けたまま免許証を取得し、自身のクルマでどこにでも出かけられるようになれば、晴れてクルマ趣味仲間の誕生です。もちろんスポーツ、ドレスアップ、アウトドアと方向性は違うかも知れませんが、彼らが使ったお金は巡り巡ってクルマ趣味界隈全体の賑わいに繋がります。


▲はたしてクルマへの興味を抱いたまま、大人になってくれるのか? 他に興味が移ってしまうのか? フォローの役割は大きい

身内にクルマに興味を抱いたお子さんがいらっしゃったら、ほんの少しの時間、彼らの話を聞き、相づちを打ってあげるだけでも大きな効果があると思います。もしモータースポーツに興味を持たれたのなら、一緒にサーキット(レース)やモータースポーツイベントへと行かれるのもよいですね。

子供は飽きっぽいものですから、「もし連れて行っても、レースやイベントに飽きたら…」と不安を抱かれるかもしれません。そこは各自動車メーカーも承知しています。大きなレースやイベントが催される際、会場には子供向けブースを設えてもてなすなど、親御さんや保護者の負担を減らすよう頑張ってくれています。事実、近年のサーキットやイベント会場は、10年前と比べて飛躍的に子供の数が増えた感があります。


▲実車を売るだけじゃない。将来の「乗り物好き」を育てるため、各自動車メーカーだって頑張ってます!

自動車メーカーからみれば、未来への投資って一面ももちろん大きいのですが、自分が「楽しい」と感じた事を若い人や子供たち伝えたいって人は、きっと思っている以上に大勢いてくれるのでしょう。

若い人や子供たちの「好き」を、否定する必要はない


身近に若い人や子供たちがいなくても、できることだってあります。「今のクルマには魅力がない」とか「面白いクルマがなくなった」って感じられても、口にしないこともそのひとつだと考えます。たとえ自動車評論家の方々が「つまらない」とか「できが悪い」、「デザインがありきたり」と酷評したクルマであっても、若い人や子供たちの感性ならば、きっと「楽しい」や「格好いい」って感じ取ってくれるはずです。

振り返ってみてください、私たちだって運転免許を取ったばかりの頃は、それがどんなオンボロ車やポンコツ車であっても乗っていて楽しかったじゃないですか。今、考えれば不格好極まりなかったクルマでも、それを「格好いい」とか「可愛い」って思えたじゃないですか。

まだ自分が固まっておらず、他人の言葉から影響を受けやすい多感な彼らです。せっかく「好き」とか「格好いい」って楽しんでくれているのに、酷評して「本当はこのクルマ、つまらないんだ」とか「本当は格好悪いんだ」なんて思わせる必要はありません。そんな思いをすれば「だったらもっと、楽しい思いのできるジャンルを趣味にする!」って、離れて行ってしまうだけです。クルマの「おもしろい」、「つまらない」は、自分で色んなクルマに乗り、少しずつ分かるようになる事柄。それを知るのもクルマ趣味の楽しみですから、いきなり奪う必要もありません。

もしネガティブな発言を真に受けた若い人や子供から、「あのクルマは性能が悪くて楽しくないのか?」とか「格好悪いのか?」と聞かれたら、「オーナーは欠点も込めて好きになり、楽しんでいるんだ」と、ポジティブに教えてあげましょう。好きになった対象を素直に「好き」といえる態度が、一番格好いいんだって伝えてあげましょう。

将来のクルマ趣味界隈を明るく楽しいものにするため、若い人や子供たちに出しゃばることなく、背中で楽しさと格好いいスタイルを見せてあげましょう!

[ライター・画像/糸井賢一]

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